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揺らぐ形

話を進めたいと思いつつも なかなかうまくいかない現状 

こんなのんびりした話しを読んで頂けることに深く感謝しています

遠野さんと別れ事務所に行くと

神楽さんは 机に座り山になった書類に目を通しているところだった


「こんにちわ 」

「あぁ こんにちわ ちょっと待っててね これだけ片付けちゃうから 」

書類から目を離すことなく次々と読み進めていく 何が書いてあるのか

分からないけれども すごいスピードで処理しているな

神楽さんって普段ぼ~っとした感じだけど 真面目に仕事してる時ってすごいなぁ

そんな風に思いながら見ているうちに 書類は最後の1枚になっていた


「はい おしまい お待たせしちゃったかな 」

「いいえとんでもありません 神楽さん凄いですね あんなにあった書類を

30分足らずで終わらせちゃうなんて びっくりしました 」

「夏美ちゃんは 僕の事ぼ~っとしてるだけの人とでも思ってたのかな 」

ちょっと意地悪な笑みを浮かべてこちらを見ている

「そんなこと ただ普段からはちょっと想像できないって言うか 」

「それって 今の発言肯定してるってことかな そんな風に思われてたなんて

悲しいなぁ 」

「えっと そうじゃないんです あの だから 」

慌てふためき しどろもどろな答弁をする私に 満足げな表情で

「夏美ちゃんって本当にからかいがいがあるよね 」と言った

「もう からかうなんてひどいですっ 」

「でも あんなに慌てるってことはそう思ってたんでしょ お互い様だよ

ほら そんなことより早く武器具現化の練習始めないと 」

そう言うと 席を立ち歩き始めた


「はい式札 まずは空間転移だけど 今日はちょっと広めに作ってみよう 」

頷き 札に神威を注ぎ「いいよ」と言われる大きさになるまで広げ

「空間転移 」 固定化を行う

「うん これはもう問題ないから 明日から次の段階に進もう

で今日は武器具現化だけど 何を使うか決まったのかな 」

「一応『剣』だと思うんですが イメージが まだはっきりつかめなくて 」

「そっか 剣じゃあまり参考にならないかも知れないけど 僕の武器も見てみる 」

神楽さんの武器って普通に興味あるかも 古賀さんのみたいに変わった武器かな 

「はい ぜひ見せてください 」

「じゃあ 出してみようか 」

左手の上に右手を重ねると 金色こんじきの光が溢れ出す それが右手に引かれ

徐徐に形を変えていき 大きな弓になった


「これってもしかして 和弓ですか 」

「知っていたんだね 僕は学生時代弓道をやっていたから 」

「でも 矢が無いですよ 」

「まあ 見ていてごらん 」 そう言うと

左手で弓を握り中仕掛なかじかけに右手が触れると弓が光り 

次の瞬間には矢が番えられていた

「すごい 一瞬で… でも具現化した物は神威を注ぎ続けないと形を維持できない

って聞きましたが 放たれた後の矢はどうなってしまうんですか 」

「あぁ 矢自体に蓄えられている神威があるから しばらくは形を保てるんだ 」

言いながら 弦を引き矢を放つと

それは空間の端まで行き壁に当たり 下に落ちてから形を無くした

神楽さんの弓を放つ姿は とても綺麗で思わず見とれてしまう 


「どう 十分形を保っていたでしょ 」

「はい 凄かったです 」

「じゃあ 次は夏美ちゃんの番 まだイメージが定まってないと言っていたけど

あまり細かい事は気にせず 思うようやってごらん 」

「わかりました 」


軽く目を瞑り剣のイメージを作る 写真のお陰もあって昨日よりもはっきりできた

後は具現化させればいい 

重なった手の間に溢れる光を右手で神威を注ぎながら引いていくと 

それは青白い光を放つ剣の形になったが 

「揺らぎがあるということは まだ何か足りないみたいだね 」

それは輪郭がぼやけ おおよその形しか示していない物だったのだ

「私がきちんとイメージを作れていないからですか 」

「それもあるけど… 」


神楽さんは ぼんやりとした形しか成さないそれを見ながら

何かを考えているようだ しばし沈黙の後

「夏美ちゃん ちょっと帰りが遅くなるかもしれないけど天音さんに

会いに行こう 」こう言った

「なぜ天音さんの所へ 」

「仮定の段階だからまだなんとも言えないけど 彼女なら… 」

「とにかく行こう」と言われ 神楽さんの車に乗り会社を出た


前に古賀さんに連れて行ってもらった時は 暗かった事と自分自身が混乱して

いたこともあり気づかなかったのだが 車は四条通を抜け渡月橋を渡り

そして嵐山の麓へと近づくと山へと続く細い砂利道へハンドルを切った


「こんな場所に道があったんですね 」

「ちょっと手前の道から結界が張られていて 普通の人は入ってこれないんだ 」

「そうなんですか でもなんでそんなことする必要があるんですか 」

「天音さんは 人嫌いなんだよ 」

それからしばらく走ると 立派な木造の門が見えてきた

そして大きな屋敷の前で車を止める 改めてみてもすごい造りのお家だな


「さあ 行こうか 」

神楽さんに連れられ中に上がり 後についていくと以前来た部屋とは違う場所

にたどり着いた

「天音さん 入りますよ 」

返事も待たずに開けた襖の奥には 時代劇でみるような大広間が広がっていて

上座にある一段高くなった場所に彼女は座っていた





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