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セーブ7.オッスおら椿

解説回って難しい

 ~衝撃の事実から5分~





「もうそろそろ落ち着いてきてくれたかな?」



 やっと落ち着いてきたぞ。



「宇宙人だって…」



「そうだよ。これ以外筋が通る道理なんてないでしょ」



 答えは簡単。正解は宇宙人でしたってか……なんかずるくないですか?椿さん。



「思ってたとしてもあなた宇宙人?って聞けるわけないだろ!」



「暁って変だよね。椿と話してても楽しくない。椿には愛が欠落してるってズバズバと言ってきたのに椿って宇宙人なの?って言うのにはためらうんだね」



「うぐ…すいません」



 答えられなかった事への言い訳でしたすんません。



「いや、私はますます暁の性格に興味が出てきたよ」



「そ、そうか」



 さ、さすがにそんなこと言われたら て、照れるやん。 


 て、いやいや



「そ、それよりもだ!もうちょっと説明してもらってもいいか?こっちは聞きたいことだらけなんだけど」



「うん、良いよ。全て話してあげる。結構長くなるけど良いかな」



「ああ、それで全てわかるならな」



 ばっち来い!



「それじゃあ話すよ。」



「話は何千年も前に遡る」



「椿……!」



 おい椿、まさか…………






 てことはお前、BBAだったのかよ。



「昔この地球に似た星があってその星を一種族の知的生命体が支配していた。それが私達だ。私達は今のこの地球よりも文明が発達していた。だが、私達は文明を発達させていくことでたくさんの物を失ったんだ」



「それはどういうことだ?だって、文明が発達すればもっと生活が華やかになるじゃないのか?」



「暁は今普通にギャルゲーをしているよね?」



「ああ、そうだが。それが何か関係あるのか?」



 絶賛お世話になっておりますが何か?


 椿は「わかってないな」みたいな顔をして、先生が生徒に諭すように言った。



「人類は1961年に初めて宇宙に行くことに成功した。そしてその時に使われたコンピューターよりも性能が良い物で君たちはゲームしている。


 昔の人は思ってなかっただろう。まさか宇宙に行ったコンピューターがたった半世紀で子供のお年玉と親にちょっと出してもらうくらいで買えるようになるとはね。人間に関わらず飼われている動物だってなんだって気付かないうちに文明が発達していることに、食料を探すこともなく十分に栄養を摂取し、敵に狙われず安全に暮らせている事に全くありがたいことだと思わない。


 今この瞬間もヒトの文明は発達していっている。


 この日常はまた半世紀経てばヒトはこう思うだろう。「半世紀前の人たちはこんな生活をしていたのか。今では考えられない。」ってね。人類はどんどん今この瞬間を、本当は奇跡的な事なんだと気付けなくなってきている。


 人間の欲は止まらない…………つまり?」



 椿先生は岩野君に答えを聞いているようだ。


 椿先生わかりました!答えは



「…………つまり僕達と椿達は生活が豊かになることで自分達の生活の中で感じる幸せの価値水準が高くなってきているという事か?」



「そういうこと。話を戻すよ。ここからが重要なんだから。


 私達はある日、世界を覆す出来事が起きた。ある科学者が身体の構造、特に脳の仕組みを完璧に理解する事に成功したんだ。身体は年を重ねていくほどに劣化していく。だが身体の構造を理解した今、身体のクオリティーを維持する事だってたやすい。永遠の生を得た。


 私達はまず()を失った。死を克服した私達は永遠の若さを得た。ということは何百年に一人の天才学者達は死ぬことがなくなりさらに画期的な、今までの概念が覆るような発明を生み出していく。死を克服した私達は進化し続け、誰ももう止められない。私達の数は増えていく一方だ。


