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仕事

神威を通して見る世界は 不思議の一言に尽きる

僅かな光でも昼のように明るく見え 道行く人々に目を向ければ

身体の周囲に 淡い色の付いた光を発しているよう見える

それは個人個人でその色も形も違っている いったい何なんだろう


〝アレは俗に言う『オーラ』と言うものだよ〟

あんなにも個人個人で違うものなんですね

〝そう そして闇に落ちてしまった者は 黒いオーラを纏っているんだ〟

その言葉を聴き ざっと周囲を見回したが 黒いオーラは見えなかった

〝守り人が直で探す場合は こうやって地道に見て回るしかないんだよ〟

何気に地味で大変な仕事だったんだ…


繁華街をぶらぶらと小一時間歩くと

「今のうちにちょっと休憩しよう 」と言われ手近な店に入ろうとした時だった

「一休みできなくなっちゃみたいだね 」

神楽さんと遠野さんは顔を見合わせると 足早に移動を始めた


八坂さんの境内を抜け 丸山公園へと歩を進めると大きな枝垂れ桜が見えてきた

花の季節は賑わうこの場所も 今は閑散としている

前を行く二人は迷い無く歩を進めると その先に2つの人影が見えてきた

薄暗い園内 細かい制御が出来ない目で見ても初めははっきり分からなかったが


「遮る物が無い場所っていうのも やりにくいものだね 」

50m以上の距離をあけた場所で立ち止まると 神楽さんは式札を手にした

この距離からならはっきりと見える 

一人の女性の周囲には黒いオーラが揺らめいていた


「夏美ちゃん 手出して 」

遠野さんと手を重ね 勾玉の波長を合わせる

「じゃあ お仕事しましょうか 神楽さんお願いします 」

手の中の式札には もうイメージが作られていた 

遠野さんの言葉を合図に 稲妻のような輝きを放つイメージが広がっていく

「捕捉転移 」

足元に浮遊感を感じる 固定された空間には私たち3人とくだんの女性がいた


目の前の景色が急に変わった事に戸惑っているようだったが 

こちらの存在に気づくと 跳ぶように移動をし距離を詰めてきた

「こっちへおいで 」

そう言われ 神楽さんの傍に身を寄せる


「ココは 何処なの あなた達は何 」

睨みつけるような鋭い視線が向けられる その瞳は狂気に満ちている様に見えた

「何があったか知らないけれども 」

彼女と対峙する遠野さんの重ねた手の平から 炎のような輝きが溢れ

次の瞬間には紅緋べにひ色をした 細長い棒のような物に持ち手が付いた物

が握られていた 何処かで見たことある気もするけど なんだったか思い出せない


「そうよ 他人に私の何が分かるっていうのっ 」

勢いをつけ拳を振り上げると 殴りかかるよう遠野さんに向かっていく

軽く身をかわし向かいあう遠野さんへ 言葉と共に攻撃を続ける


「ただの友達だって言ってたのに… 何が「アイツは弱いから 俺がいないと

ダメなんだ」って 」

「そんな一方的な理由で 別れてくれなんて… 」

怒りの全てをぶつけるように 遠野さんへと向かっていく


「私の事… いったいなんだと思ってたのよっっ 」

叫ぶような声と共に 突然動きが止まると

瞳から溢れた涙を拭うことなく どこから刃物を取り出し

「私だって… 私だって 」

両手で握り締め 遠野さんとの距離を詰める


「あれって大丈夫なんですか 」

尋常じゃない女性の気迫と手に握られた刃物に緊張が走る

「あのくらいなら 心配ないよ 」

神楽さんは表情一つ変えていない


「二股かけられた挙句 一方的に振られたっていう事かしら 」

今まで防戦一方だった遠野さんが 左足を引き構えをつくると 

不思議な形をした剣を 相手に向け突き刺すよう素早く動かす

切っ先が身体を掠めると その先にあった黒いオーラが断ち切られ

宙に消えていった

身体に傷は無いのに 女性は苦しそうな表情で遠野さんを睨みつけている


「そんなのよくある話じゃない ダメ男の為に犯罪者になるなんて

つまらないこと止めなさい 」

再び切っ先が女性に向かう 転がるようにそれをかわすと

「彼はダメなんかじゃない あの女にいいように利用されてるだけよ 」

起き上がると刃物を握り締めた手を前に出し 勢いをつけ突っ込んできた


「その想いを闇に利用されたのね…  」

剣らしき物を握る遠野さんの表情が厳しいものに変わる

「邪魔しないでよ あの女さえいなくなればっっ 」

「そろそろケリをつけましょう 闇よ虚無に帰れ 」

勢いに任せて突っ込んで来る身体を 迷うことなく手に握っていた物で突き刺す


身体を貫通し反対側に切っ先が見える あまりにも衝撃的な光景に目を逸らす

「大丈夫だから ちゃんと最後まで見ているんだよ 」

頷き目線を戻すと 女性の周囲を覆っていた黒いオーラが大きな揺らぎを見せ 

弾けるようにして宙に散っていった

と同時にその身体が力を失い 手に持っていた刃物を落とした


「神楽さんっ あの人死んじゃったんですか… 」

遠野さんの足元に崩れるように倒れこみ ピクリとも動かないその姿に

思わず息を呑む

「大丈夫 深く繋がっていた闇を祓われ一時的に意識を失っているだけだから 」

「そうだったんですね… 良かった 」


話をしている間に遠野さんは 女性の身体を初めにいた場所へと移動させていた

「この辺でいいですか? 」

「ああ 大体そんな所じゃないかな 」

意識の無い身体をくの字になるよう下に置くと こちらへと戻ってきて

神楽さんが空間を解除させる


辺りの景色が戻り枝垂桜の木が見える 静かな園内に突然女性の叫び声が響く 

「ちょっと行って来るから ココで待っててね 」 そう言い残し神楽さんは 

倒れこんだ人を前にして悲鳴を上げる女性の方へと行ってしまった


「何をしに言ったんですか 」

残された遠野さんに疑問を投げかける

「倒れたまま放置されたらまずいからね 街中なら誰かしらが救急車なり警察

なりを呼んでくれるけど ココじゃね… だからフォローに行ったんでしょ 」


立ち尽くす人影と何かを話し 戻ってきた神楽さんとその場を後にした

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