決意
【第6話】決意
星々の中で一番に光り輝くのは1等星。その光はどの星よりも光り、輝きどの星よりも生きる力を感じるのだった。上も下もない宇宙にはそういった星が指標になるのだった。
残りの酸素量が4日と10時間と迫った時に立ちあがったのが、B側のイギリス人ブルースだった。彼は王子様のような綺麗な顔立ちでそれでいて、目は鋭くまるで物事の本質を見抜く力があるかのように力でみなぎっていた。この最悪の状況の中でも、今起きている宇宙船への出来事を見過ごさなかったのだった。彼はB側の何人かを自分の部屋B15号室へ呼び寄せた。セシル、チャド、コナン、最後に女性のアビーだ。そして、話始めた。
「みんな、この部屋へ呼び寄せて、すまない。ただ、今俺の話を聞いてもらえるのは、君たちだけだと判断したんだ。それはスポーツルームでも集まって話をしていたこの4人なら話せると思ったからだ。」
アビーは情緒不安定な感じで急ぐように聞き返す。
「だから、一体何を言いたいの?早く話してちょうだい!」
「そうだな。ただ、みんな不安なのは分かる。だけど、ここで冷静さを失ったら、危機を回避できない事は分かってるはずだ。冷静になってくれ!」
ブルースはひとりひとりの目を確認するように、落ち着かせようとする。みなはその目をみて順番にうなずいていった。それをみてコナンが
「ブルースの言うとおりだ。みんな冷静になろう」
その言葉もあって、唯一女性のアビーが深呼吸をすると、みんなが伝染するかのように続けて深呼吸する。そして、4人が落ち着いた事を確認するとブルースが話始めた。
「おれの話を聞いても動揺したりしないようにしてほしい。」
みな再度うなずく
「おれは昨日A側のほうの様子を見に行ったんだ。一人ひとりの様子を把握するのも大切だと思って情報を得るためにね。
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B側(SR) (TR) A側(MR)
◎・・・・・⑮・・・・◎・・・⑦⑥・④③②①◎
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まずは、A01号室から俺は様子を見に行った。トロイという男の部屋だ。彼と話をしたが特にこれといって気になる事も無く、続いて次々と部屋をおれは確認した。3~5号室には、セラという女性とオスカルという優しい男の部屋だが、いくらブザーを押しても返事がなかった。6・7号室には普通に話が出来た。だが、おれが少し気にかかったのは、8号室からだ。8号室から10号室まで返事が全くなかった。まーそういう事もあるかと思い数時間後、また行ったが、同じ状況だった。だが、そこで気付いたのが、8号室の扉に赤い色の痕があったので触ってみるとそれは血だった。そして、それを確認していたとき、廊下でみていたのがトロイだった。彼はどうしてか睨みつけるかのようにこちらを見て近づいてきた。おれは何か危険を感じてすぐにB側へと戻ったんだ。また、おれがA側へ行くのは怪しまれると思って、さらに数時間後、コナンにA側の様子をみにいってもらった。」
すると、コナンが続きの状況を話す。
「おれもブルースの話を聞いて、A側の8~10号室のブザーをしつこいぐらい押したが、全く反応がなかった。それに8号室の血は拭きとられていた。」
その話を聞く、唯一女性のアビーが脅えた声で質問する。
「だ・・・だから、あなたたちは、何がいいたいの ?!」
ブルースは答えた。
「トロイは、行動に移してるんだよ・・・」
セシル、チャド、アビーはまだブルースたちが何を言いたいのか分からない風だったのでブルースは少し間をおいて、真実を言った。
「トロイは、嫌・・・トロイたち数人グループは自分たちが助かるために少なくとも8~10号室の人間をもうすでに手にかけたんだよ。」
セシル、チャド、アビーはどよめいた。セシルが言った。
「それは何か ?自分たちの酸素を確保するためにトロイたちが宇宙船のみんなを順番に殺して回ってるっていうのか ?」
ブルースは、トロイを想い浮かべたのか、とても鋭い目つきになり、隣で座りながら振えているアビーの手を片手で落ち着かせるように握り答えた。
「その通りだ。」
アビーは気持ちが抑えれなくなり、震えながら口を押さえた。
「ぃゃッ・・・・・」
怖さが部屋のみなに伝わり混乱して、アビーは大きな声を出しそうだったが、なんとか小さい声で抑える事が出来た。ブルースは話を続けた。
「おれたちは色々な意味で、今とても危険な状況下に置かされている。酸素不足とトロイたちの虐殺、そしてそれらからの恐怖心でおれたちは平常心を失っている。今、冷静に力を合わせて協力していかないと、おれたちの命はないと思ってくれ!冷静になってこの危機を乗り切ろう!」
みな動揺を隠しきれないではいたが、もう自分たちも反対勢力を作るしかないと決心するのだった。
【第六話】 完