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就職

話しの展開が遅いのでゆっくりしか進めません こんな文章にお付き合いくださっている皆様ありがとうございます

9月1日 晴れ 本来なら制服を着て学校に行くはずだったのに

私服を着て 勉強道具一式とお弁当が入ったカバンを持って玄関へ向かう

「じゃあそろそろ行くね 」

「はい いってらっしゃい 仕事だけじゃなくて勉強もちゃんとやるのよ 」

そう母に見送られるのは とても変な気分だった


学長が会社にやってきた日の夜 「進路の事で話があるので 学校まで来て欲しい 」

と自宅に電話が入り 翌日私と母は学校へと向かっていた

「学長に進路の事で呼び出されるなんて 高三の夏にアルバイトなんて始めたのが

いけなかったんじゃないの 」

不機嫌な母は 学校に着くまでひたすら私に文句を言い続ける


神楽さんのところに頻繁に行くようになると 「ちょっと出てくる 」なんて

言い訳のような言葉では通用しなくなり 仕方なく

「智兄から頼まれて バイトする事になったから 」

と智兄を巻き込んで出かける口実にしていたのだ

天原学園は原則バイト禁止ではないが 部活に入る事を義務付けられているし

3年で引退しても大学受験を考えれば 実質バイトなんて出来る訳がないのだ


学校に着き学長室に通される 呼び出しの理由はある程度分かっていたが

下手な事は言わないほうが言いと思い その間も母の文句を黙って聞いていた

ソファーに座って待たされる事5分ちょっとで 学長が茶封筒を持って入ってきた


「お待たせして申し訳ありません 」一礼してから母の前に座る

「あの 申し訳ありませんでした 」

娘が呼び出させるなんて始めての経験に 母は謝罪の言葉を口にし頭を下げた

いきなりの事に学長は面食らっていたが すぐに

「お母様 今日来ていただいたのは九条君の進路に係わる事とお話したと

思いますが 決して不祥事とかではないので どうそ頭をお上げください 」 

その言葉を聞き 母は少し落ち着きを取り戻した


それから 私が神楽へ社員として来て欲しいと言われている事 学校はきちんと

卒業できること等を学長は母へ丁寧に説明していった

いきなりの話しに 何のことやら状態だった母も

「昨今大学を出てもすんなり就職できる保障なんてないことを考えると この話は

九条君にとって悪い話ではないんです 学校もきちんとサポートしますので 」

と熱弁をふるわれ すっかりその気になってしまっていた


学長から手続きの為に必要な書類一式を受け取り家路に着く

そして夕飯後 母から父へ今日の呼び出しについての話がされると

「夏美は それでいいのか 」と父から問われた

「うん 」 短く返事をすると

「俺は 夏美がしたいようにすればいいと思っている 」

そう言い 書類への記入を始めた


そうして今日から 高校生兼社会人という不可思議な日々を送ることになったのだ

靴を履いて玄関を出ようとして忘れ物に気づく

「お母さん 部屋の机の上に紙袋があるからとってくれる 」

「これでいいの 」すぐに母は部屋から出てくると 手に小さな紙袋を持っていた

「うん ありがとう じゃあ行って来ます 」受け取ったそれをカバンに入れ歩き出す 

地下鉄に乗り御陵みそそぎ駅で降り 通い慣れた道を歩き会社に着く

いつものように6階の事務所にいくと 珍しく誰もいなかった

さてどうしようかな とりあえず5階に下りようかなと踵をかえすとそこには彼女くぐつがいた 


「わっ 」いきなりのことに驚き 思わず声が出てしまった

それでも表情一つ変えずに 

「本日は11時になるまで皆様お見えになりません ご了承ください

なにかありましたら 私どもに呼びかけてください 」

そう言うと エレベーターの前にある部屋へと向かって歩き出した

「ちょっと待って 」

「何か御用ですか 」

「用って程ではないんだけれども みんながいる所に行ってもいいかな 」

「私達の所へですか 部屋に許可された以外の人物が立ち入る事はできません 」

「じゃあ 3人で事務所に来れないかな すぐ済むから 」

「わかりました 」


それからすぐに3人が目の前に揃ったのだが 本当に全てが同じだった

カバンから母に取ってもらった紙袋を出す その中にはカラーレザーとシルバー

で出来たブレスレットが3本入っていた それはやっぱりちゃんと名前で呼びたい

と考えた結果 違う色の物を身につけてもらえばそれで見分けがつくよね

という単純発想からネットショップで購入した物だった

「えっと ちょっとしたプレゼントなんだけれども 身に着けてくれるかな」

ブレスレットを袋から取り出して見せながら聞く

「九条様が「付けろ」と言うのなら 」

「私じゃなくて あなた達の気持ちを聞きたいんだけれども… 」

「私達は 守り人を補助する為だけに作られた人形くぐつです 気持ちなど存在しません」

「じゃあ 付けて それで名前をちゃんと教えて 」

気持ちが無いと無表情でいう彼女達に 寂しさを感じるのも私のエゴなんだろう

でも それを押し付けてでも私は彼女達のことを人として接したいと思った

「私達に名称はありません 本家にいる人形くぐつにはそれがあると聞いていますが 」

「じゃあ 私がつけてもいいかな 」 しばしの沈黙 そして

「九条様が思うように 」その一言だけが返ってきた


「じゃあ あなたは『アキさん』ね 」

目の前で私と話していた彼女の左腕に 青いレザーブレスレットをはめる

青のアとヨキさんのキをくっつけて『アキ』さんなんて 

自分のセンスの無さがイヤになるが 複雑な名前をつけても覚えにくいしね

と心の中で言い訳をして 自分を納得させた

次に 緑は『ミキ』さん 白は『シキ』さんとそれぞれの呼び名を決めた


「他に御用はありますか 」

「ううん これだけだよ 」

「分かりました では失礼いたします 」

そう言うと3人は部屋へと戻ってしまった 事務所の時計はまだ9:30だ

一人でぼ~としていても仕方ない カバンから勉強道具を出し机に向かう事にした

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