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夜襲2

 破城槌と大砲、比べればどちらが高価で重要な兵器かは考えるまでもない。汎用性の高さと構造から、大砲に軍配が上がるのは明らかである。

 そのため、本陣と目していた大きなテントの前に、複数の歩哨と共に鎮座していたとしても、慌てることはなかった。

《武装した歩哨一〇名以上。交戦なしの接近は極めて困難》

《ギリギリまで接近しよう》

 拳銃を握りしめ、二人は大砲まで一直線に歩いた。やがて接近に気付いた歩哨が声を上げた。

「どうした、交代はまだだぞ」

「見張りからの報告だ、村の連中に動きがあるらしい、内乱が起きたのかも」

「え、本当か?」

 なんの根拠もないデタラメを話していたが、ソヴォクはコロニーの発言に合わせた。

「本当だ。門が開くかもしれない。俺たちはカミール様に報告へ向かう」

 一番槍は名誉だ。さらに、ダギーズの今までの動向からして、戦の目的には略奪が含まれている。兵士達が門が開くと聞けば、一番いい物を、一番早く手に入れようとするだろう。

「おい、どうするよ」

「行くに決まってんだろ。他の奴らに取られちまう」

 兵士達はヒソヒソと話し合うと、他の者を起こさないように足音を忍ばせながら村の方面へと向かっていった。

 その場に残されたのは、大砲と二人だけ。

《口が達者だな》

《人の欲を突くのが得意なのさ》

 安全を確保すると、ソヴォクは先ほどと同じく破壊工作の準備に入り、コロニーはテントの陰に隠れた。

 これが終われば、あとは逃げるだけ。しかし悪い事というものは、そういう時に限って起きる。

「総員、点呼開始!」

 突如、本陣から怒鳴り声が響いた。この部隊のリーダー、カミールの声だ。

 号令と共に鐘が鳴り響き、宿舎のテントからは慌ただしく兵士が出てきた。

 点呼ということは、誰何される危険性が極めて高い。ダギーズの事を詳しくない一行がこの場にいる事はもう出来ない。

《急げ、慌ただしく……》

 突如、コロニーからの連絡が途切れた。

《コロニー、どうした》

 手を動かしつつも、問い掛ける。まさか捕まってしまったのだろうか。

 いや、それはおかしい。体内通信とは、送りたいと考えた言葉が載ったシナプスをナノマシンが読み取り、無線機が電波に変換。その後相手に逆の手順を経て伝えられるというプロセスの会話であり、口頭の会話とはまるで違う。

 体内通信の発言が途切れるという事は、意図的にそうしたか、思考が途切れる事態が本体に発生したということになる。

《応えろ!》

 少しして、応答が来た。

《悪い、発見された。いつでも撃てるライフルが二丁、いや三丁俺に向いてる》

 自力で切り抜けられる状況ならば、既にそうしている事だろう。無意味な事を嫌う彼は、爆薬のタイマーを設定しつつ、打開策を思案し始めた。

《こちらギーク。ソヴォク、パックアップはいつでもいけます》

 どうやったかは知れないが、会話を聞いていたらしいギークが回線に割り込んできた。

 ちょうどいい、今は彼が必要とされる状況だ。

《こちらは敵の注意を引く。合図で開始しろ。そちらは……せいぜい、派手に暴れつつ助けてくれ》

《了解、度肝抜いてやりますよ。ギーク、通信終了》

「侵入者に告げる! お前のお友達を一人捕まえたぞ! 出てこないのであれば、この場で指を一本ずつ切り落とす!」

―――やれやれ、血の気の多い野蛮人だ。

 作業を終えたソヴォクはすぅと息を整えると、両手を挙げて大砲の陰から身を晒した。

特殊作戦群 対革命戦部隊

 通称、SFGp-CRWT。陸上自衛軍の特殊部隊、特殊作戦群の対テロ戦闘に特化したチーム。自衛軍の汚れ仕事や警察では対処出来ない国内でのテロ対策を任務とし、無慈悲な作戦を行うため国民からは恐れられている。

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