 そこから負の連鎖が始まった。


 次に失った物は子供(・・)だった。このままではこの星が私達で埋め尽くされ星が死んでしまう。私達は暁達よりももっと自分たちの星を愛している。争い、殺しあうことは間違っているし、星を破壊してしまう恐れがある。なにより死という概念が存在しなくなって私達は死ぬ(・・)という事が唯一の恐怖で殺しあうことは自分の命が失うリスクがお互いに生じてしまうから誰もやろうとは思わなかった。人口を減らす事は出来ない。ならば、子供を産まなければいい。減らせなければ増やさなければ良い。……それが悪かった。ここで問題だよ。暁、次に失った物は何だと思う?」



 それは簡単だろ。



「それが……それが、椿達が次に無くなった物……感情が無くなった理由か」



 …………暁君だいせいか~いとはならなかったっぽいな。

 椿は何も言わず。また話し始めた。



「私達は文明が発達することで失っているものに気づき始めた。それは感情だ。だが(・・)


 感情を失ったのは今に始まったわけではない。


 なぜなら、死を失う前から私達は、この地球の人類のようにいつの間にかこの日常が昔では当たり前じゃないという事に気づけなくなっていたのだから。


 だが今回失った物で今まで一度も1ミリも歪んだりすることの無かった物を私達は失った…」



 そうか、感情は僕達みたいに前から失ってきてはいたんだった。


 それじゃあ。もしかしてそれ(・・)













「…それが最後に失った物……それが()だった。


 子供というものは愛を注がれて成長する。それすなわち子供とは()そのもの。感情の欠落により、私達は合理的に物事を考えるようになっていたことで私達は子供が出来ないなら、交際、交尾することに価値を見出せなくなってしまった。


 今までの感情と同じように、気付かないうちに私達は愛という感情が欠落していった。


 そこから何百年経ったのかわからないが私達はとうとう何も無くなってしまった。あるのは永遠の生き地獄。なにも変わらない、何も感じない充実した日常。それは死んでいるのと同じだった。




 そんな時だった。それは奇跡としか言いようがなかった。


 私達はたまたま生命体の反応がする惑星を見つけた。惑星観測№454。暁達の地球だ。私達の星以外での生命体反応は初めてだったため、すぐに私達は地球を調査した。


 その地球では一つの生命体、ヒトが星を支配していた。調査したところヒトは私達よりも文明は発達していなかった。それどころか世界中で略奪、醜い争い、奴隷売買、貧困が絶えなかった。


 でも何故か、人間はそんな中笑っていたんだ。何故笑っていられるのか私達はわからなかった。私達よりも劣り、争いに巻き込まれ死ぬかもしれない日々、明日も明後日も毎日栄養が摂取できるとは限らない。そんな生活の中で私達よりもそんなに楽しくやっていけるはずがない。わからなかった。


 ただこれだけはわかった。これが私達とヒトとの()だ。失った物、感情という物の差であると。


 私達は気付かされた。劣っているのは私達の方だと、技術はいつか追いついてくるが感情は失えばもう戻らない。


 そこで私達は考えた。私達のうち誰かがヒトの暮らしを経験し、感情を理解することができたならもう一度私達は感情を取り戻すことができると。私達は感情を理解することができなかったとしても、感情を理解した個体(・・・・・・・・・)の経験を他の個体の脳にデータとしてインプットさせればいけるのではないかと。」





 そんなことができるの!感情を理解した個体(・・・・・・・・・)の脳のデータを他の人の脳にインプットってか…



「ちょっと待て!」



「また話を止めて、今度は何?」



「すまん。どうしても説明がつかないことがあって。それで話を戻すが、それは矛盾してないか?だって椿達はもう感情を取り戻すことはできないんだろ。なら何故椿は感情を理解できているんだ?」



「良いところつくね暁。じゃあ何故私は理解出来ていると思う?」



 いや、知らねえから聞いてんだけど。



「ええっと……努力!気合い!根性!主人公補正!」


 知らんけど。



「真面目に答えてよ。そんな精神論で何とかなるわけないでしょ。何?馬鹿なの」


 そんなガチトーンでマジレスしないで!



