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日常業務 3

 その後、散発的にチェイス達を追跡するゴーレムがいるのみで、他に追撃らしい追撃はなかった。

 ポールの内部に押し込まれた権力者の影響もあるのだろうが、それ以上に圧倒的な戦力差を見せ付けられて戦意が失せてしまったのだろう。

 最後に単独で追跡してきたゴーレムも、威嚇射撃をしただけで背を向けて逃げ出していた。

《こちらマック、合流地点に到着。回収を待つ》

 完全に追っ手を撒き、合流地点に到着した一行は街道から一キロほど離れた丘の上で味方の到着を待った。

 アルファチームで最も図体の大きいポールは光学迷彩を起動し、ウージーは光学迷彩を用いて周辺警戒。

 他の隊員もクローキング(擬態)クロス()と呼ばれる、周辺の地形を三次元的に分析・擬態する布で作られたテントに身を隠していた。

 そうして身を潜めること四時間、辺りは完全に暗くなっていたが、耳に届いた小さな振動に一同はテントの隙間から視線を向けた。

 そこには何も飛んでいないように見える。ヘリのローターやジェットエンジンの爆音も聞こえない。

 ただ、ほんの僅かに鼓膜を揺する独特な音波が丘に響き渡っていたのだ。

「なっ、なんだ……なんなんだ?」

 一人だけ事態を飲み込めないノリアゲをよそに、ギュスターブが力づくで彼を立たせた。

 テントを開くと、強い空気の流れを感じた。そこに何かがある。

 直後、光学迷彩を解除したティルトウィングのVTOL機が姿を現した。

 本来は聴力に悪影響とされるほどの轟音を発する二基のイオンジェットエンジンだが、今は鼓膜を震わす程度の音しか発していない。これはエンジン音と逆相関の音を発する消音スピーカーが生み出した奇跡である。

 これによって、静かな環境で耳をすまさない限りは接近を悟られることはない。

 VTOLがゆっくりとした動作で丘に着陸すると密閉されたキャビンドアが開き、TF101の隊員―――もちろん、ギャルド・モンド出身の傭兵だ―――が姿を現し、ノリアゲに鎮静ナノマシンを打ち込むとあっという間に収容していった。

 肩に担がれたノリアゲと入れ違いに、戦闘用の強化外骨格に身を包んだ教授が姿を見せた。

「爺さんが資源調査に同行するのか?」

「ほうだ。第二陣がまだ着いとれせんもんで、まだ人手が足りぃせんでな」

 ギュスターブが怪訝な視線で彼を見るが、それも当然だろう。教授は既に五〇を超える年齢であり、体格は悪くないが、その肩書きから荒事への対処も苦手と思える。

「もしかしてこの俺を単なる頭だけのジジイと思っとるのけ? ハハハ、俺の事なーんも知らんとみた」

「その爺さん、元レンジャー持ちだぞ」

 ジェットパックを背負いつつマックは言う。ギャルド・モンドの隊員は日本の自衛軍についてそれなりに知識があった。そのため、このレンジャーの一言には驚いた。

「あれが? マジかよ」

 メガロドンの呟きに一同は無言で肯定するのだった。

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