セーブ3.ゲームスタートだ
「暁の友達の坂上健人君のことが好きなの!!」
はじめまして。僕の物語。そして、さようなら。僕の物語……。
そうはいっても始まった物語をエタることは重罪であるように簡単に終わらせてもらえないのがこの世界だ。
調子乗っちゃってごめんなさい。あんな500文字近くも恥ずかしいことつらつらとしゃべってしまってごめんなさい。ああああああああ!恥ずかし恥ずかし恥ずかし恥ずかし!忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ!
どゆこと⁉あれ?僕に惚れてるわけではなかったの?あの目は僕をみていたわけではないの?どこから僕は選択をミスっていたんだ。こんなのバグだ~!ありえない!それも2回目だよ!この展開2度目だからね!
「だから、接点が今まで無かった健人君と仲が良い暁が私と健人君の仲を取り持つことが
できないかなって思ったの。お願い!一緒に手伝って暁!」
「そ、それは」
駄目だ頭が現実に追い付いていない。だがこれは言えてる。
「いやだべんべん」
あー、ゲームしたい、おうち帰りたい。続けるの?コレ。はあ…。
だいたい、こんなことしたったって何にもならなくなくなくなくない権利を!
なぜお前を幸せにせにゃならん!
ていうかお前ら中学の時同じ部活だっただろ!同じ部活だっただろ!(エコー)
「なんでなの!勇気出してやっと言えたのに、幼馴染なんだから手伝ってくれても良いじゃん」
お前のことは1秒たりとも幼馴染と思ったこともない(一瞬思ってしまった)!僕の純情を返せ!ぐすん…だからこの世界はクソゲーなんだよ。
今日僕が学んだ教訓は2つ。
その一、健人モテすぎワロタ。
いやマジで面白いほどモテるな。健人こいつは本物の完璧なこの世界の主人公だよ。
それもその二人に被害をダイレクトに受けるってどないやねん。やっぱ主人公にどこにでもいる男子高校生が太刀打ちできるわけない。
その二、あの顔ができるのはビッチと恋する乙女。ビッチと恋する乙女は陰と陽、表裏一体。
もちろんこいつは陰で裏。ビッチェストを差し上げます!僕にビッチ最上級を使わせるとは
ゴイゴイスー!澪……恐ろしい子!
こんな奴に無駄な時間を浪費させたくないもうかかわりたくない。JK怖い憎い。
「いや、あの応援はしてるんだけど、お前の本気の恋を邪魔することはちょっと荷が重いというか、もし失敗させたら僕は澪にもうしわけがたたないよ。」
いや~こうもスラスラと全く思っていることと違うことが言えたもんだな。我ながら恐ろしいぜ
「暁…」
「ごめん自分勝手なこと言ってるのはわかってる」
「いや、私どうかしてたよ、ごめん。よく考えたら私自分のことしか考えてなかった。気づかせてくれてありがとう暁!」
僕が今までで見てきた澪の笑顔の中で一番良い笑顔をしていた。
だがもう僕はそんな笑顔を見ても何も思わなくなっていた。
何良いこと言ってる自分♪みたいな顔してんだよ!バーカバーカ!…もうだまされないんだからね(泣)。
キーンコーンカーンコーン
「もう放課後か」
昼休みから後は全く授業に身が入らなかった。なんだかすごく疲れたな。
「暁、今日もどっかよってく?」
「今日暁が買ってるラノベの新巻の発売日だろ。早く買って早く読んで俺にも読ませてくれよ」
「俺も買いたい漫画があるんだよね」
僕たちは放課後終わった後いつものメンバー4人で集まり毎日遊んでいる。だが…
「今日は僕やめとくわ」
今まで疲れていても皆といたら疲れを忘れて全力であそんでいた。だが今日は人生で最大のイベントがあったからかすごく疲れて遊ぶ気力がない。
「「「ええ⁉」」」
そこにいた3人が全員信じられないと顔に書いてあるような顔で驚いた。
「あの最新巻が出たらその日に買って読んで、また2周するあの暁が…」
「そうだぞ暁!どうしたんだよ」
健人以外の2人はそういった。ああ、また紹介し忘れてたな。
この二人は…ああ駄目だ。どうしても紹介する気が起きない。こんな趣味になりつつあった日課を言えないほど僕は疲れていたのか。積みゲーも積みアニメも今日はない。この疲れは昨日の積みゲー、積みアニメの消化のせいでもあるのかもしれないな。
