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ページ14 カマコウモリ

「やっぱり歩いていくんだね…」


「ったりめーだ!!

戦いの前に易々と魔力使えるかっての!

だから…」


「なんか言った?」


あたしはリッシュを思いっきりにらんでやった。


どうせ、だからの後はアホって言いたかったんでしょ?


あーあ、もう慣れましたよ!!


リッシュの口の悪いのにも。


―――役所から歩き出して、10分程行った所は、林のようになっていた。


「この辺かな?人が襲われたのって」


「この林の先はすぐ海なんだ。

だからこの辺りだと思う。」


時々、王子様が私の片思い中の壱斗くんと重なってしまう。


こんだけ似てたら仕方ないかとか思いつつ、

こんな所にいるわけないし…と悲しくなる。


「あれ?みんな…」


いつの間にか、さっきまで私の目の前に居た王子様も、

リッシュもフィーナも誰も居なくなっていた。


そして急に辺りが真っ暗になって、冷たい風が吹き始めた。


「寒っ…みんなどこ行ったのよぉーっ」


返事は返ってこない。


そして…ついに現れた…


「きゃっ!!」


急に風が切りつけてきた。


コレが人を襲っていた犯人。


鎌鼬のようだけど…間違いない。


コレは妖怪じゃない。


小さな動物。


ももんが?


それとも…こうもり?


こんな小さなヤツ、私には倒せない!!


ていうか…こんなサイズの化け物って有りなの!?


しかも増えた!!


確実に2匹居る!!


「もういい!!

やれるもんならやってみなさいよ!!」


私はやけくそで弓矢を下に置き、両手を広げた。


2匹の赤い目が暗闇でギラッと光る。


…私、終わったわ。


そう思った瞬間―――。


暗闇に一筋の光の切れ目が出来た。


そして、そこから、王子様が現れた!!


「なにやってんだ!!伏せろッ!!」


王子様が赤い目に向かって、剣を振り下ろした。


「ギギィーーッ」


悲鳴を上げて、地面にパタリと落ちた。


その姿はやはりこうもり。


だけど、羽が普通じゃない。


鎌だ。


鎌の形になってる!


「さぁ、お前も来い!」


もう1匹も王子様に飛び掛ろうとして…あっさり倒された。


2匹の死骸が消えた後には、スタールージュが落ちていた。


すう~っと暗闇も消えた。


「2人共、無事っ?」


「フィーナ!!」


「今回は壱斗のお手柄だな!」


「リッシュ!!」


リッシュはせっせとスタールージュを拾っていた。


「ごめんねっ!

何かの妨害で、あたしたち、あの闇の中に入れなかったの!」


「もしかして私だけ狙われたって事?」


「う~ん…断言は出来ないけど…」


言葉を濁すフィーナの横で。


「おまえが一番弱そうに見えたんじゃねーか?」


リッシュがやっぱり毒舌を吐く。


一度矢で刺してやろうかとか思うけど(笑)


ただのひよこだったら焼き鳥にしてやるのに…


「リッシュ。あのサイズもありなのか?」


王子様も私と同じ事思ってたんだ。


「あ?ああ…

スタールージュ自体が小さければ、

小さい生き物にも取り憑く事は可能らしい」


そういえば、今リッシュの持ってるスタールージュは赤ちゃんの手のひら位のサイズ。


昨日見たのは私の手よりも少し大きい位だった。


「…なんでリッシュたちが入れなかった闇の中に壱斗くんが入れたの?」


さっきフィーナが言ってた。


なのに、壱斗くんだけが入れたの?


「それは…」


「わしじゃよ」


どこかからグリニーダの声がした。


「え!?グリニーダ?」


「グリニーダは空間を操るのも得意なのよ。」


フィーナが話していると足元から突然にゅ~とグリニーダが現れた。


「きゃあっ!!」


「ほっほ。

厄介な結界じゃったわい」


「グリニーダって凄いね」


「壱斗が頑張ったんじゃよ。

結界自体は脆いものじゃが、わしらには壊せぬように細工がされてた。

相手さんもよほどの腕と見受ける。

壱斗の強い心が結界を破る力になったんじゃ。

さて、わしは一眠りするかの…」


そういうとまたグリニーダは地面にすう~と消えていった。


例の如く、リッシュはグリニーダのガミガミヤシに襲われていたが、

今回はグリニーダが消えたのと同時に消えた。


「はぁ……やっと消えた。

壱斗、妃波…よく聞け」


大きなため息を吐いた後、リッシュが真面目な顔をして言った。


「まだ推測段階だが、スタールージュの力を崇める魔の一族が復活したようだ。」


「はい!?」


魔の一族とかますます変な方向に向かってる気がするんですけどー?



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