「いや、マジでわからんからボケに走ったんですけど、すんません」



「はぁ、わからないならしょうがないね…じゃあ最後の答え合わせといこうか。」



 やっと椿の秘密がわかるのか。



「そう、もう私達は感情を理解することができなかった。だがそれは少し間違いがある。正しくは……私以外(・・・)は、感情を理解することができない。私は、私だけは感情を理解することができる。私達の感情が急速に欠落してきたのは死を克服してからだ。そして何千年も生きてきた中で感情を理解することができなくなった。ならば死ななくなったこの世界を生きていない個体、そう例えば、今から生まれてくる(・・・・・・)個体ならまだ感情という物に触れず、まだ失ってもいない。だから感情を理解することができるだろうと考えた……」





 僕もここまで言われてようやくわかったよ。椿の言いたいこと。




 今まで薄暗かった空間が屋上に続くドアの窓から差し込む夕日に照らされ、椿の浮世離れした容姿が一気に僕の視界を奪った。まるでその光は椿の異質さ、特別な存在だという事を物語っている様だった。



「感情を理解するために、希望を掴むために生まれてきた最後(・・)の個体…………それが私なんだよ…………」



 夕日に照らされていたのはほんの一瞬だった。椿が言い終わる頃にはもう日が暮れてしまっていた。


 偶然に起きた何でもないこの光景は、僕には感情の無い椿の言葉にまるで代わりに椿の気持ちを僕に伝えてくれたかのように見えた。



「そうして生まれた私は感情の欠落を防ぐため物心がつくまで一人で育った。私は物心がついたくらいになると私のやるべき使命、地球の全ての言語と常識、宇宙船の動かし方など


 様々な情報を脳にインプットされて、それが終わる頃には私は地球に旅立っていた。


 私が最初に地球に降り立ったのは日本の京都府北部だった。そこから私の感情を理解する長い道のりが始まった。感情を理解するためなら何でもした。一般市民から貴族、はたまた神にも鬼にもなった。そのおかげか順調に感情を理解していくことができた。


 そこからが長かった。とうとう私は愛以外の感情を全て理解する事に成功した。だが順調に進んでいるかのように見えたが私達に一番重要な感情、愛については一向にわからないままだった。」



「何で椿は愛だけがわからないんだ?」



「私もそれが気がかりだったよ。別に今まで何もしてこなかったわけではない。人間の生活を身近に触れてきたんだ。何百何千何万とヒトの愛という形を見てきたはずなのに理解できなかった。


 だがこの何千年間、何もわからないわけではなかった。私は何故自分が愛を理解する事ができないのか、ある仮設を立てた。


 人間の基本的感情はまあいろいろな説があるがまあ大きく分けて喜び、悲しみ、怒り、驚き、嫌悪、恐怖、羞恥の7つだと私は思う。ヒトはこの7つの感情をベースにしてたくさんの感情を表現している。例えば……」



 そういった瞬間今までシリアスムードだった椿の会話から一転し純情無垢な曇り一つない笑顔を僕に見せてきた。


 悔しいがそんな笑顔見せられたら作り笑顔でもちょっと一瞬だけでもドキッとしてしまった。


 そんな天使のような笑顔をしているかと思うと、何だろう。天使のような笑顔のエンジェル椿たんが、堕天してデビル椿になってきているような。




 デビル椿ってプロレスラーっぽいよね!




 そんなしょうもない事を考えて恐怖を紛らわそうとしている間も笑顔はそのままのはずなのにどんどんまがまがしさが増している。


 何だと戦闘力800万だと!


 デビル椿からサタン椿に進化した。僕は今、一つの神話を見ているのかもしれない。



「こんなふうに……ってあれもしかして暁泣いてる?」



「な、泣いてねえし!てか、どうやったらそんなまがまがしい笑顔を作れるんだよ!」



 誰でもこの顔を見たら泣きかけるよ。鬼(母)よりも怖いかもしれん。



「気持ちを作れば簡単だよ。例えば、くだらない名前を勝手につけられた時の事を

考えたりね」



 ふむ、さては貴様、人じゃないな……!そういえば宇宙人か…… 



「話を戻すけどこんなふうに笑顔にも喜び100%だったり怒り100%だったりと基本的感情の比率で変わる。そして、その笑顔に合わせてヒトはそれぞれ嘲笑、微笑み、苦笑いだったりと、言葉を対応させている。



