表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/37

終わる夏休み

学生時代は約40日夏休みがあったなんて今から考えるとそれだけで贅沢だと

思います

訓練を始めてから 2週間が過ぎた

神楽さんと古賀さんが 時間の空く限り練習に付き合ってくれた甲斐もあり

神威を制御する方法がだいぶ身についてきた でも明後日から学校始まるんだよね

そうしたら今までみたく頻繁には来れなくなっちゃうな

そんな事を考えながら 会社までの道のりを歩いていた


ビルにたどり着き6階の事務所へと顔を出してから 5階へ行くのがいつもの流れだ 

今日も先に事務所に行くと 見覚えのある人物が神楽さんと話をしていた

あれ 知ってる気がするんだけど 誰だっけ?

入り口で立ち尽くしている私に気づき 呼びかけてきた

「おはよう 夏美ちゃんちょうど良かった話があるから来てくれるかな 」

「はい 何でしょうか」

二人の傍まで言った時 なぞの人の正体を思い出した 天原学園の学長だ

なんでこんな所にいるんだろう 疑問符のつく頭のなかに神楽さんの声が響く

“今の僕は 東薫院 愁だから 神楽って呼ばないようにね”と釘を刺された


「おはようございます 東薫院さん 何か御用でしょうか 」

うわ~ なんか我ながらよそよそしいしゃべり方だな 

「あぁ 天原学園の谷田部学長にお越しいただき 話していたんだけれども 」

「九条君だね 東薫院さんから聞いたが 君をぜひ神楽の正社員として

すぐにでも採用したいとお話いただいたんだが 」

「えっ 東薫院さん どういうことですか 」

「夏休みの間 うちの新堂君からの紹介でアルバイトとして来てもらって

いたけど 優秀な人材なのでこのまますぐに社員として働いて欲しくて 

何とかならないか矢田部さんに相談をしていたんだよ 」

「九条君 これは君にとっても良い話しだよ 昨今大学を出ただけじゃ就職も

ままならない事だってあるんだ それに神楽は京都では名の通った会社だ 」

「ちょっと待ってください やっぱり高校くらいちゃんと卒業したいです 」

「それも含めての話し合いだよ 」

「結論から言えば2学期からは 天原学園から神楽への郊外研修に行くという

形をとることにしました 」

「それは どういう事ですか 」

「簡単にいうと 学ぶ場所を学校から会社に変えるだけの話しです

午前中は学校からの課題をやり 午後は仕事をする それが一番いいだろうと 」

学長 神楽さんに何を言われたのか知らないけど… 満面の笑みで話してるよ


「という事だから 夏美ちゃん夏休みが終わっても 引き続きお仕事頼んだよ 」

完全に外堀は埋まってるんだ 反論の余地は残されていない いきなりの話しすぎて

色々納得いかないし こんな形で学生生活が終わるなんて 思ってもみなかったけど 

「わかりました 東薫院さん学長 よろしくお願いいたします 」

何を言っても無駄だろうと思うと 肯定の言葉が口から出ていた

学校の手続きがあるからと 学長は人の気も知らず上機嫌のまま会社を後にしていく


部屋に二人取り残されると 憤りを覚え思わず大きな声が出てしまった

「神楽さん 前もって私に言ってくれててもよかったじゃないですか 」

それでも神楽さんは顔色一つ変えず いつもの調子で言葉を返してきた

「ごめんね 夏美ちゃんが高校生だってつい忘れてて 新堂に「夏休み終わったら

どうするんですか」と聞かれて 慌てて動いたから 」

「びっくりしました 」

「悪かったね でも夏美ちゃんが『天原』の生徒でよかったよ 

うちが経営してる学校だから 話し合いで卒業もちゃんとできるようになったし 」

さらっと言っているけど もしも天原に通ってなかったら高校中退させられたのかな


神楽さんと話しながら5階に下りると 古賀さんが部屋で待っていた

「九条 今日は空間転移に挑戦してみろ 」 手には式札を持っている 

神威を制御する感覚は分かってはきたが 初日を考えると変な緊張を覚えた

「大丈夫でしょうか 」

「大丈夫 何があっても僕達がいるでしょ 」

そうだ 頼りになる二人がそばにいてくれるんだ

「やってみます 」

部屋の中央で『明暗』と書かれた札を持ち 意識を集中させイメージを作る

湧き上がる熱は身体の中心に集めて それを少しづつ右手へと流していく

イメージが揺らぎ 段々と大きさを増していき周囲の景色を変えていく  

それが3人を取り込むまでになったところで 神威の流れを止め一呼吸置き

「空間転移 」

と唱えると 重力から開放されたような独特の浮遊感を感じた


「よくできました 」

「これなら大丈夫だろう 」

二人からの言葉を聞き 緊張感から開放された そして気づく

「そういえば 式札が無くなっているんですけど 」

右手の内にあったはずのそれは いつの間にか無くなってしまっていた


「式札は 神威を使って術を行う際の補助具で 札に込められたまじないを発動させると

消滅するようにできているんだ 」

「前の時も札は無くなっていたけど 気づかなかったかな 」

「前は 色々いっぱいいっぱいだったので… 」

それを聞いて古賀さんが一瞬気まずそうな表情を見せたが すぐに何事もなかったかのように 

「空間解除して 戻るぞ 」と言った


部屋に戻るとソファーに腰を下ろし ヨキさん(?)がもって来てくれた

アイスコーヒーを飲み一息入れる

「神楽さん 彼女の名前ってないんですか 」

いくら『人形くぐつ』と言われても 呼び名がないのはしっくりこない

「う~ん あえて考えた事ないな なんせ会社ここだけで同じ顔が3人だから

呼び分けるのも面倒だし もとが同じだから見分けなんてつかないし 」

「そうなんですか 」

でもやっぱり名前で呼びたいと思うのは 私のエゴなんだろうか


「そんな事より 次は『武器の具現化』に入るぞ 」

今までのやりとりを どうでもいいという顔で聞いていた古賀さんが言う

「そうだね 闇と戦うためには まだまだ覚える事はあるから頑張るんだよ 」

神楽さんからそう言われて改めて思う そうか私は『まだまだ』なんだ

一つ出来たからと言ってもそれで終わりじゃない 頑張らないとな



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