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民間軍事国家3

 装備の点検を終えたギャルド・モンドの傭兵達は、最初の仕事を片付けるために外へ出た。

 澄んだ青空に、青々とした山脈。周囲から視認されないように展開されたホログラム・ドームや、巨大なシャベルを抱えて作業するバニヤンを除けば、二〇世紀の東アジアに広がっていた、のどかな田舎のような光景である。

 しかし外の光景とは一変、テントから出て早々に神経質そうな顔が一行を迎えた。

「マック!」

 状況にそぐわない、背広姿の男。SW-1の存在を知り、なおかつ直接足を踏み入れている民間の人間は極少数だ。となれば、彼がどこかの国家の諜報機関に所属していると考えてもいい。

「これはこれは、エージェント仁藤。いかがいたしましたかな?」

 わざとらしい大仰な対応をしたマックの表情には、彼が普段見せないタイプの、苛立ちを多分に含んだ笑みが浮かんでいた。

「いかがではない、その恰好はなんだ!」

 仁藤と呼ばれた工作員が指差すのは、ギャルド・モンドの面々の装備である。TF101の任務とは、現地勢力に発見されることなく情勢を調査し、場合によっては入植の妨害となる勢力を排除する事だ。最新の技術がふんだんに盛り込まれた外骨格のパワードスーツは、目立たないという言葉とは無縁の代物だ。

 動きやすさを重視したソフト型スーツはまだしも、ギュスターブが装備しているハードタイプは対爆防護服にも似ている。現地住民に戦闘用の鎧と見てもらえれば上等、最悪化け物か何かだと判断されても文句は言えない。スーツ以外にも、全員が装着している頭部を保護するスーツ一体型のヘルメットはどうあがいても不自然だ。

 迷彩効果を考慮された設計ではあるが、人ごみに紛れるには不向きなのだ。

 なお、ウージーはスーツを装着していないが、全身機械はそもそも論外である。九〇年代のこの世界ですら人込みでは目立つ。

「見ての通り、装備だ」

「現地住民の目に留まらないような装備を選択するよう、通達が出ていたはずだ」

「そうだな」

「ではなぜ従わない?」

「どうせこの世界を侵略するのは目に見えていることだ。こちらの存在も、いずれ気取られる」

 徐々に笑みが憤怒の色を帯びていく。

「政府のお偉方は下らない体面を気にしてるらしいが、そんなもので俺達の身を危険に晒す気はない」

「命令だ、装備を変えろ!」

「俺達の依頼主はお前達じゃない。命令は聞くが、従うかどうかは別だ」

 強烈な殺気を孕んだ視線を仁藤に送ると、

「どけ、仕事の時間だ」

 仁藤を半ば押しのけるように、ギャルド・モンドはドームの出口へと向かった。

 あくまで、ギャルド・モンドの依頼主はいくつかの仲介を通しているとはいえ、その根元は“投資家達”だ。

 マックは一見無謀な男に見えるが、その実は思慮深く冷静だ。スーツの装着は無許可の行為ではなく、依頼主から正式な許可を得てスーツを身に着けている。すなわち、“投資家達”は現地勢力に存在が発覚することについては、大きな問題と捉えていないのであった。

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