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剣道部

なかなか話が進まなくて申し訳ないです

今回は部活紹介で終わってしまいました…

正門を入ると 目の前には校庭が広がり その奥に4階建ての校舎が建っている

広い校庭の右手奥には大きな体育館 左側にはプール棟と3階建ての武道場がある

剣道部は 武道場の2階で活動している


早足で茜に追いつくと 

「従兄弟さんって どんな人がくるんですか」

先ほどの会話が聞こえていたらしく 質問を受ける

「年上の男の人だよ まぁお兄ちゃんみたいなものでね」

「練習試合なんて見に来て 面白いんですかね?」

「智兄も昔一緒に剣道やってたからね 久しぶりに私が竹刀持つ姿見たいんだって」

「ふぅ~ん でも残念でしたね」

何が?と小首をかしげる私に

「今日の相手は全国レベルですよ 先輩いいとこ見せられませんね」

先ほどのバスでの会話のお返しとばかりに 茜は意地の悪い笑顔を作り

こちらに見せた後 武道場へと走り出した 


武道場の入り口には 数人の男子部員と顧問の藤村ふじむら先生がいた

「おはようございます」

茜は挨拶をして そのまま階段を上がって行く

追いかけて文句の一つでも言ってやろうかと思ったが 良いところを見せられないのは事実だろう 

腕に自信が無いわけではないが 私だって自分が全国レベルでないことくらい理解している それに


「おはようございます 藤村先生少しお時間いいですか?」

先生に見学について聞いて 智兄に連絡入れないと 


「おう 九条か 何だ?」


藤村ふじむら 修司しゅうじ先生 年齢は30代前半位だろうか

身長が185cmもあり 教員の中でもある意味目立つ存在だ

細身だが がっちりした感じで 昔流行った『細マッチョ』という言葉が当てはまる人だ

顔も悪くないし 爽やかな感じで一部女子生徒から人気があるらしいが…


「今日の練習試合に 従兄弟が見学に来たいといっているのですが いいですか?」

「女か?」

「違います」

「じゃあ 駄目」

「先生!」

「嘘だよ 別に変質者じゃなきゃ誰が来てもかまわないぞ」

ニヤッと笑う


「そうですか じゃあ呼びますから」

「どうせなら女の従兄弟を呼べよ」

「まだ 言いますか」

私が眉を吊り上げてにらむと 「お~怖い」と言って男子部員の方へと行ってしまった


はぁ 本当に不真面目で信用ならない先生が顧問でよくやってられるよな剣道部…

軽くてちゃらちゃらした感じがして私は好きではない 


が まぁ 許可は下りたのだ 制服のポケットから携帯を取り出し


『見学の許可おりたよ 試合は9:30~だから見に来てね 

守衛さんにも智兄の名前伝えてあるよ』


手短に用件だけをメールに打ち送信し 武道場の2階へと上がった


ロッカールームに行くと 茜はとっくに胴着に着替え終わったいた

「先輩 早くしないと もうすぐミーティング始まりますよ」

壁の時計に目をやると 7時50分になっている

「本当だ 8時からだよね」

「そうですよ 先行ってますからね」

「うん 急いで着替えていくから」

荷物から胴着を引っ張り出し いつもはきちんとたたむ制服も

くるくるっと丸めてロッカーに放り込んだ


ミーティングに続き 一通りの基礎運動を終わらせる頃には 時計の針は9時を過ぎていた


「よし いったん休憩」

男子部の部長が号令をかける


「ぶはぁ~ 暑い しんどい」

茜が胴着の襟をつかみ中に空気を送り込むようにパタパタと引っ張っている

今日の女子の参加者は私と茜だけなので 否応なしに男子と同じメニューをこなすことになる


私は道場の脇に置いた水筒を手に取り よく冷えたスポーツ飲料を飲む

「文句ばっかり言ってないで しっかり水分採っておきなよ」

「ふぁ~い」

やる気無い返事でのそのそと歩き 水筒を手に取り喉を潤している茜を見ながらぼ~としていると

武道場の入り口付近から賑やかな声が聞こえてきた


今日の練習試合の相手校が到着したらしく 藤村先生が入り口で出迎えていた


一行の中に居た長いサラサラな黒髪をした少女に目を奪われる

うゎ~ 美少女っていうのはああいう子の為にある言葉だな

整った顔立ちに 制服からすらりと伸びる長い手足 女の私でも見惚れちゃうね


「先輩 何見てるんですか」

「いや~ すっごい美少女がいるのよ」

「え~ やだぁ~ 先輩ったら 今更何言っちゃってるんですかぁ 」

目の前で不気味な照れ笑いをする後輩の背中をバンと叩き

「何 訳わからないこと言ってるの?美少女はあっち」

と指差すと彼女と目が合ってしまし なぜか顔がカッと熱くなった


「何 あれは反則でしょう!」

彼女を見た茜は プイと顔を背けて壁際の荷物へと向かって歩き出してしまった


「九条 ちょっといいか」

結果 私が藤村先生から呼ばれるはめになったのだ

「なんですか」

顔を火照りを冷ますようにノロノロ歩いて出入り口へと向かうと


「夏美 久しぶり 会いたかったよ~」

先生よりも先に話しかけてくる声にハッと目を向ける そこには中学時代の友人 庄野しょうの 佳織かおりがいた


2年半会ってなかった佳織は 少し大人っぽくなっていたけど大きく変わっていなくてホッとする

「佳織 久しぶりだね 会えて嬉しいよ」

久しぶりの再開に盛り上がり お互いの手を取ってぶんぶんと上下に振っていると


「九条 盛り上がってるところ悪いが 彼女らをロッカーに連れて行ってくれないか?

今日の夕方には東京帰るという忙しい日程で来てくれてるから ちゃっちゃと試合始めっからさ」

藤村先生に水を差されてしまった

「わかりました 女子ロッカーはこちらです」

佳織と繋いでいた手を離し歩き出す 


「ねぇ 天原は女子部員何人くらいいるの?」

「6人」

えっ と佳織が引きつった顔をこちらへ向けている

「うちも決して多くは無いけど 13人はいるよ 6人って団体戦ギリギリの人数じゃん」

その通りである しかも…もっとひどい事実がある 

6人の内4人は竹刀もまともに振れない初心者なんだから…

「うん だから女子部は試合出たこと無いんだよね」

寂しそうに笑う私に

「じゃあ 今日は絶対に水森みずもりさんとやりなよ すごく良い経験になるから」

と佳織は元気付けるように声をかけてくれた












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