「いや~顔に出してなかったけど昨日積みゲー、積みアニメの消化で実は滅茶苦茶今日疲れてるんだよね。だから今日はパスってことで」
「じゃあ今日は三人で遊ぶか」
健人は何かを察してくれたのかそう言ってくれた。
「まあそうだな」
「明日は絶対遊びに行くぞ」
「うん絶対に行く」
「じゃあな」
そして、健人たちは教室を出た。
「よし僕も帰るか」
早く帰って寝よう。
そして僕も教室を後にした。
「早く帰って寝たいな。なんだか本当にくらくらするような」
いろんな疲労でおぼつかない足取りで何とか1歩1歩進んでいく。
そう思っていた瞬間僕は下を向いていた。それが不注意だった。
「キャ⁉」
「うわっ⁉」
二人とも前に人がいることに気づかなかった。二人ともぶつかった勢いで荷物がいろんな方向に散らばってしまった。
しまった!ぶつかってしまった。大丈夫かな?それに荷物がぐちゃぐちゃだ。
「す、すいません!ちょっとボーっとしてて。あの大丈夫ですか?どこか怪我は?」
転んで俯いていた女の人に尋ねた。
「大丈夫です。すいません私も不注意でしたし」
「そ、それなら良かったで…す…」
そこで彼女は俯いた顔を僕に向けて来た。その顔を見た瞬間、何も考えられなくなった。彼女を1目でも見てしまうと、まるで呪いで固まってしまったかのような感覚に陥ってしまった。
短いツヤツヤとした何色にも染まらない大和撫子の黒髪。日本人とは思えないほどくっきりとした顔立ち。目元の泣きぼくろが大人の色っぽさを。しかし、ほんのりと初々しさの残るピンク色に染まった頬。そしてなんといっても目が離せなくなる全てを飲み込んでしまいそうな大きな黒い瞳。こんなにも美しい人がいたとは彼女は2次元の女の子にも匹敵するぐらいの完璧なルックスであった。
「あの~どうかしました?」
「いやっ何でもないっす!そ、それよりも早く荷物を拾いましょう!」
「それもそうですね。早く拾わないと風で飛ばされてしまいそうですしね」
「そ、そっすね!」
どうしよう。今まであってきた中で一番かわいい美女に出会ってなんかしゃべり方がおかしい。
彼女と僕は黙々と協力し合って自分達の荷物を拾った。
ふう~結構いろんなところに散らばっちゃったな。えっと後は……ラノベが無いな。たぶん彼女が探しているところに落ちてるな。こっちは結構片付いたし、拾い終わったか聞きたいけど話しかけずらいな。今までの女子よりも意識してしまっている。平静を保ってられるか心配だが勇気を出して話しかけてみようかな。深呼吸。すぅ~はぁ~よし言うz―
「あのそっち終わりましか?」
「ひゃいっ!」
言うぞ!までちゃんと心の中で最後まで言わしてくれよ!びっくりして変な声出しちゃったじゃん。うわ恥っず。軽く死ねるね。
「えっとそっちも終わりましたか?」
「はいはい終わりました!あ、あのこれがあなたの物です」
「ありがとうございます。これがあなたの物です。じゃあ私先を急いでいるので」
「あ、はいわかりました」
彼女は去っていた。
…ふぅ行ったな。僕の人生の中で一番忙しい日だったな。超疲れた。ビッチに僕の大親友との仲を取り持てと言われ、人生であった中で一番の美女に出会う。今日はすごいことがおきっぱなしだな。彼女から受け取った物の上に僕のラノベがあることを確認してカバンの中に閉まった。ラノベに傷がいってなくてよかった。そして僕はそのまま家に帰った。
「ただいまー…って僕だけしかいないんだけどね」
両親はいつも帰りが遅い。なので、大体僕が晩御飯を自分で作っている。だけど今日は食欲がないから良いかな。明日も学校がある。ていうか今日月曜日だからな~。土曜日までまだまだじゃん。やっぱり月曜日は憂鬱だわ。この圧倒的絶望。そんなこと考えてもゲームのようにサクサクイベントは進められない。人生にスキップ機能付けてくんないかな、まあ付くわけないがな。
「今日は明日の準備をして寝よう。」
自分の部屋に行って僕は準備をしていると
「んっ?」
何だこれ?