 だが、愛はどうだろうか?確かに愛も沢山の言葉の種類で表現され、いくつか対応はされてはいるが、愛し方愛され方はヒトそれぞれ。恋に落ち、愛を育んでいく方法も相手への愛の大きさも様々。これで他の感情と比べて愛の全てを表現しきれていると言えるだろうか?私は感情を7つの基本的感情の比率で数値化して表してきた。だが、愛を7つ基本的感情の比率で数値化することができない。


 私に()()昧すぎた。


 時代はもう20世紀。愛を理解する事ができないと確信したそんな時、見つけたのだ。


 愛の形そのものを、クールジャパンを。その中で私が特に注目したのはギャルゲーという物だった。確かに今までにもゲームの中に恋愛要素があるゲームもあった。でも、私は伊達に何千百年間も愛を追求していない。今までの他のゲームとは日本のギャルゲーは愛の格が違うことぐらい私でもわかった。


 私はそこからギャルゲー、アニメ、漫画に触れて愛を学ぼうとした。


 だが、それだけでは理解する事はできない。と学んでいくうちに確信した。


 なぜなら自分の習得の仕方に合っていなかったからだ。


 私はヒトの生活の中で生じる感情を身近で観察し、理解してきた。いわば、私は今まで体験学習の要領で感情を経験として学んできたという事。予習、復習もせずにただ模範解答(ヒトの生活)を見てきただけで問題(感情)を解けるようになるような簡単な基本問題しか解いてきていなかった私が、模範解答だけを見ていただけで、いざ何の知識もない、解き方のノウハウも知らずに発展的な問題()を解けるわけがない。


 だからそんな時には教科書が必要だ。ギャルゲー、アニメ、漫画は愛の教科書にすぎない。どこまでいっても教科書(ギャルゲー)は知識しか蓄えられない。現実とは違って結局は偽りで、この知識をリアルで活用するしか習得することが出来ない。


 だが教科書ともう一つ足りないものがある。私は勉強をしてこなかった。


 だから勉強の仕方がわからない。


 だから私は考えた。わからないなら誰かから学べば良い。勉強の仕方を、模範的な回答を教えてくれる先生がいれば良い。


 ギャルゲー主人公のように普通にどこにでもいるような男子高校生で日本トップレベルの知識を持ち、なおかつ他の大勢のオタクからも認められていること。


 そんなヒトは一人しか見つからなかった。それが君だよ。だから私に君に最後の答え()を教えてほしいんだ。


 これ以外私が愛を知ることが出来る方法を思いつけられないんだ。だからお願いだ、暁。


 私の先生になって私の仲間(・・・・)を救っててくれないか?」





 ずっと淡々と感情がこもっていなかったはずなのに椿の言葉には何か重みが感じられた。


 椿はこれまで何千年も故郷を離れ、一人ぼっちでずっと感情を知るために人の綺麗な処から汚い処まで全て見てきたのだろう。


 人の欲の醜さを知ってまでも故郷のため、顔も見たことが無い一度もあった事がない仲間のために。


 椿、お前はどうしてそこまでできるんだよ。



 椿、そんなの決まってるだろ。





























「え、嫌だ……」



「…………なんで駄目なの?理由を聞かせてもらおうかな」



 なんで?


 どこの得体の知れん宇宙人のために僕がわざわざ手伝わなきゃならん。そんなことはよそでやってくれ。


 それに感情移入してもらおうという気満々な説明で聞いててイライラするんだよ。物語の主人公みたいに同情して僕が教えるって言うとでも思ったのか?


 それに、何よりリアル女の面倒ごとを押し付けられ、僕が10割方、もう全て片付けることが一番嫌いなんだよ


 というか長い5000文字くらい話したんじゃないか?話が長すぎる。


 ああ!イライラするなぁ!


