表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/37

思い出せない形 ②

短めの更新になります 

「これ全部剣なんですか 」

「あぁ 世界中で剣と呼ばれる物の中でも有名な物を資料として

保存してある 」

「こんな沢山の中から探してたら 今日はそれだけで終わっちゃいますよ」

「今日だけで探せればいいほうじゃないか 」

「じゃあ もっと絞り込みとかして数を減らしましょうよ 」

「絞込みは可能だが それは九条の記憶次第だぞ 俺にはただの光る棒にしか

見えなかったからな 」

確かに絞り込むためには条件が必要だよね なんでもいいから思い出さなきゃ


ついこの間まで繰り返し見ていた夢なのに 漠然としか思い出せない

「九条様 一息入れては如何ですか 眉間にシワがよっています 」

机の上にアイスコーヒーが置かれる 左手には白のしるしってことは

「ありがとう シキさん 」 彼女は一礼するとデスクに戻っていった

「九条 あいつらに本当に名前つけたのか 」

「ええ やっぱそれぞれ個として接したかったから 」

「どうやって見分けるんだ 」

不思議そうな顔をする古賀さんに ブレスレットの話をすると

「それはお前の好きにればいいが 剣の方はどうなったんだ小一時間程

難しい顔をしていたが 」

「漠然としてますが 長さがこれ位で幅はこの位だったかな 」

両手を使い 大体の大きさを古賀さんに教えると

「長さ7~80cm 幅5~10cmってところか 後はどうだ 」

「竹刀みたいに真っ直ぐで 先が尖っていたような気がします 」

「そこまで思い出せれば上出来だ 」そう言うとPCを操作し始めた


その間私は画面に映し出される剣をただ眺めていたのだが

「ちょっと待ってください 今のもう一回見せてください 」 

「今のって どれの事だ 」 古賀さんがキーを叩くと剣の写真が画面上

に並んだ その中から私が気になった物を探してクリックをする

「これです 」そこに映し出されたのは 先端の尖っている所以外は同じ幅で

つばもなく 柄の部分には布のような物が巻かれているだけの諸刃の剣だった

「ずいぶんと原始的な剣だな 」 

「シンプルと言ってください 」

画面に映された物と全く同じという訳ではないが かなり近い形をしていたと思う

「明日までに自分の中でちゃんとしたイメージにしてこい 」

さっきの写真をプリントして私に持たせてくれ 今日はもう帰るよう言われた


事務所に置きっぱなしだったカバンを取りに行くと 井上さんと遠野さんがいた

「あれ 夏美ちゃんまだいたんだ もう17時過ぎてるよ 」

遠野さんの机の上にはメイク道具が散らばっている

「カバン取りに来たんです 遠野さん今からお出かけですか 」

「今日は仕事だからね 気合入れて化粧しないと一晩中だから崩れてくるのよ 」

真剣な表情で鏡と向かい合っている 邪魔するのもなんだし帰ろうとドアに向かって

歩き出すと 井上さんに呼び止められ

「九条君 明日来る時までにこの書類書き入れてきてくれますか 」

と茶封筒を渡された 

「これは なんでしょうか 」

「今日から正式採用になりちゃんと給料がでます その手続きとか 万が一怪我

した時のための保険の書類とか諸々です よろしく頼みます 」

「分かりました でもなんで井上さんが? 」

「自分はここの経理と庶務を担当しています 」

そうだったんだ 井上さん肉体派だと思っていたけど それだけじゃなかった

んですね 心の中で小さく誤って封筒をカバンにしまい挨拶をして会社を後にした


家に帰りカバンから封筒を出した時にお弁当の存在に気づいた まずい今日お昼

食べに行っちゃったからすっかり忘れてた 気まずいが母にちゃんと言わなきゃ

リビングに行くと母は台所にいた 

「夏美 弁当箱出しなさい 洗っちゃうから 」

あまりにもタイムリーな言葉に覚悟を決め口を開く

「あのね お母さん今日お昼皆で外に行っちゃったから食べてないんだ… 」

申し訳なさそうに差し出したそれを受け取ると ため息をつき

「もったいないから 明日からはつくらないからね 」と睨まれてしまった 

「本当にごめんなさい 」

作ってくれた母と食べ物に申し訳ない気持ちで一杯になった 


夕飯を済ませ風呂に入ってから部屋に戻ると ベッドに寝転がり課題の文学本に

手を伸ばす 普段読まないような真面目な内容の本は なぜか眠気を誘う

「ふぁ~ 駄目だ 」瞼が重くて開かなくなってくる 剣のイメージだって思い出さなきゃ

いけないのに 襲い来る睡魔には勝てず 写真を枕の下に入れて寝ればそれが夢に

出て来るんだよ なんて子供じみた迷信を頼りに 古賀さんがくれた剣の写真を

枕の下に滑り込ませると 明かりを消して瞼を閉じた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