第一章 密室にて
目を開けると、そこには数週間見続けていた見慣れた天井は広がっていなかった。
その天井は薄汚れていて、所々にひびが入っている。
一目見ただけで、手入れが行き届いていないのは明らかだ。
「 . . . . . 」
え、何でだ?
そうだ。俺はきょう退院するんだ。 なのに何でこんな見知らぬ場所にいるんだ?
「えっと . . . 。」
だめだ何も出てこない。
思い出せ。 思い出せ。
どんどん記憶が蘇ってくる。
えっと確か今日俺は退院するはずで、学校に行く準備をしてそんで、えぇと、えぇと . . . 。
「はっ、そうだ。」
ボンレスハムを食べたんだ。 ってことはこのわけのわからん状態はハム太のせいか。
くそっ 友達だと思ってたのに。諸悪の根源め、許さぬ。 許さぬぞ。
「はっ、そういえば学校。」
とっさに前の病室の時計があった方向を見やる。
だが、そこに時計はなく、あったのはひびの入った壁だけだった。
そとを見ようとしたが窓には鉄板のようなものがはりつけてあり、ボルトでがっちり固定されている。
その露骨な閉鎖感に危機感を覚え、一気に体を起こし、ドアまで行く。そして手をかける。だが、
「 ガッ . . . 」 返ってきたのは無機質な音だった。そしてそのまま後ろに下がりベットに倒れこみ、
やっとこの言葉をつぶやく
「 . . . . . ここはどこなんだ?」
ん? . . . .
. . . ____________
はっ、と目を開ける。
ん? あぁここか、はぁ . . . 。
体を無理やり起こしてベットに座る。
「よくこんな状境で寝れんな、俺。」
ちょっと自分に感心しつつ、部屋をもう一度見まわす。
すると、寝る前には見なかったものが何個かある。誰かが入ってきたのか?
だとしたら寝たのは失敗だったな。
「あぁあ、起きてりゃ出れたかも、くそっ。」
気持ちを鎮めて周りを見る。まず床に書かれた4の文字、マジックか?
他には、鉄板の近くに小さく wsne と書いてある。なんだ?
5と書いてある壁には、4個の空白があるタッチパネル。
の上に鹿みたいな動物の頭が飾ってある。リアルでビビるな
あとはえぇと、四方の壁に8、5、3、6と書いてある。
部屋の隅には棚がある。これは寝る前からあったな。
扉は相変わらず開かないが、よく見ると鍵穴がある。気づけよ俺 . . . 。何で寝たんだよ。
他にもベッドの枕の隣には、何故か可愛らしいぬいぐるみが置いてある。
「なめてんのか . . . 。」
イラッとして、ぬいぐるみをぶん投げる。すると、ゴッとぬいぐるみらしからぬ音がする。
「なんだ?」
ぬいいぐるみを取って強く握る。中になんか入ってる。
「なんか切れるものないかなぁ。」と言って周りを見る。
「あ!」 ハム太から貰ったボンレスハムを切った包丁がある。
というか食べかけのボンレスハムだけ置いてあるのは何故だ?
変な疑問を持ったまま包丁を持つ。
何の躊躇もなくぬいぐるみの首元から包丁を入れる。ぱっくり開くと箱が入れてあった。
箱を開いてみると、その消しゴムぐらいの大きさの固い物の両端には、S Nの文字がある。
「 . . 磁石だな。」
何故磁石? まいっか。
「ん? SとN、どこかで見たな。えぇとどこだっけ。」
ぐるっと部屋を見回す。sn、sn、sn、
ふと鉄板を見る。近くにwsneの文字。 「あった!」
磁石のSとNは南と北だ。とするとwとeは西、westernと東、easternだな。
ふふっ、これほど英語勉強しといて良かったと思ったことはなかったぜ。
方角繋がりで4が4ではなく四方を表して、wsneの順番通りにすると
8 3 5 2になる我ながら華麗な推理だ。 ふふん
̻4桁なのでそのままタッチパネルに打ち込む。
「ん?、なんだこの分け方。」
タッチパネルの空白は □□ □□ と、間が空いている。
つまり打ち込むと、83 52となる。変だがそれでもタッチパネルは反応した。
ピッ といってタッチパネルが上に開く。中には黒い棒状のものが入っていた。
「なんだこれ? ハンコか?」だが棒状のものは開いたりはしなかった。
「わけわかんねー 詰んだー 。」ベッドにダイブする。
「ていうか何でこんなことになってんだよ、」 苛々する。
「誰だよこんな悪戯けしかけたやつ! ハム太かっ? もしあいつならぜってーぶっ殺す!
