未知との遭遇1
二〇四〇年、人類は火星にて恒久的に活動可能な開拓基地の建設に成功。
長年人類が抱いてきた惑星植民の夢はSFの物語ではなく、ぐっと現実に近いものとなった。
だが五〇年後にそれを凌駕する技術が火星、ユートピア基地にて発見された。
ポータル。元は物質転移の基礎となりえる技術として研究されていたが、常軌を逸したこの技術は思わぬ場所への玄関となった。
こちらとまったく異なる次元の世界。いわゆる異世界である。
新たなる物質、無数の資源、膨大な土地。
研究所の設立に力を貸した投資家達は惑星植民以上の利権を想像して胸躍らせたが、その結果は惨劇に終わった。
原住生物による攻撃。基地に勤めていた四〇〇〇人全員の死亡。
偶然居合わせた米国宇宙海兵隊員の活躍によってポータルは閉ざされ、奇跡的に惨劇の拡散は避けられた。
しかし、職員が外部に漏らした情報によって事件の揉み消しには失敗。災いを呼ぶ危険な研究と、世間から強い批判を浴びることとなった。
こうして、奇跡の技術は日の目を見ることなく表舞台から姿を消したと思われた。
しかし、人類の愚かさは常軌を逸していた。
次こそうまくいく。もう同じ過ちは繰り返さない。対策は完璧だ。
投資家達はその言葉を胸に、再びポータルを開くよう命じた。