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虐殺

 【第7話】虐殺ぎゃくさつ



 銀河系の中心には大きなブラックホールが、光さえも飲みこむように全てを取り入れていた。その中に一旦はいってしまうと後戻りは決して出来ないことは明白だった。


――――――――――――――――

B側(SR)    (TR)       A側(MR)

◎・・・・・⑮・・・・◎・・・⑦⑥・④③②①◎

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

――――――――――――――――



 ブルースがトロイたちの行動に、気付く24時間前、大柄な男トロイ、ヴァル、ジークベルトの3人はA05号室の前にいた。トロイは、ブザーを鳴らすと、数時間後の死を受け入れられない様子の暗い男の声がスピーカーから聞こえてきた。


「もしもし・・・・?」


「あー。おれA01号室のトロイだけど、少し話出来ないかな?」


「ん・・・?話ってなに ?」


「いや、みんなが助かるいい方法を考え付いたんだ。ただ、それはみんなに手伝ってもらわないと出来ないから話を聞いてほしい。ドアを開けてくれるかい?」


「本当か!?」


驚いたような声で質問する声がすると、A05号室のドアが開いた。そして、トロイとヴァル、ジークベルトが部屋の中にゆっくりとはいっていった。


「どんな方法だ?」


男は早く知りたいように聞いてきたが、トロイは彼の隣へ行き、彼の肩に腕をまわして


「聞いてくれ、その方法はな・・・・お前がいなくなることだ!」


と、トロイが言ったあと肩にまわしていた腕で、急に首をめた。


「ぐっ・・・・ぐ・・・・」



 男は、目を丸くして声も出せず驚いた様子で必死に抵抗しはじめる。トロイはもちろんヴァルもジークベルトも、もがき苦しみ抵抗する男をみて冷静でいられない。尋常じゃなくすごい力で、最後の抵抗する男に必死でトロイは首をしめるがトロイの力でもきつかった。


「早く手伝え!」


 なるべく抑えた声で、ふたりに命令する。それを聞いてヴァルとジークベルトは男の両手をトロイからはずし動けなくするが押さえられてない足はバタバタと暴れる。そして、数分後やっと男はうごかなくなった・・・・。


トロイは腕をだるそうにしながら、二人に動かなくなった男を持っていくように指示するとヴァルたちは顔をひきつりながら、ふたりで男を抱えて、内側からドアを開け廊下へと出た。部屋をみな出たのでA05号室にはこれでもう誰も入れなくなった。A05号室の主が死んでいなくなったからだ。死体を廊下の脱出ポットにいれようとするが、慣れていないのでてこずる。その時A01号室から出ないようにといわれていたセラが廊下に出てきて脱出ポットにいれようとしてるのを見ると


「ぁあー・・・・」


と、叫ぼうとしたので、トロイが走り寄り飛びかかるようにセラの口を塞いだ。


「だまれ!ここで騒いだら、どうなるのか、分かってるだろ?お前だけじゃない、部屋にいるオスカルも無事じゃなくなるぞ!」


セラは震え泣きながら、口を必死で閉じるように、口を硬くしてうなずいた。だが、セラもトロイの手をどけてなるべく小声で言った。


「こんな事、もぅやめて!」


セラの顔は真剣そのものだったが、トロイはセラを抱きしめて


「これは生き残るためなんだ。君の為でもある。生き残るためにはしょうがい事なんだ。わかってくれ・・・とにかく黙って部屋へ戻れ」


 トロイ、ヴァル、ジークベルトの三人がセラの話も聞かずに、死体を脱出ポットにいれる姿をみて、セラはもう戻れないところまで来た事を悟り、両腕で自分の肩を腕を組むように握りながら、その震えた自分の体を止めようとし、例えようもないいきどおりを感じていた様子になるのだった。三人は脱出ポットに入れ終わると数秒たちつくした後、トロイがオレンジ色のボタンにカバーされた透明なケースを素手で殴り割ると、ゆっくりとそのボタンを押した。すると、すーっと無重力にまかせるように、死体が浮き宇宙へと消えていった。そして、トロイはヴァルとジークベルトの方を振り向いて二人の肩を叩いて


「よし。次いくぞ」


と、一言だけいってA08号室の方へと歩いて行った。セラは耐えられない様子でオスカルのいるA01号室へと戻っていった。


 その後、A側の廊下からプシュープシューという脱出ポットの音が響き渡るのだった。その時間は回を重ねるごとに短くなり、3人が人を消し去ることへの作業が段々となれてきていることが解るようだった。セラもそうだが、オスカルでさえ自分たちが生き残れるのはもうこの方法しかないことが解っていたのか、三人を止める事も出来ず、只二人で待つ事しか出来なかった。

 08~10号室の死体を宇宙へと飛ばしただろうトロイが、自部屋のA01号室に戻ってきた。彼は疲れた様子で戻り、セラが座るソファに横になり、セラのひざに頭を乗せてきた。セラは、疲れているだろうトロイの頭をまるで心落ち着かせるように、自然となでていた。それを見ていたオスカルはもう駄目だといった様子でしかめた顔を静かに横に振った。

 そんな時だった。


ビーー!


と、部屋のブザーが鳴ったのだ。トロイはすぐに立ちあがって自分の部屋のモニターで確認すると


「オープン」


と、言ってドアを開けた。ドアの前にはB15号室のブルースが立っていた。ブルースは宇宙船の酸素が無くなる異常事態のみんなを少し落ち着かせるかのような笑顔をしながら、中の部屋にいるトロイ以外のセラとオスカルを確認したあとトロイに話しかけた。


「何か異常はないかい ?」


トロイも平然とした態度で


「あぁ。A側は何も異常はない。B側のみんなは大丈夫か ?何かとみんな落ち込んでるだろ」


と、二人が話している間に、オスカルがトロイに見つからないようにトロイの背中越しから、ブルースにゆっくり手を挙げて合図で異常事態を教えようとするが、ブルースは残念ながら気付く事が出来なかった・・・・。ブルースが行ってしまう瞬間、オスカルは気付かれなかったので、が煮がしい顔をするがトロイが振り向くのを感じて、すぐに顔をそらしてごまかすのだった。



【第7話】完


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