買い物へ
ガールズトークは止まりません
部屋に戻って朝ごはんを食べると 強烈な睡魔に襲われる
ふぁ~ぁ 徹夜ってやっぱりツライな… 眠い目を擦りながら
歯磨きを済ませパジャマに着替えてベッドに潜り込み目を瞑った
いま何時になったんだろう 机の上に置いたままの携帯が鳴っている
のそのそと身体を起こし 腕を伸ばして電話に出る
「ふぁ~い もしもし 」
「やだっ お姉ちゃんこんな時間にその寝ぼけ声は何っ 」
受話器の向こうからは 陽菜の呆れた声が聞こえてきた
「そんなこと言ったって 仕事で遅かったんだもん 」
「にしたってもう15時過ぎだよ 」
「あぁ もうそんな時間だったんだ 」
「もう しっかりしてよね 」
会話だけ聞いてると どっちが姉か自分でもわからなくなるが
「はは 陽菜は相変わらずしっかりしてるね 」
うちでは 割かし当たり前のようになっている流れだった
「で 今度の土曜日って何の日か覚えてる 」
突然の話題に 壁に掛けてあったカレンダーを見るが
土曜日 11月2日って何かあったけか 予定は何も書いてない
「何かあったっけ? 」
「お母さんの誕生日でしょ やっぱり忘れてたか… 」
「あっ そういえば 」
「お給料貰ってるんだから ちゃんとプレゼントくらい用意しなね 」
その後も色々突っ込みを入れ 自分が言いたいことを言い終わると
「じゃあね 」と電話は切れた
土曜日か 明日は夕方から仕事だから今日のうちに買い物行かなきゃな
シャワーを浴びて服に着替え 髪を乾かし
パーカーを羽織ると カバンを持って外に出た
「あら どこか行くの 」
ちょうど部屋から出てきた遠野さんとばったり会う
「母への誕生日プレゼントを買いに 川原町でも行こうかなと思って 」
「優しいのね ねえ私も付いて行っていいかしら 」
「いいですよ でも何処かに出かけるところじゃなかったんですか 」
「部屋にいても暇だから ブラブラしようと思ってね 」
ちょうど良かったわ~ と言われ二人で川原町へと出かけた
昨夜もココに来たが 夜と昼ではやはり雰囲気が違うが
それでも 昨夜のことを鮮明に思い出させる
デパートで買い物をし 休憩と小腹を満たすために
遠野さんに連れられ 飴屋さんの2階にある甘味処へと入っていく
「こんな所に お茶できる場所があったんですね 」
「ココは 黒蜜を使ったメニューがお勧めなのよ 」
空いてる席にすわると 一押しの黒蜜抹茶パフェを注文した
「遠野さん 昨日の彼女… 本当に大丈夫だったんでしょうか 」
思わず口をついて 気になっていたことが出てしまう
「今ココでそれはね でも新聞にもニュースにも出ていなかったから
大丈夫でしょ 仕事なんだからあんまり気にしすぎちゃ駄目よ 」
「わかりました 」
そういうものかな… 私ってそんなに気にする方じゃないと思ってたけど
あぁ仕事と言えば 聡君と一緒なんだよね ちょっと顔合わせづらいな
「ねぇ まだ何か気にしてることあるでしょ 」
「えっ 」
手元にはいつの間にかパフェが置かれている
「色気より食い気の夏美ちゃんが パフェを前にしても無反応なんて 」
悪戯っぽく笑った後 真剣な顔をして
「私でよければ聞くわよ 」 と優しく言ってくれた
そこで 今朝あったことの顛末を話すと
「あははっ 野上の慌てっぷりが目に浮かぶわ~ 」
突然噴出すように笑い出した
「遠野さんっ 」
「あぁ ごめんごめん でも夏美ちゃんもやるわねぇ 」
「わざとじゃなくて つい… 」
「あいつね 中学から私立の男子校行ってるし サッカーバカだったから
女の子と付き合ったことなんてないし そういう事に全く免疫がないのよ 」
そう言うと 聡君が来た当時のことを少しだけ話してくれた
誰も聡君に遠野さんの正体を教えなかったから
ずっと女性だと信じて疑わない聡君のコトを色々な手を使い
散々からかってきた遍歴を教えてくれた
「それを未だに根に持ってるのか 避けられてるのよね~ 」
「それは… トラウマになりますよ 」
「まぁ そんな訳だから気にする必要ナシよ それでも気になるって言うなら 」
パフェを食べる手を止め 私の顔をじっと見る
「言うなら 何なんですか? 」
真ん中辺りに入っていたスプーンに収まるくらい小ぶりの白玉を口に入れる
「野上のコト 好きなんじゃないの 」
「えっ うっぐ… 」
思いもしなかった言葉に 口の中にあった白玉が喉に入ってしまった
「ちょっ 大丈夫 ほらお茶飲んで 」
手渡されたお茶で 喉に痞えたそれを流し込み 呼吸を整える
小さな白玉で良かった あれがもっと大きかったら危なかった…
「落ち着いた 」
心配そうにこちらを見ている
「急に変なこと言わないで下さい ホント死ぬかと思いました 」
ぷいっと横を向いて答えると
「いやだぁ~ もう可愛いんだから 」
となぜか髪をぐりぐり撫でられていた
「なんで そうなるんですか 」
頬を膨らませると
「そういうところも 可愛いっ でも
はぁ~ お姉さんは夏美ちゃんの今後が心配だわ 」
と突然真面目な顔をして私をみた
「何で そうなるんですか 」
「だって 夏美ちゃん男の子と付き合ったこと無いでしょ
免疫の無さでいえば 野上と同じレベルなのよ しかも… 」
付き合ったこと無い それはずばり当たっているけど
「うちは共学だし 男友達ならいましたよ 」
「そういうのとは また違うのよ 」
その後 遠野さんのガールズートークは止まることを知らずに
場所をファミレスに変え 夕飯を食べながらも
色々としゃべらされる羽目になってしまった




