官位の話
官位の話をしよう。
まず、官位というのは2種類ある。
朝廷が正式にくれる官位と、自称官位です。
日本中あちこちに武蔵守がいる理由がこれで、99%が自称官位なのである。
じゃあ朝廷の官位は意味あるの?となるが、やはり正式な場、特に上方で交渉するとなると正式な官位がモノを言って、ただの自称官位は認められないことになる。
北条氏規も美濃守と名乗っていましたが、豊臣秀吉の小田原征伐で外交交渉するにあたって上方に出向いたところ、出てくる諸大名が正式な官位をずらっと持っているのに比べて、北条の使者である自分はただの助五郎あつかいということで、ものすごいやりにくさがあったことでしょう。
ただまぁ、正式な官位は当然ひとり1官職で、定員もあるし、将軍や天下人の斡旋でもないとなかなか手に入らないので、簡単に貰えるものでもないのです。定員があるせいで戦国時代末期に豊臣家が大臣位を独占したせいで朝廷に大臣がいなくなって朝議が開けなくなったという話もあるぐらい。
徳川幕府は武家官位というものを作って定員無制限にしたので解決しましたけどそれは別の話。
さて、自称の官位ですが、これも勝手に名乗っていいものではありません。
色んなルールがあります。
まず、官位というものは主君にいただくものなので、「自称の官位」でも大名に「こういう官位がいいです」と申し出ないといけません。
大名側ではこれをいろいろ詮議します。
まず、すでに家中にその官位を名乗ってるやつがいないか。官位が被るとややこしいので、家中にすでにその官位を名乗ってる人が居たら遠慮するものです。
そして、大名や領地にかかわるものではないか。
たとえば信長の家臣に尾張守がいたら、信長の尾張支配は何なんだって話になってしまいます。
よって国守の官位を名乗りにしても、自分の住んでいる国の周辺国は避けるものでした。
もちろん大名本人は別です。徳川三河守とか、織田尾張守とか。
次に織田信長の家は弾正家ですから、弾正は禁止です。まぁ、先祖代々弾正なんですってところは見逃されてたみたいですが。あと当然ですが信長の使ってる上総介も禁止とまぁ、こういろいろルールがありました。
また、官位のうち国守の官位より上を名乗れるのは基本的には城主・家老クラスの侍です。下っ端がやると僭越ということになります。
オリジナル武将を出す場合の官位の目安です。
基本は八省のカミ、スケ、兵衛、衛門のカミ、スケ、国守号が使われます。それ以外の官位はあまり使われませんので、よっぽど意味がないかぎり神祇官とかなんとか博士とか武士っぽくないのは避けましょう。
大大名 〇〇大夫(八省、中務省・式部省・治部省・民部省・兵部省・刑部省・大蔵省・宮内省、大膳、右京、左京)
兵衛督、衛門督
大名 国守号。 (〇〇守、親王任国は介)
家老 国守号、介。 (〇〇守、介)
一般侍 左右衛門尉、左右兵衛尉、図書、内蔵、内匠、監物、内記、外記、織部、木工、大炊、掃部、内膳、典膳、主水、主税、主計、主馬、帯刀。