それは今まで見たことがない。だがそれを僕は何回何十回何百回と見てきた。
そうそれはギャルゲーである。だが、認めたくないが言葉通りこのゲーム今まで見たことがなかった。
ギャルゲーのパッケージのデザインは様々で、それは特定のヒロインが一人、数人で大きく描かれていたり、ヒロインの集合絵だったりと様々である。このゲームは誰も描かれずタイトルロゴだけが描かれていた。まあタイトルロゴだけ描かれているギャルゲーもおあるが、そのタイトルもパッケージヒロインもタイトルさえもない。あるのはどこかの海辺。こんなギャルゲーのケースのデザインなら一回見たら忘れないだろう。
この僕がギャルゲーのパッケージを見てタイトルがわからないなんて…
僕はすぐにパソコンを立ち上げて、このゲームについて体のしんどさも気にせず、手あたり次第調べた。だがそんなゲームは探しても何も出てこなかった。
「僕の広い情報源を使っても出てこないなんて」
僕はそこそこ有名で…ってまあこの話はまた今度にしよう。
このゲームは何なんだ。フリーゲームか?フリーゲームにしては何か特別なゲームな感じがするが。このフリーゲームにしてはあり得ないほどの夕方の海の景色のグラフィックの良さ。この海の感じなんて写真みたいで今まで見たことのないほどのリアリティ、また絵でしか表現できないような光彩感。見れば見るほど神ゲーの予感。オタクの血がそう騒いでいる。
僕のものではないがもはや僕の荷物の中に入っていたら、僕の物でいいじゃないか。
混ざったとしたらあの謎の美少女とぶつかった時。というかそれしかない。まあそん時はバレないようにデータを消そう、そうしよう。だってそこにギャルゲーがあったのだから……。ちゅーこってポチっとな!
「カチャッ」
パソコンにディスクを挿入した。
おっ読み込み終わったか。早くしたい。僕は起動した。起動する時、画面が一度暗くなる。この瞬間が僕は大好きだ。早くしたい、新しい世界に飛び込みたいけどこのスマホをいじるほどの長さも無く、かといって短すぎないこの間。期待と興奮が高まるこの瞬間もゲームの楽しみ方と言えるだろう。
長く感じる瞬間が終わり気持ちが出来上がった。そして、画面が光った。
なになに~タイトルは…あれ?タイトルがない。パッケージと同じで画面に映っているのは夕方の海の景色。あるのはSTARTボタンのみ。シンプルなデザインとなっている。まあすべてのゲームはスタート画面では神ゲーとは限らない。まあやってみないとわからない。ならやるしかない。今僕は新しい世界に飛び込もうとしている。なんだかちょっとだけ疲れがとれた。これは限界までやるしかないな。
じゃああれいつもの言っちゃいますか。
「さあ、ゲームスタートだ」
僕はスタートボタンを押した。さあどんな世界を見せてくれるんだ。
♪~♪~