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PAGE.1

元々、短編として投稿しようと思っていたのですが、予想よりも長くなってしまったので連載にしました。設定は相変わらずゆるめです。(名前とか)

書き終わっているので、定期更新していきたいと思います。

少し前に書いたものなので、他のものに輪をかけて拙いのですが、楽しんでいただければ嬉しいです。

「アレク、お風呂洗い終わったわよ!」

 

 彼女が桶を抱えたまま、戸口から元気よく家の中に入ってくる。床に置くと、こちらの手元を覗き込んできた。

「こっちもそろそろ夕食ができそうだ。皿とってくれるか?」

「うわぁ!豪勢ね。……ん、おいしい!これはほかのも楽しみね~!」

「ちょ、先に食べるな!ったく、こんなやつを嫁にする奴に感謝しろよ。」

「またそんなこと言って!ほんとに失礼なんだから!……もう一つ!ん~。じゃあちょっほ、あひたのにほふ、かふにんひへふふはね~。」

 そういって、サーシャは唐揚げを口に頬張りながら、キッチンの隣の階段を駆け上っていった。

 いつも朗らかで、裏表がない。そんな彼女は、だれからも慕われている。

 さっきまで怒っていたはずの俺も、なんの衒いもなく褒められたことについつい口元を緩めてしまう。危ない危ない。俺は首を振って料理に戻った。

(…ってか、皿をだしてから行けよ!)

 いつもいつも怒ろうと思っているのに、結局許してしまう自分が悪いのだが……なかなかに傍若無人な振る舞いだ。

「…惚れちまってるってのは、ほんとにしょうがねぇなあ。」

 そう呟き、苦笑する。そして俺は小さくため息をつきながら自分で皿を出し、料理を盛り付け始めた。


           *


「アレクが料理得意なのは嬉しいんだけど、ここまですごいのをだされると……なんかモヤッとするわね。」

「何言ってんだ。手抜きなものだしたら、地獄の悪鬼よりも凄まじい目つきで睨んでくるくせに。」

 悔しそうに皿を睨みつける彼女の前にほかの料理も並べていく。席に着くと、彼女がグラスを持ち上げた。

「まぁ、結婚おめでとー!誰も言ってくれないから、自分で言っちゃう!」

「……おめでと。」

「声ちっさい。」

「おめでとおっ!」

「よし、食べていいわよ。」

 ……色々言いたかったが、ここで逆らっても面倒なことになるだけだ。俺は合わせたグラスを置き、料理を食べ始めた。

 今日は結婚を祝うために、いつもよりも豪勢な献立になっている。サーシャは早速料理にひょいひょいと箸を伸ばし始めた。

「んー!このサラダドレッシングおいし~!あ、そっちの炒め物ちょうだい。あっ!このドリア少しくせがあるわね。まぁおいしいけど~。」

「そんだけ口に入れて、よく味がわかるな。」

 俺は少しあきれた声になった。なんせ彼女は口に2・3種類入れて食べているのだ。頬が膨らみ、まるでリスのようになっている。美味しいそうに食べてくれるのはうれしいのだが、淑女としてどうなのか。


「だって、あなたが作ってくれたものだもの。いつも私の好みの味にしてくれるでしょう?私、おいしい味のものはまちがえないのよ。」

「……!」


 サーシャはなんでもないことのようにサラッといった。そんな彼女とは反対に、俺の顔は……絶対に赤くなっている。

(こんな小さなことで喜ぶな、俺!いつものことだろうが!)

 自分が彼女のことを一番知っていて、それを彼女も当たり前に思っている。それがとても嬉し……かった。

 そんな気持ちを気取られたくなくて、顔を伏せながら話を変える。

「明日、大丈夫か?」

「当り前でしょ。何度もアレクも確認したでしょ。心配なことと言ったら、この料理を食べすぎて明日動けなくならないかっていうことぐらいよ。ほらほら、あたしだけに食べさせないで!」

 言われて彼女の手元の皿を見ると、山盛りにしてあったカラアゲが半分以上消えている。周りの皿も全く残っていない。いつの間に…。

 唖然としている間にも、彼女が俺の皿に料理を載せてくる。確かにあまり食べていないが……

(俺が食べてないのではなく、サーシャが食べすぎなのでは!?)

 しかしそんな事を一言でもいった瞬間、あのフォークは皿ではなく、俺の方に向けられるだろう。なので俺は何も言わず、渡された料理を食べた。

 そのあと料理の7割をサーシャが食べ、残りを俺が片付けて、ささやかな晩餐は終了した。


お読み頂きありがとうございました!

他のものも、早く更新したいと思います。

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