セーブ2.REゼロから始まるラブコメ生活
「で…ぼ、僕に何か用があるんじゃないのか?」
「え!なんでわかったの!」
当たり前だ。リアルの女が仲の良くない男と話すのは見返りがある時しか話さないことを僕は知っている。そう…あの時みたいにな。
中学校1年生時、まだ違う小学校だった人がいっぱいのクラスの中皆はうまく自分らしさを出し切れずにいた時。僕はある女の子に話しかけられた。
『岩野君だったよね。あの健人君と仲が良い。私いろは。これから3年間よろしくね!』
『う、うんよろしく』
健人はもちろん小学校の時から人気者で他校にもファンはたくさんいた。
僕は小学校高学年の時から女子に苦手意識を持ち始めていた。その時僕と仲良くしてくれたいろはは、僕の人生で初めて仲良くしてくれようとした女子だった。
それからいろはとは気が置けない仲になった。ちゃんと話せるまでに時間はすごく掛かった。ここまで仲良くなった女子は僕には初めてだったんだからこうなるのは当たり前だろう。僕はリアル女子に恋をしてしまった。
『あのさ、いろは」
『何?暁』
言え。言うんだ暁。
『いろはって誰か好きな人とかいるの…か?』
『え‼なんでそんなんこと聞くの⁉』
よし!よく言えた暁!ここまで言えるのにどれだけ季節をまたいだか。
『いや、ちょっと聞きたかっただけなんだけど。で、どうなの?』
『え、えと…わ、私は健人のことが好きなの!』
『…そうだったのか…』
『う、うん。あっそうだ!私ちょっと用事があるの思い出だした!じゃあね!」
そして、いろははどこかに行ってしまった。
あの時僕はその言葉を聞いた瞬間初めて話した時のことを、思い出した。
『岩野君だったよね。あの健人君と仲が良い。私いろは。これから3年間よろしくね!』
そうあの時、いろはの中の岩野君は健人君と仲の良い岩野君だった。いろはは結局僕のことを最初から見てなかったんだ。いや~あの時はまんまと騙されていた。
絶対僕に話しかけたのだって健人と仲良くなろうと思ったから話しかけてきたのだろう。
だから僕はもうだまされないぞ!リアル女!早く正体を現したらどうだ。幼馴染よ。
今立っているのは昔の僕ではない。そんな装備で大丈夫か。
「えっと、じゃあちょっとここではなんだから人の少ない外で食べない?」
「い、良いよ」
まあここで聞かれたらまずいだろうな。
「よし、此処なら良いかな。暁こっちこっち!」
そして僕はその指定された席に座った。
座ってから澪は2人とも食べ終わるまで、すぐにはしゃべらなかった。
もうそろそろかな。
「よしっ」
僕の予想通りだ。澪が恥ずかしさを混じらせながらも言おうとしている。勇気を決めたようだ。さあ、かかってきな。厄介なことを押し付けてきて来るんだろ。僕はわかっている。
その瞬間ガタッ!っと澪は勢いよく立ち上がった。
……あのぅ…澪さん。どうして僕の隣に座りだしたんですか?だって頼み事ならそんな顔でここに座らなくてもいいような気がするんですけど…
澪はそう、僕の隣に座り出した。それも顔を赤らめていて、緊張しているのだろう。呼吸も荒かった。
僕はこの顔に見覚えがあったのだ。何回何百回何千回と、それは次元は違えど僕は、いくつも見てきた。この顔は女の子が最も人生で輝く瞬間である。
僕は驚いてしまった。
リアルにこの顔をする女の子がいるなんて…
「あの!暁、あのね…」
僕はなんで気づかなかったんだ。こんなにも近くにいたんだよ。理想はこんなにも近くにあったんだな。誰かが言っていた。クソゲーにも、理想があるようにリアルにも理想があるんじゃないのかって。
「あの暁…」
ごめん澪。今まで気づかなかったんだよ。お前の気持ちに…モニターの向こう側の女の子達なら1本のフラグですら逃さない、この僕が……
「そ、その…」
澪は荒い呼吸を何とか整え最後の力を振り絞って言おうとしている。
「うん」
昔からこういう時は男というものは待つことしかできない。なんというもどかしさだ。この瞬間はゲームとリアルに差はない。だがこれは僕の罰だ。今まで気づかなかった自分の…
ありがとう澪。気づかせてくれて、理想をきづかせてくれ、いつもやってきた日課は今日この日のためだったんだ。僕の物語が始まるために
「わ、私は暁の…」
そして僕の物語はここから始まろうとしている。
「暁の…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
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…
……
…………
暁の友達の坂上健人君のことが好きなの!!」
「( ^ω^)・・・・・・・・・・」
そして僕の物語はこうして始まった。