午後の訓練開始
昼食を食べ終ったあと、すぐにでも魔法の訓練をしたかったのだが、ここで父親が俺にカッコいいところを見せると張り切り始めてしまい。
「まだアルに稽古を付けてやることは出来ないがよーく見ておくんだぞ!」
などと言い、俺を連れて屋敷の訓練場に行こうとする。
(いやいや、父様あなたが本気を出したらうちの騎士死んじゃいますよ?周りも呆れ…なんで母様はそんな期待した眼をしているのですか?騎士が怪我したら回復させるのはあなたでしょうに)
誰か止めてくれないかと期待して見たが使用人達は諦めていて騎士の冥福を祈り始めていた。母様に至っては見学する気満々のようでむしろ嬉しそうにしていた。
そんなこんなで騎士の冥福を祈りながら辿り着いたしょkゲフンゲフン訓練場。普段あまり領主が顔を見せることは無いのだろう、新米らしい騎士達が緊張しているのと対照的に熟練らしい騎士達は頬を引きつらせながらも跪く。
「よい、皆訓練の邪魔をして悪かった、楽にしてくれ。それと今日は私も訓練に参加する事にしたからいつも通りにしてくれ。」
あっ、熟練さんの顔が絶望に染まった。ご愁傷様です。
父様が騎士の1人から木剣を受け取っている間に母様が俺を抱きかかえながら訓練場の隅に退避して準備完了。
父様VSその場にいた騎士達で互いに構えている。
一緒に付いてきていた使用人が真ん中の開いた空間に行き、
「それでは、旦那様対騎士の模擬戦闘を始めます。必要の無い怪我には十分気をつけてください。
始めっ!」
こうして始まった訓練と言う名の一方的蹂躙、果たして魔王に抗える勇者は現れるのか⁈
うん知ってた。結果なんて分かってたよ。蹂躙は訓練場にいた騎士全てを父様が倒して終わった。
…ねぇ?これの何をよーく見ろと?父親の圧倒的な蹂躙ですか?それとも圧倒的に蹂躙される騎士ですか?1歳の息子になんちゅうもん見せるんだ!普通の1歳児なら自分の父親に泣き叫ぶぞ?
まあ、俺はそんな事無いからいいんだが…
それにしてもやはり父様は強いな。騎士全部で20人位は居たよな?ステータス的にはここまで圧倒的な差は無かったからスキルか?剣術Lv6ってかなり強いんだな前世の俺でも如月流を使わなければまともに打ち合えないだろうな、まあ、それでも如月流を使わないで身体能力のみでの話だから如月流使えば素手でも体術のみで一瞬で勝負をつけられるだろうな。
そもそも前世ではステータスなんて無かったから比べるのが間違いだろうが、あの爺なら如月流無しでも勝ちそうな気がするのは何故だろう。今思えば爺のくせに俺より動き早かったし、まさか何かこちらの世界で言うスキル的なのがあったのか?俺が転生した時にスキルがあったことを考えるとあながち間違いでもない気が…ん?誰か来た
「全く、情けない、それでも騎士か!護るべき人に負けて悔しく無いのか!」
倒れている騎士とは体捌きから違う騎士が訓練場の入り口から入ってきた。身体は戦いで傷ついただろう傷が見え隠れしている。歴戦の強者の風格を纏いながらその騎士は父様の前まで来ると、
「私もお相手しましょう」
と告げ、父様も
「息子の前なのだ、今の私は騎士団長だろうと負けんぞ!」
あ、やっぱり騎士団長なんだ明らか他の騎士と違うもんね。鑑定結果は驚くべき結果だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】ジェラルド
【種族】人族
状態:健康
レベル:50
HP:5000/5000
MP:3000/3000
筋力:680
敏捷:650
魔力:450
器用:530
幸運:62
魔法
無魔法Lv6 風魔法Lv5 土魔法Lv4
スキル
魔闘術Lv7 気配察知Lv5 剣術Lv7 盾術Lv5 指揮Lv6 魔法剣Lv4
加護
さすが騎士団長、父様のステータスを全体的に上回っている、しかも見たことないスキルがある
ーーーーーーーーーーーーーーーー
魔法剣
剣に魔法を付与することが出来る付与できる魔法のレベルはスキルレベルに依存する
ーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほど、これはかなり使えそうだな、父様が習得してないのはやはり魔法があまり得意ではなく剣に付与するのは出来ないからだろうか?そんな気がする…
そんな事を考えているうちに父様対騎士団長が始まった。これさっきまであった蹂躙ではなくちゃんとした試合になっていた、全体的に劣る父様が先手必勝とばかりに騎士団長に突っ込んでいきそのまま剣を振り下ろす。それに対し騎士団長はバックステップで躱し振り下ろした事で身体が一瞬止まった父様に一瞬の隙をつき横薙ぎの一撃を与えようとするが父様はなんとか体勢を崩しながらもしゃがみ込み回避しそのまま剣で切り上げようとする。しかし、そんな事は読んでいるとばかりに横薙ぎの一撃から振り下ろしに繋げ父様の切り上げを迎え撃つ、一瞬の降着の後体勢でも筋力でも勝る騎士団長が押し切り父様のバランスを更に崩し父様が体勢を立て直す暇も与えず連撃を入れそのまま最後まで押し切り剣を父様の首に添えて騎士団長が勝利した。
「参った。やはり敵わないか、流石うちの騎士団長だな。」
「いえいえ、旦那様もなかなか手強く一瞬ヒヤリとしました。」
「嘘言え、最初から最後まで余裕だったくせに、まあ、息子に勉強になっただろうしいいだろう。」
父様は苦笑いしながらも、どこか嬉しそうに模擬戦の感想を言い合っていた。
その後は騎士達の回復を母様を筆頭に回復魔法の使える人が回復させ父様も交えた模擬戦や、模擬戦を待っている間に素振り等をしながらも時間が過ぎていき、今日の訓練の見学は終わった。
読んでいただきありがとうございます




