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セーブ1.いつもの日課

 ♪~♪~


 5月15日火曜日、僕はいつもの昨日アラームとしてセットしたアニソンを睡魔と戦いながらもスマホを開けてアラームを止めることが出来た…はずだった。 ♪~♪~


 だがこの音がなぜだか止まらない。




「………」


 


これもしかしてあれか?アニソン聞きすぎて耳にこびりついて永遠リピートしちゃってる的なあれですか?そうかそうか。あるよね~試験中とかなんでもないときとかに流れる奴だな。よし!意識して止めよう。止まれ!止まれ!ピーリカポポリナペーペルト♪♪エターナルリピートよ止~まれ♪…いっこうに止まらん…呪文が違ったか、グリーラグリーラレオノーラ!…………よく考えたらセットしたアニソンと違う。   


  なんだこの聞いたことがない曲は、曲というかこれはBGM?


冷静に考えよう。まず素数を数えようこれは定番。1,2,3,5,7……


  皆聞いてくれ!冷静に考えて気づいたことがある!なんか視界がギャルゲーなんですけど!?自分が一番何を言っているのかわからない!でもこの状況をどう表現してもこれが一番分かりやすい説明なんだから仕方ない。まずい!素数で落ち着けるレベルじゃなくなってきている。まてよ、ということはもしかして


 僕はさっき止めたはずの携帯の時間を確認した。


 ……やっぱりか。僕の予感が当たっていた。


 僕は6時30分にいつもアラームを鳴らすようにセットしてそれから2度寝して30分後お母さんに起こしてもらうという毎日のルーティンがある。だがまだ5時30分。アラームがなる1時間前だ。


一度整理しよう。




 その1.この「BGM?」のような曲がずっと頭から離れない。




 その2.そして視界が「ギャルゲー」。




  これは⁉そうか、そういうことか。わかったぞ。なんだ、考えたら簡単なことじゃないか。そして僕は眼鏡をかける。




「僕、もしかして物語の主人公になったのか?」




考えれば簡単なことだが考えれば考えるほど自分がもう手遅れなんじゃないかと心配になってきた。


  だって自分が現実世界でギャルゲー主人公になっちゃったってもう考え方としていろいろヤバイ気がするぞ。なんでこんなことになったのか思い出せない。


  なにかすごいことが起きたような、というか昨日はすごいことが起きすぎた(・・・・・)ような。あれ?昨日のどのタイミングでこんなことがあったんだっけ?ちょっと思い返してみようか。
















 5月14日月曜日6時30分、いつもの日常がまた始まる。昨日アラームとしてセットしたアニソンをなんとか睡魔に抗いながらもなんとかスマホを開けアラームを止めた。そしてすぐに起きずに僕はまた眠りについた。










 ~30分後~




「暁~!朝よ~!」




 7時。僕はいつものように母に起こされる。






「あと5分~」




 僕もいつもの決まり文句を寝起きのテンションで声もまともに出すことができないが力を振り絞って精一杯の声で言う。昨日は積みゲー、積みアニメを消化していていつもより眠い。


 母よ、僕はもう疲れたよ。




「い~っつも!そればっかり。早く起きてきなさい!」




 いつものようにヒステリックに叫ぶ母の高い声に驚き眠気が吹っ飛んで、僕はしぶしぶ眼を擦りながらも自分の部屋のある2階から降り、母が用意した朝ごはんを食べながら昨日放送していたアニメを見ていた。




「今季も豊作だなぁ♪このアニメのヒロインすごくかわいいな~」




  僕の名前は岩野(さとる)。宮橋高校1年生。自分で言うのもなんだが自他ともに認めるオタクである。僕は2次元の女の子達を愛している。ああぁ次元の壁壊してぇ~。ちなみにさっき起こしてくれたのは僕の母の潤子(じゅんこ)


  え、なんでさっきから自己紹介するのかって?これは僕の日課なんだ。なんかこんな感じで始まるラノベってあるじゃん!皆も人生で一回はやったことあると思うけどな。こ~うなんかいつもの日常をなんとなく展開させていきながら設定を説明していく奴。あれをするとなんか物語の主人公な感じがするから僕は毎日こんな感じで朝を過ごしている。いつまでやるかと言われるとそれは自分が主人公になるまでだ。


  だがしかし、現実は物語のように単純ではない。


僕は成績身長も全て普通。だから頭の中だけ主人公気分を味わいたいだけだ。


  そしていつもの日課と誰に聞かせているわけでもない説明文を脳内で言い終わると同じくらいのタイミングで朝食を食べ終わった。そしてアニメも次回予告をちゃんと見終わった。




「それじゃ、学校いってくる~」




「あら今日は早いわね。気をつけてね~」




  確かに今日はなんか20分早く支度出来たな。僕はコツコツと数回ほど地面を蹴り、中々はまらない靴をなんとか足にはめることができた。


 そして玄関を開けて学校に行こうとした瞬間、ガチャっと隣の家からも玄関の開く音がした。音がした方向を見ると、




「あっ⁉おっおはよう暁。えっと!」




 とそこから出てきた少女が僕に元気よく言ってきた。




「お、おはよう澪」




「じゃ、じゃあ私は朝練あるから行くね!今日こそはちゃんと言わなきゃ…」


 澪は元気よく学校に走って向かって行った。




「じゃ、じゃあな…」




 僕は今は誰もいないさっき澪が居たであろう場所に向かって呟くように言った。澪が行って遅れてから。




 …まあ皆も今ので分かっただろう。そうだよ!


