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それは憎しみよりも深い感情
梓学園<あずさがくえん>
高等部普通科1年C組。
明日香と同じクラスだ。とりあえず、よかった。
名簿も前後。これで、色々聞ける。
「明日香」
俺が呼ぶと、明日香はゆっくりと顔をあげた。
色白なのに髪は漆黒で、切れ長の目。
木刀持たなきゃ普通に綺麗…ってじゃなくて!
「朝の話。魔法科ってなんだよ?」
この学校には魔法科がある。そう明日香は言っていた。
「…魔導士とか、魔導書を持つ人専門の学科」
まあ、学科名的にもそうなんだろう。
それより、聞きたかったのは。
「…どのくらい人いんの?」
魔力というものに溺れ、魔法の魅力に酔ったやつは。
明日香は俺の顔を見た。
いつもどおりに見えるけど、付き合い長いとわかる。すごく悩んでいる。
明日香は知ってる。俺が魔法を嫌っている事。
明日香だって良く思ってはいないだろうけど、俺はきっと誰より魔法が嫌いだ。
「…12人」
うつむきながら、そう言った。