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闇の中で

やっと主軸に入れました…  次はもう少し踏み込んだ話にしたいと思ってます

道場の掃除を終え 着替えて出る 時計は13時になろうとしていた


「はぁ 疲れた お腹すいた」

「確かに お腹は空いたね」

「先輩 アレで疲れてないって どんだけ体力あるんですか?」

「いや 疲れてないわけじゃないけど… 茜ほどではないかな」

灼熱の校庭を歩きながら 不毛な会話をする


「ねぇ 久しぶりに午前で終わったし どっか寄ってお昼食べて行こうよ」

「マジ無理 早く家に帰って横になりたい」

あっさりと振られてしまった


守衛さんに挨拶をし 正門の横にある通用門から外に出ると そこに智兄がいた

「夏美 お疲れさん」

「待っててくれたの?」

「飯でも一緒に食べようと思って それに叔母さんからの伝言も頼まれてたし」

立ち話を始めると


「先輩 お先 失礼します」

と言い残し 茜はバス停へと歩いていってしまった

「お疲れ また来週ね」

手を振る私に振り返らず 小さく手を上げて歩いていく

その姿をみてると あぁ本当に疲れてるんだな というのが良くわかった


「さぁ お昼行こうよ 智兄 私もうお腹ペコペコ」

「あぁ 何が食べたい」

「そうだな 」


とにかくお腹が空いていたので 学校近の中華料理店に入る事にした

私は冷やし中華と餃子を 智兄はラーメン・チャーハンセットを頼んだ


「それで 叔母さんからの伝言なんだけど」

智兄の話によると 母の親友の旦那さんが突然亡くなり 

その人のことが心配なのですぐにでも会いたい と言い東京へ行たのだと

そして5~6日は帰ってこれないから 家の事を頼むという内容だった

まぁ お父さんがいれば大丈夫だろう 見た目と反して割かしまめな人だし


「それと 叔父さんも明日の朝一から広島で仕事だから 

昼過ぎには家を出ると言ってたから 」

そうだ 忘れてた 

お父さん展示会の手伝いで今日の昼過ぎから広島行くって言ってたっけ

「で 叔父さんたちに頼まれて 夏美の所にもう1泊していくからな」

そこまで言うと 注文したものがテーブルに運ばれてきた


昼食が終わると 智兄はちょっと用事があるというので 一旦そこで別れた

私は家に帰り 胴着を洗濯し 部屋を掃除した後 

冷房の効いたリビングのソファでうとうとしてしまった


「ただいま お姉ちゃんこんなところでだらしないよ」

肩をゆすられ 目を開けると妹の陽菜ひながいた

「あれ陽菜 今日の夏期講習いつもより早いじゃん」

陽菜は お姉ちゃんと同じ天原に入りたいから と言って 

3年になってから塾に通いだした そんな成績悪い訳じゃないのに

念には念を入れないとね と言っていた 私と違って慎重派なんだよね


「ねぇ お母さん 買い物?」

「違う 東京行った」

「はぁ なんで」

事情を掻い摘んで話し 智兄が泊まりに来てくれることを告げた

「そっか 今日も智樹さん泊まっていくんだ」

「うん 用事を済ませて夕方くらいにまた来るって言ってたよ」

「じゃあ そろそろ来るんじゃない」

言われて時計を見ると 17時をとっくに過ぎた時刻になっていた

少しのつもりが 2時間近く眠っていたのだった


その後 家にやってきた智兄と陽菜とで

近所のお好み焼き屋に行き夕飯をすませ家に帰り 一休みすると 

「明日 模試だから勉強しなきゃ」

と陽菜は部屋へ行ってしまった

「私も 疲れたから先に休むけど 智兄適当にくつろいでいてね」

と言いリビングを後にして シャワーを浴びてから自室に戻った


朝もいつもより早かったし 変な夢のせいで寝た気がしなかったし

練習試合も疲れたし… 時計はまだ22時前だったけど

「もう 寝よう」

明かりを消して ベットに転がるとすぐに意識がなくなった


久しぶりに早く寝たせいか へんな時間に目が覚めてしまった

枕元に置いてある携帯で時間を確認すると

「まだ 2時か 」

そのまま 寝なおそうかと思ったが 喉の渇きを覚えてベットを立つ

リビングは明かりも消えて真っ暗になっていた 

ドアを開け明かりのスイッチに手をかけようとした時だった


突然 キーーンッ という高音が耳の中で響き 手が止まる

耳鳴りなんて 久しぶりだな 気を取り直して明かりをつけようとすると

壁に触れたはずの手は空を切り 足元がぐにゃっと歪む感覚に驚きしゃがみ込む

それまでカーテンの向こうにうっすらと見えていた街の明かりは無くなり

真っ暗闇に囚われていた それはさながら 毎晩見ていた夢と同じ光景だった


「いやーーっ 」

夢とも現実ともわからない出来事に パニックになる

手で耳を塞ぎ 硬く目を瞑り これは夢だ きっといつも見ている夢なんだ

と自分に言い聞かせるように 心の中で繰り返した後 

目を開けばベットの上にいるんだ と願うようにそっと目を開けても

そこには 闇しかなかった

ためしに 頬を軽くつねってみる「痛い…」

きゅっとつままれた感覚が脳に伝わり 痛いと理解できる

だとしたら 今私が体験している事は〝現実〟なの?


言いようも無い恐怖感が 体全体を支配し ゾクリとする感覚がした 

その時闇の中から ヒタヒタと何かが歩くような音が聞こえた


『逃げなきゃ』 本能がそう告げるが 恐怖で思うように体が動かない

闇の中 迷うことなくその足音は私を目指し近づいて来る

あれに捕らわれてはいけない でも でもっ 

得体の知れない存在はもう近くまで来ている 気配が近くに感じられる 

もう 駄目… そう思った時だった

暗闇の中に一閃の光が走る

「夏美 大丈夫か?」

そこには 夢の中で私が手にしていたような剣を持った智兄がいた


「大丈夫じゃない 怖い 訳わからないっ 」

パニックになる私の横に並ぶと 軽く頭をなで

「もう 大丈夫だから 怖がらないでほしい 負の感情はアイツを強くする」

と強い口調で言った

智兄は 闇の仲の存在を知っているようだった


びとか 邪魔をするな」

闇の中から くぐもった声が響く

「それが 俺らの仕事だからなっ」

そう言いうと 小さなメモ用紙のような紙を取り出し 何かを呟くように唱え

闇の中の存在に向かって投げると それは空中で青白い炎を放ち

何かを包み込むように激しく燃え上がる

「ぎゃあっ 」

短い悲鳴と共に 闇は消え去り そこは見慣れたリビングに戻っていた 

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