 椿、僕が一番イライラしているのは……











「僕は宇宙人とか、全く僕と親しくもない奴らの事なんてどうでも良い。勝手に滅んでろって思う。僕は他の星の人を救うほどの余裕も根性も責任も引き受ける……なんてどこかのテンプレ主人公みたいな奴じゃない。


 ここはリアルだからな。そんな奴にはなりたくても成れない。そんな奴には成れないなんて一番オタクがよくわかってんだよ。オタクは世界で一番のリアリストだ。誰よりも現実の限界を知っている。だから理想を違う世界に求めるんだ。


 僕は怒っている。イライラしている。イライラしている原因はたくさんあるが一番椿にイライラしているのは






 椿が僕達(オタク)の理想を侮辱していることだ!


 椿はギャルゲーやアニメ、漫画を愛の教科書にすぎないと言った。ギャルゲーやアニメ、漫画……作っている人の大半は辞めたいと思ったことだってあると思うし、給料が少ないとか愚痴ったりする人もいると思う。でも昔、子供の時に見た、読んだ時の興奮や希望、理想を次の世代に繋げるために命削って作ってここまで繋がってきたんだよ!


 命削って作った作品には命が宿る。それならモニターの向こう側のヒロインにも命が宿るはずだ。ただのオプションじゃない、偽りでもない!本物のリアルがあるんだよ!僕達はこの1分1秒の間でも前に少しずつでも進んでいるんだよ。


 お前達の愛のための教科書なんかじゃない!そんな事に使われてたまるかよ!そんなのでお前達に、少女達の人生を否定されてたまるか!


 だから椿を、お前達僕は全力で否定する。


 だから僕は椿を、お前達を助けない。
















 だが、


 僕はオタクだ。オタクはモニターの向こう側の少女たちを愛している。だからこの愛を一般人に布教したい。一般人を逸般人にすることもオタクの義務だと思う。だから僕は間違った見方をしている人がいるのは悲しいことだと思う。それが知識として蓄えられるのはもっと悲しいことだ。いつもはめんどくさがりで目立ちたくない陰キャの中の陰キャの僕だが、布教活動や間違った見方をしている奴を見たら例え目立っても、どんな方法を使ってでも粛正するのには努力を惜しまないように強キャラになる覚悟がある。






 もう一度言うが、僕はお前たちを助けない。お前達を全力で否定する。


 だが椿は、ギャルゲー、アニメ、漫画を愛の教科書としか見ていない。椿は間違った見方をしている。僕のオタクとしてのプライドがこう言っている。粛正しろと。


 椿、お前は間違っている。だから僕はお前を正す。




 椿の話を聞いて思ったよ。僕が話を聞いて想像したことよりも、もっとひどくて寂しくて辛い人生を送って来ているんだろうなとは思った。だが同情はしない。同情してそんな簡単にYESと言うような奴は物語だったら筋金入りの正義の味方だが、リアルでやるならそれは責任も取れないただの偽善者だ。僕はそんなクソ野郎になりたくない。


 故郷にいる自分の事しか、ずっと一人にさせた椿の気持ちも考えない仲間のことはどうでも良い、考えるな。自分のことだけを考えてくれ。


 僕はお前達を救うほどの大それたことをできるような正義の味方でも主人公でもない。だけど、女の子一人(・・)も助けることが出来ないような男には成りたくない。


 だからもう一度言ってくれ、椿。


 お前達の言葉じゃない。お前自身の言葉で聞かせてくれ。」



「…………!」



 そんな同情を装わなくてもただ僕は一人の女の子として僕を頼ってくれさえあれば、普通にYESと答えていただろう。


 いつも薄暗いここは、日が暮れればどこよりも一段と暗さが増してしまうため、夕方でも椿がどんな顔をしているかはぼんやりとしか見えなくて僕にはわからない。だがきっと椿は驚いているのだろう。


 何故かって?



「あははは!こんな短期間でこんなに驚かされるのは本当に初めてで一番いろんな感情が出てきた刺激的な日になったよ。

 改めてお願い、暁。私は早く自由になりたいんだ…………私を助けて。」




 だってこんなにも



「当たり前だ!任せとけ!」





 言葉が感情で彩っているのだから。



一気に1~7話あげました。

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