 僕、暁はリアル女に免疫がない。ギャルゲーのヒロインとなら話せるのだが…小学校低学年から兄に最初にアニメを勧められてからこの8年間、理想の女の子達を追っていくうちにリアル女の限界を知ってしまった。別にリアル女に興味がないわけではないがリアル女という点で何故か苦手意識を持ってしまう。もうそろそろこれを直したい。


  ああ、あいつの紹介が無かったな。あいつは隣に住んでいる友崎澪。性格は凄く元気で人懐っこい。ソフトテニス部に所属していて小学校からここに転校してきた同い年。髪型はポニーテールで眼がクリンクリンしていてソフトテニスをしているからか、キュッと引き締まった足。制服からでもわかるほど細いウエストに対して制服からでもわかる主張してくる女の子らしさ。まあリアル女を認めたくないが運動神経抜群で美少女である。




  え、こんな完璧な幼馴染がいて本当は人生勝ち組じゃないかだって?


 いやいや僕もまだ覚醒したての小学校の時にそう思ってたさ。自分、もしかして今流行りの冴えないどこにでも居る普通主人公じゃね?ってこれからの人生に期待をしていたこともあった。だがしかし!現実は甘くない。小学校からの隣同士の付き合いだが…これっぽっちも二人だけの秘密や着替えに出くわすというサービスシーンも無いんだ!


 神◯みの主人公が言っていたTOYOTAが作る信頼の幼馴染のTO(家がTOなり同士の)しか、かすっていない。教えてくれ落とし神様!どうやったらそんなイベントが発生するんですか!


 誰にもいないが脳内で日課の独り言を言っていた。もう澪とは言うなれば幼馴染ではなく小中高一緒の学校に通っている同級生に過ぎない。馴染んですらない。これからあいつを幼馴染(仮)と名付けよう。本当に現実は物語とは違う。マジで主人公羨ましい。




「今日は時間もいっぱいあるしゆっくりと行きますか」








「…………()()()()()()()




















 うちの高校、公立宮橋高校は1学年10クラスで1クラスに40人くらいの中々にでかい高校である。入学して1ヶ月過ぎた5月、皆クラスメイトにも慣れてきたなぁ。僕も慣れてきた。女子以外はな。アハハハハ~!




「おはよう」




 教室のドアを開けて友人たちと挨拶をしていきながら自分の席に向かう。




「おはよう暁」




 席に着くや否やすぐに一人の男子が歩み寄ってきた。


 こいつは坂上健人(たけひと)。性格はどこか落ち着いていて大人びた感じで僕の幼稚園からの幼馴染だ。中学校でソフトテニス部に入っていてなかなか良いところまで行くぐらいの実力だ。   


  僕とは違って成績優秀高身長の完璧イケメンである。本当に今さらだがすごくハイスペックだよな。健人は。当たり前だが凄くモテるんだよ。確か小学生ぐらいからか凄くモテててきたかな。まあ女なんて所詮小学校高学年くらいから汚れてくるんだよな。高校生になると、もうあいつらは性欲の塊だ。ソフトテニスもしていたから中学校では小学校よりも人気が出てきてな、あの時はもう本当にやばかった。、


 いや~本当に世界には物語の主人公みたいな奴が居るもんなんだな。僕と、よくもまあ仲良くしてくれるもんだ。


  そんな健人とアニメやゲームの話をしていると時間も過ぎ、普通に授業が始まった。












 昼休みになった。僕は3時限目から空腹に襲われていたためすぐさま購買に向かった。健人は基本弁当なので、僕はいつも他のオタク友達と購買に行くが、空腹のためオタク友達を置いて一人で早く来たのだ。健人以外のオタク友達の紹介はまた今度いるときにしようかな。


 それよりも飯だ飯!




「おばちゃん、ラーメンと餃子」




「はいよ」




 そして、いつも自分が座るお気に入りの席に座る。


 え、おばちゃんとはしゃべれるのかって?まあ学食と言えばおばちゃんっていうイメージが覚醒したての小学校時代からあるから何故かしゃべれるんだよね。


 おばちゃんのコミュ力、恐るべし。


 それにしても学食のラーメンと餃子はおいしいな~毎日食べても飽きない。文字通り餃子なら毎日食べても飽きない自信がある。完全栄養食材だしな。




「暁、今日は一人なんだ!」




「ブフッ!?な、なんだ澪か」




 ビックリした!ちょっと吹き出しちゃった。僕に話しかけてくる女子がいるとは、でもましてや幼馴染(仮)の澪が話しかけてくるとはこれは初めての出来事だ……はっ!もしや僕の人生こっからワンチャンあるんじゃね?まあないだろうな、あったら今ごろ幼馴染(仮)ではなく結婚の約束なんて軽くしているはずだし。








  だが、そう思っていた僕はまだ予測できてなかった。ここから僕の物語が始まっていくことに。









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