戦国の身分の話
戦国チート小説でなんかモノを売り込みに行くじゃないですか。たとえば洗濯板。
商家を訪問した主人公に店主が応対して、もう目利きのできる商人さんが見た瞬間にピンときて大金で買いたがって、しかも独占契約なんてして卸した瞬間に客が殺到……
なんてテンプレ小説最近は見ませんけど。主人公が転移とかした場合は身分ってものすごく大事です。
現代日本に暮らしてるとよくわかりませんが、いまだにアポイント取る時に身なりや名刺って重要ですよね。情報の密度の低い戦国時代なんて余計にそれで、まず着ているものや差している刀の本数、髷の形で身分がきまり、それでもって相手の対応が変わるわけです。
農民スタートでも村を差配する乙名・名主なのか、自分の土地を持ってる本百姓か、人にやとわれて暮らす水飲み小作かでまったく違いがでます。たとえば最下級の農民として商人に交渉なんかすると、相手はまず店主どころか番頭手代も出ず、丁稚が対応とかいう話になるわけです。(まぁ、こういう商店の身分制度も江戸時代ですけど)
商売人でこれですから、武家なんてまず会話にならない。武家に何か売り込もうとしたらまず門番に取り次いでもらうために袖の下かそれなりの武家の紹介がないと先に進めません。
門番から下人、中間、若衆、家老が出てきてようやく当主に会えるわけです。この当主も大名でも何でもない一家をもっているだけの武士ですが。
と、言う話をどうやって小説にオモシロク反映するかですけど、こう落としてあげるのがいいですね。なんか最初は門前払いだった商家がちょっと主人公が活躍するといきなり店主が出てきて下手にでるとか。
最初はこう戦国身分制の壁を分厚く感じさせておいて、いきなりそれをぶち破って結果をだしていくとかスカっとすると思いますよ。
なお、上記すべては織田信長と豊臣秀吉には通用しません。この二つは礼儀とか身分とか全部すっとばしても「ああ、信長だから」でものすごいリアリティがあるので。リアルの信長さんは身分とかやかましくて礼儀を知らない茶坊主とか仕事をさぼった女中を惨殺して回った人ですけどね。リアルはリアリティないんでいいんです。