女は度胸
第四話 女は度胸
あれから数週間、南とは一言も話していない。本当は、何度も電話をかけようとした。けれど、またこの前の様に拒絶されたらどうしようと言う恐怖が何度も頭の中を輪廻する。ドラマの撮影でも、話しかけようとすると、目をそらされるようになった。私、南に何かしたのかな?
ートントン
「苺佳、入るぞ。」
部屋のドアがノックされて、お兄ちゃんがドアから顔をのぞかせた。
「どうしたの、お兄ちゃん。」
「あっ、いや。最近、城之内と話してねぇだろ?」
(知ってたんだ・・・。)
私はお兄ちゃんを見ながらそんなことを思った。私は、頷いた。
「何か合ったのか?」
「わからないの・・・。なんで無視されているのか・・・。」
そうだった。あの時、話しかけただけだったのに、しかとされたのだ。
「そうか・・・。何かあったら、俺を頼れよ?」
そう言って、部屋から出ていった。
(本当にどうしたのかな?南)
それに、部屋から出ていく時のあの寂しげな顔。私、これからどうすればいいの?・・・お姉ちゃん。
お姉ちゃん・魅那梅華(みいな めいか)は私の2歳上の優しいお姉ちゃん。小さな頃は、手を繋いで街を歩いた。その時私達二人は、モデルにならないかと声をかけられ一緒にモデルになった。でも、私が中学1年生病気で亡くなっちゃった。死ぬ前、私にこう言ってくれた。
『まい・・か。私が死んでも、・・悲しまないでね・・・。前を向いて、しっかり生き・・・てね?』
お姉ちゃんは、私に向かって笑顔でそう言ってくれた。いつもそうだった。笑顔を向けて、「苺佳」って呼んでくれる、お姉ちゃん。その彼は、最後までお姉ちゃんの傍に居てくれた。もう過去の事だけど、お姉ちゃんはわたしの相談にいつも乗ってくれた。学校でも、私がいじめられていたら、どんな時も駆けつけてくれる。
そんなお姉ちゃんが今でも大好き。
ねえお姉ちゃん?これからどうしたらいいの?
「なーに、弱気な事言ってんのよ苺佳?女は度胸よ。あんたも女なら戦ってみなよ。」
いつかそんなことを言っていたっけ?わかったよお姉ちゃん。私だって女だもん。そうよね?女は度胸。戦ってなんぼ、だもんね。やってみるよ、お姉ちゃん。