へんてこなオオカミとヒツジの話
これは、へんてこなオオカミとヒツジのお話です。
林のなかで、一ぴきのヒツジがのんきに草をたべていました。
そこへ、一ぴきのオオカミがあらわれました。
「あのー、わたくしオオカミというものですが……」
オオカミがちかづくと、ヒツジはかおをあげました。
「見たらわかるよ。どう見たってヤギには見えないもん」
「そ、そうですね。しつれいいたしました」
オオカミは、へらへらわらっています。
「いやあ、ヒツジさんはいいですね。たべるものがいっぱいあって。
ほら、あっちにもおいしそうな草がはえていますよ。うらやましい」
ヒツジは、だまって草をたべつづけました。
「それにくらべて、わたくしたちオオカミときたら、
ほかのどうぶつをたべないといきていけないんですよねー。うーん。こまったもんだ」
オオカミは、ヒツジのまわりをうろうろしています。
ときおり、ちらちらとヒツジを見ています。
ヒツジは、もくもくと草をたべつづけました。
「あー、おなかすいたなー。このまえしょくじをしたのはいつだったかなー。
たしかウサギをたべたはずだけど、ずいぶんまえだなー」
オオカミが、ひとりごとのようにいいました。
コホンとせきをすると、ヒツジにかおをちかづけました。
「そこでごそうだんなんですがね。あなたをたべさせてもらえないかと思いまして……」
オオカミは、にっこりとわらいましたが……。
「だめだよ」
ヒツジは、しらんかおで草をたべつづけました。
「そ、そうですよね。ヒツジさんのいうとおり! オオカミにたべられたいヒツジなんて
いない、いないばあですよね。ははは……」
オオカミがじょうだんをいっても、ヒツジはわらいません。
「では、これならどうでしょう。おしりをひとくちかじらせていただくというのは……」
「いやだ」
「うーん。そうですか。それじゃあ、こうしましょう。足一ぽんだけでがまんします」
「だめ」
「じゃあ、じゃあ、みみだけは?」
オオカミがなにをいっても、ヒツジのこたえは「だめ」「いやだ」ばかりです。
オオカミが、あたまをさげました。
「ああ、おねがいしますよ! あなたをたべさせてください! もう、はらがへってしにそうなんです!
もしかしたら、もう、しんでるかもしれないんですよ!」
「しんでるわけないよ」
ヒツジはやっぱり、しらんかお。
オオカミは、とうとうひっくりかえって、だだっ子みたいに足をばたばたさせはじめました。
「ああ~ん。やだやだやだやだ、たべたい、たべたい、たべたーい。
たべさせてくれるまではここかからうごかないぞー!」
「それじゃ、ずーっと、ここにいればいいよ」
ヒツジは、とことことかけだしました。
「うわ~ん、まってよー」
オオカミがなきながら、ヒツジのあとをおいかけてきます。
「はあ、しつこいなあ。これだからオオカミっていやなんだよなあ」
ヒツジは、ためいきをつきましたとさ。
おしまい




