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プリズン ホスピタル  作者: バーボン一号
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プロローグ

目を開けると、そこには見慣れた天井があった。

ここは日本でもそれなりに有名な病院の一室。

窓からはカーテンごしに光が差しこんできている。 

ベットの周りにある机には、お見舞いのフルーツやらお菓子などがおいてある。

俺の名前は白井和人しらいかずと。ふつうより少し頭が良いぐらいの高校二年生だ。

部活は所属していないし、それといった特技もない。

そんな俺にはもちろん恋人がいるわけがなく、友達もそんなに多くない。

そんなだからアルバイトをしているが、お金を使うあても見つからずPCやゲームにつぎこんでいる。

自分でも悲しい青春を過ごしているのはわかっていた。

なので、その日からサボリがちだった学校に行こうと決めた。

だが、俺は数週間前に交通事故で足を骨折した。T字路をチャリで一時停止せずに曲がって、正面から来た車に、撥ねられた。交通安全のビデオに出ちゃいそうなくらい典型的な事故だった。

親にもかなり怒られたし、バイトを辞めさせられるとかで散々な目に遭ったが、数週間の間、学校にも行かずに寝ながらゲームをしている自分を思い浮かべると少し楽しみだった。足は痛いが...。

しかし、そう思っていられたのも3日ぐらいだった。

ご飯は、まずくはないがとてつもなく味気がない。やべぇよこれ。

しかも看護師さんたちも俺好みのきれいな人いないし...。

この環境であと数週間過ごさなければいけないと思うと絶望的だった。

時は経ち 

そして今日、退院の日。

ついにこの地獄から出れると思うと胸がはずんだ。

2時には病院を去るが、そのあと学校に行く。2時なので行かなくても大丈夫だが、行きたい気分なんだ。

現在時刻12時半。すでに制服を着ている俺は、切るのが面倒なので手を付けていなかったお見舞いを見た。

だが、何故かそのなかに一際目立つものがあった。ボンレスハムだ。

ボンレスハムといえば豚のもも肉に紐がまいてあるやつだ。

こんな入院中に贈らないものを置いてくやつには心当たりがあった。

「これ絶対贈ってきたのハム太だよな。」

ハム太とは、本名 斉藤公さいとうこう 小太りで陰気なやつだが、根は良いやつだと思う。

俺の貴重な友達であり、クラスメイトだ。

ハム太というのは、体型と名前の公から由来している。ちなみにつけたのは俺だ。いいセンスだろ。

本人は全然嬉しそうじゃないが。 まあそれより、

「これどう食べるんだ? まいいや紐ごと切っちゃえ。」

紐ごと包丁で切り裂いて一口で食べる。 けっこううまい。

今度は紐をとってそのままむさぼり食う。

「うっ」急に食いすぎてのどに詰まった。 あわててすぐ横にあったペットボトルの中身をぐいっと飲む。

「っぷはー. . . はー はー はあぁーー。」

あぶねあぶねと思いながらため息をつく。

「さてと、家帰ったら何しようかなー やっぱPCだな。病院でできなかったし。あ、でも他にもやってないゲームが. .あ. . . 。」

急に強いめまいに襲われた。

「あれ? っくそどうした. . .うっ. . あ. . . . . 。」

どさっ と和人はベットに倒れて動かなくなった。






2時頃、ハム太は和人が学校にくるのをまっていた。

「あれー?おかしいなー。メールだと2時のはずだけど。カズやっぱ面倒になったのかなぁ。」

呆れながら再び板書をしだす。


結局その日に和人が学校に行くことはなかった。


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