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PAGE.4

また更新滞り、申し訳ありません!

読んでくださっている方(いるのかな?)をお待たせしてしまいました。

今夜中に、全話投稿したいと思います!

*視点は、「俺」→現在のアレク 「ぼく」→子供のころのアレクとなっております。わかりにくくてすいません。

____あったかいふわふわしてる。そんなことを感じながら、僕はゆっくり目を覚ました。

(……ここどこ?たしか、ぼくはみちにたおれてて……)

「気がついたのね〜良かった!もう、大変だったのよ。あなたったら泥人形みたいに重くって。」

「………ここどこですか?それにあなたもだれ?」

「私はサーシャ。で、ここは私の家。他に訊きたいことは?」

「あ……。」

「ないの?じゃあ、私もあなたのことを訊きたいんだけど。」

(……いえなかっただけなんだけど)

困惑している僕には気づかなかったらしい。彼女は質問しやすいようにか僕に近づいて来た。

「あなたの名前は?どうしてあんな所に倒れてたの?」

「ぼくはアレクっていいます。シンカのまちにすんでました。…そうだ!おねえさん、ここはにじのまちなんでしょう?ぼくはここにきたかったんだ!」

 僕はあわててとび起きた。頭がくらくらしたが、気にもならなかった。しかし、彼女は不思議そうな顔をしているだけだった。

「……何のことか分からないけど、たぶん違うと思うわ。ここはリョクハの街。クラベル男爵領の中心にある、小さな街よ。まぁ、領主様のお人柄のおかげか、のんびりしたいい所だけどね。」

(そんな……!)

 僕は、ショックで頭が真っ白になった。

 ……けれど、頭のどこかで”ああ、やっぱり”と言っている自分がいた。

「それにしても、そんなに遠い街からその虹の街?っていうのを探しに来たの?シンカっていったら街を三個以上超えないと辿り着けないじゃない。あなたのご両親は?」

「……とうさんと、かあさんは」

 言おうとするだけで、喉がカラカラになっていくような気がした。胸が痛い。

「とうさんと、かあさんは……このあいだしんじゃった。ぼくは、とうさんたちに会いたくて、にじのまちに行きたかったんだ!」

 ”しんだ”といったとき、喉が焼けつくようだった。最初は絞り出すような声しか出なかったのに、最後には叫んでしまっていた。

 サーシャさんははっとした顔をした後、目を伏せた。

「そう……ごめんね。けれど、この街は虹の街じゃないし……あなたのご両親にも会えないわ。」

 彼女の静かな声は、僕の中に湧き上がった反発心を穏やかにたしなめた。彼女が言ったことがごまかしのない真実だと分かっていたからかもしれない。

 ……眼の端から、涙が一粒、二粒と、零れ落ちた。

(もう、会えない……?)

 その時、初めてその言葉が、本当に頭の中に、胸に沁み渡ってきた。

「……っうわぁぁぁ!ああああっ」

 ……気づいていた。分かっていて、僕はずっとそのことから目をそらして逃げていたのだ。忘れたくて、ただ走ってきただけ。……全部全部自分が信じていたかっただけなのだ。

 泣きじゃくる僕に、彼女がさらに近づき、手を伸ばしてきた。

 ぽんぽん

 ……僕は、彼女に抱きしめられていた。頭をやさしくたたかれる。

「頑張ったね。うん、頑張った。だから泣いちゃいなさい。」

「っん!ぼくっぼくは!しってて、いやで!おとうさんたちと、もっといっしょにいっいたくて!」

「うん、うん。」

「あいたい!あいたいよ、とうさんっかあさんっ!……うわぁぁ!」

「……ずっと、泣けなかったんだね。君は強い子だ。でも、もう良いんだよ。このままだと、きっと悲しみに囚われちゃう。思いっきり泣いて、また歩きださないと。」

 彼女の声は優しくて、とても強かった。彼女の温かい手が頭をなでてくれることが、どうしようもなく僕の心を溶かしていく。こんな風に、家族以外の人に甘えたのは、久しぶりなような気がした。

 三十分ほど泣くと、さすがに疲れて声も涙も出なくなった。その間、ずっと彼女は優しく抱きしめてくれていた。

 そして心が落ち着くと、彼女の行動がとても不思議に思えてきた。何の縁もゆかりもない僕を、彼女は家のベッドに寝かせ、泣きだした僕を慰めてくれた。

「ねぇ……どうして助けてくれたの?」

 僕は彼女に掠れた声で尋ねた。サーシャはキョトンとした顔になったが、すぐにふんわりと笑った。

「んー……私が前にそうしてもらったからかな?」

「えっ?」

「わたしもね?道に倒れてたところを、今の両親に助けてもらったの。……私は君と違って、元の親には捨てられちゃったんだけど。……でも父さんと母さんは、温かいご飯と温かい心を私にくれた。……だから、あなたを見たとき体がつい動いちゃった。」

 そう言うと、彼女は僕の鼻の頭をチョンッとつついた。

「それに、この街にはきちんとした救護院があるから、道に倒れてる人なんて酔っ払いぐらいしかいないのよ。で、あなたこれからどうす……。」

 ぐうぅぅぅぅ

「……大したものはできないけど、とりあえずご飯にしましょうか。」

お読みいただきありがとうございました!

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