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彼と彼女の…  作者: 羽海野 八尋
彼と彼女の出会い
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1.千代子さんの家へ


実家のある福岡県から電車を乗り継ぎ、バスに乗り、歩き、バスに乗り、歩き・・・

5時間かけて大分県の田舎にある山中邸(千代子さんの家)に着いた私を見た千代子さんの第一声は


「なぎちゃん、夏休み中なのにわざわざこんなところに来てもらってすまないねぇ・・・」


だった。


「千代子さん、お久しぶり!そんなこと言わないでよ。私、こっちの雰囲気も懐かしくて大好きだし千代子さんにも会いたかったし、正直に言うと、今回こっちに来ることができてラッキー!とか思ってるんだから」

「それなら嬉しいんだけど・・・」


私のその言葉を聞いて千代子さんは少し安心したような顔をした。

幼少期を大分ですごした私としては、大分の田舎の自然もゆったりとした時間の流れ方も福岡にはない安心感を感じる。

ある程度都会でいろいろと恵まれている福岡での夏休みにだんだん飽きてきていた私にとって、今回の2ヶ月のお世話キャンプは良い気分転換になるだろう。(ちなみに『お世話キャンプ』と命名したのはお母さんです)

だから千代子さんに気を遣わせてしまうと逆に申し訳なくなってしまう。


「なぎちゃんに来てもらえて本当に助かるわ。悠一に連絡しようかどうか迷ったんだけどねぇ・・・悠一が珍しく有給を取って家族旅行に行ってるもんだから、夏バテで倒れたなんて言えなくて」

「なるほど、千代子さんが大変なことになってるのに、なんで悠一おじさんがいないんだろう?って思ってたけど、そういうことだったんだね」


福岡の実家でお母さんと話した時からこっそり疑問に思っていたことがここで解決した。

悠一おじさんは千代子さんの息子(つまり私のお母さんの従兄弟)で、山中家の末っ子長男。

「結婚して本州の方に出て行ってしまった姉さんたちの分もお袋の世話は俺がする」と豪語している男気のあるおじさんだ。

悠一おじさんは千代子さんの家から少し離れた都市部に住んでいて、奥さんの美樹さんと一緒に千代子さんのお世話をしている。

そんな悠一おじさんがなぜ、夏バテで倒れた千代子さんのお世話をしていないのかと思っていたけど、なるほど、家族旅行かぁ。

悠一おじさんは高校で社会科の教師をしていて、年中無休で忙しい日々を送っているらしい。

昔から「家族サービスよりも生徒へのサービスばっかりだよ・・・ハハハ・・・」と嘆いていたおじさんが珍しくまとまった有給を取得して家族旅行へ行っている。

これは確かに気を遣っちゃうね。


「悠一おじさんと美樹さんほど頼りにはならないとは思うけど、9月末までは私がいるから安心して、千代子さん」

「なぎちゃんが居てくれるなら私も安心だし、2ヶ月は楽しくすごせそうよ。ありがとうね、なぎちゃん」

「えへへっ」


3年前に亡くなったおばあちゃんにそっくりな優しい笑顔でそう言ってくれた千代子さんを見て、嬉しくなって少し涙が出たのは内緒である。




お相手の男の子がまだ出てこないですが・・・!

次話から!次話からなんとか・・・!

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