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香る夏色
「ケイ、早く起きて」
明日香?
あれ、夢…かな 明日香の声が…
「ケイ、早く」
なんで明日香の夢なんて見てんだ俺…
つかまだ眠…
「…」
スパーンっ!!
「っあぁ!?痛ってぇ!!?」
「おはよ、ケイ」
「いや、ちょ、何してんの」
「起こした。」
木刀で!? 布団ごと叩いて!?
「お前おかしいだろ!!」
「時間。」
「は?」
「あと10分。」
俺が時計を見ると、とんでもない時間になっていた。
「うわぁぁ!!」
「せっかく起こしたのに」
俺の両親はもういない。
だから、俺は夏休みに入ってから明日香の家に居候させてもらっている。
今日から新しい学校に通うことを、すっかり忘れていた。
「あーー!!行ってきまーす!」
「行って参ります」
明日香は、いかにもお嬢様な制服を着ている。
道場の跡取り娘というのもあって、それなりの学校らしい。
俺は全然そんなのに縁がなかったから、場違い感ハンパない。
「明日香、どんな学校なんだよ?」
「…どんなって?」
「いや、雰囲気とか…」
「そんなに堅苦しくはない、けど」
明日香の歩みが止まった。
「…魔法科が、あるの」
俺は耳を疑った。