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幕間劇その1
英国秘密情報部(MI6)
在ベルリン日本大使館を監視中の情報部員は、大使館から出てきた海軍武官がハンブルクへ向かったことを掴み、直ちにハンブルクの現地工作員「Z」に接触を指示した。
「Z」はタクシー運転手としてターゲットとの接触に成功し、ブローム・ウント・フォス社への道中を共にした。
報告書によれば、ターゲットはブローム・ウント・フォス社の航空機工場への訪問を口にしていたが、戦艦ビスマルクの艤装工事にも強い関心を示したようだ。
報告書に目を通した情報分析官は、分析欄に次のように記入した。
1. ブローム・ウント・フォス社の航空部門は水上機や飛行艇を得意としており、日本がその技術獲得に動いたと見るのが自然である。
2. だが、わざわざ大使館付き武官が直接出向く必要はなく、行動が不自然である。
情報分析官は何か裏があると考え、要注意の印をつけて報告書をボスに回した。