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一日二話投稿を目指したいと思います。
今回の話は少し短めです。
読んでいただいた方に、少しでも楽しんでもらえれば幸いです。
「……-い、おーい!もう、お風呂だって言ってるのに!」
「あ、すまん。すぐ行く。」
サーシャがいない間、少し意識が沈んでいたらしい。彼女はすでに寝間着に着換えていて、こちらを覗き込んでいる。
「大丈夫?」
「あ、ああ……。」
「じゃあ、先に寝てるから。後よろしくね。」
サーシャはそう言うと、こちらに背を向けて二階へと向かった。その後ろ姿に俺は声をかける。
「なあ……。」
「なあに?」
振り返った彼女は怪訝そうな顔をしている。俺自身、どうして声をかけたのかわからない。
「……いや、今日で終わりなんだなと思っただけだ。」
俺は結局何を言っていいかわからないまま、ただ心に浮かんだことを言った。サーシャは一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに口元を綻ばせた。
彼女はいつもと違い、少し困ったような顔で笑いかけてきた。
「何を言ってんの。明日から始まるのよ。それに何も、変わらない。……そうでしょう?」
「ああ…そうだよな。」
俺は胸の中に感じる少しの苦みに気付かないふりをした。俺の適当な答えに、彼女はますます不思議そうな顔をしている。
「……本当にどうしたの?」
「なんでもないよ。」
そう言って彼女の頬に手を伸ばし、軽く口づける。彼女はごまかされたように感じたのだろう。眉を寄せて、俺の方を軽く睨んでくる。だが俺はそれに気づかないふりをして、手を離した。
「じゃあな、おやすみ。」
「おやすみなさい……。」
そう言うと彼女も俺の額に口づけた。そして今度こそ二階に昇っていく。
彼女がどんな顔で俺にキスしたのか。それを俺は見なかった。
お読みいただきありがとうございました!