あいつじゃなくてもぶっ殺す!」
苛々が蓄積して言動が荒ぶる。
数分してやっと気持ちが落ち着く。
はぁ はぁ 駄目だ冷静になれ、はぁ ふぅ。
がばっとベッドから起き上がり、もう一度部屋を見渡す。
棚、鹿、ハンコ、磁石、ボンレスハム うーむ訳分からん。
そういえば棚をまだ見てなかった。
そういって棚に近ずく、だが引き出しがなく天板に穴が開いている。
「 ? 」
ワイヤーで何故か固定してあるが、ゆるゆるで少し揺れるので揺らしてみる。
ガタッ カコッ ガタッ カコッ ガタッ
また中に何かあるようだ。穴からのぞいても暗くて分からない。
だが、光が当たるとキラッと中で一瞬光る。
「反射してる . . 金属?」 だとしたら磁石があったな。
だが磁石が短すぎて中まで届かない。
「くそ、ながくするものねーかなー。」机のあたりを見る。
するとそこには、ハム太のくれたボンレスハムが . . . 。
ボンレスハムは紐で縛ってある場合が多い。つまり
和人は包丁でさっと紐を切り磁石に結ぶ。そしてそれを穴の中に入れる。
「 カチン」 ビンゴ! 和人は人前で言ったらちょっと恥ずかしそうなきめ台詞を言った。
どうせ一人だし . . . 。 慎重に引っ張って上げていく、すると鉄でできた箱が出てきた。
とりあえず開けようとする。だが、ネジで閉まっているその箱を開けることはできなかった。
「くそっ、また詰まった。」
高ぶる気持ちを抑え冷静に考える。 やっぱりハンコと83 52を解かなきゃなぁ。
そして考え込む和人。頭が良いのが取り柄なので83と52という数字をキーワードにして
学校で勉強したことと結び付けていく。
1983年 老人保健法、悪の帝国発言、ファミコン、三宅島噴火
1952年 黄変米問題、日米行政協定、グレーンベレー結成
ちがうな、組み合わさらない
8月3日 尖閣諸島、元寇
5月2日 プリマヴェーラ、ドライゼ銃、東福寺
うーん、駄目だ
元素番号 83番 ビスマス Bi
元素番号 52番 テルル Te
組み合わせて、ビスマステルル? BiTe . . .
Bite! 意味 かじる 噛む ハ、ハンコをかじるのか?ハンコか知らないが、
おしやるぜ、 「ガッ」 「バキッ」←和人の歯からでた嫌な音
「いたあぁぁ」 なっ、かたすぎぃー なんだよこれ! ってゆうか俺がかじるって断定された
わけじゃないじゃん、何でかじったんだ俺?
代わりにかじってくれそうなものを探す.
. . . 鹿の頭あるし。 ハンコを鹿に口に刺してみる。
「ビコーン」目が光る そのまま口を大きく開いたと思ったら、「バキイィ」一瞬で噛み砕いた。
こえぇ 鹿こえぇ なにはともあれ成功したので、取り出してみる。
ハンコかと思っていたものは、先端が砕けてドライバーが突き出ていた。
「ビンゴ」2回目だ。 とりあえずドライバーを使って箱を開けてみると、中に紙が入っていた。
「 3六 」 なんだ? 分からねぇ 3六?何で漢数字が混ざってるんだ?
だが、よく見ると紙の下のほうに、ヒント ゲーム関連 と書いてある。
「ゲーム関連? どこが? 心当たりねぇけど。」
何かあるかなぁ 心の中で模索するがやはり分からない。
3六ってまず何だ? 36? 3と6?
「3六、3六、3六 ん?」なんか聞き覚えがある。
何だっけ、ごく身近にあるような気がする、何だっけ、思い出せ何かあったはず。
3六 そうこの音を聞いたんだよ、思い出せ、思い出せ、思い出せば脱出に一歩繋がるはず。
家に帰らなきゃ、明日からは学校も行かなきゃ、灰色の青春は嫌だからな。
3六 思い出せ . . . そうテレビだ テレビで見たんだ。番組で、
テレビ番組でゲーム、漢数字と数字が混ざる説明をするやつ、
ふと男の人と女の人が何かを背に並んでいる情景が浮かぶ。
. . . 「 名人 3六歩 . . . 将棋だ!。」
そうだ将棋だ!思い出した、この言い方。
そして3六は座標だ。この部屋で9×9の場所は . . . 床だな。
そう断定して、あてはまるばしょのタイルをおもいっきり踏みつけていく
すると、「ボフッ」といってタイルが沈んだ。それを見逃さずあらに踏みつける。
「ボフッ ボフッ ボフッ」 そして沈んだタイルとタイルの隙間に空洞が見えてくる。
そしてついに空洞がすべて見えそこには、鍵が置いてあった。
「きたっ! やっときた、 どうだお前の自慢の脱出ゲームなんて余裕なんだよっ!
はははははっ ざまあみやがれ! クソ野郎 出たら即行ぶっ飛ばしてやる!」
そして、鍵穴にカギを刺して回す。 「ガチャリ」手応えのある音。
「ふぅぅぅ」と、ため息が漏らしながら目をつぶる。そしてもう一度目を開ける。
家に帰れるはず、という希望と少しの不安を持って和人は、ドアを開けた。
更新遅れてすいません。 一週間後ぐらいに次を投稿します。