うりずんの花が枯れる頃
うりずんの花が枯れる頃
海の向こうが曇る頃
此方と彼方の兵隊さんが
銃手に弾手にいざ残虐に
血と血で地を塗る戦争を
手にした白旗も飛沫で赤く
投降の術は焼け焦げた
うりずんの花が枯れる頃
空が煙で満ちる頃
島の男はみな戦場へ
片道切符で飛び込んで
記念写真は遺影替わりに
君にあげると託された
うりずんの花が枯れる頃
息を殺して身を隠しては
遠いあなたに呼びかける
「今いる空はここよりきっと
青く澄み渡り綺麗でしょう?」
うりずんの花が咲いた今
墓を参って花を添えては
遠くあなたを思い出す
「今いる空がここよりもっと
綺麗なことを祈ります」
うりずんの花が咲いた頃
私はあなたに恋をした
うりずんの花が枯れる頃
私はあなたを失った
うりずんの花が咲いた頃
私はあなたを思い出す
うりずんの花が枯れる頃には
きっと私もそこへ行くから