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『月』を考える

話やキャラがブレないようにしてますが いかんせん… 疑問に思う事も多々あるとは思いますがご愛嬌と笑ってやってください 夏美ちゃんは素直(単純)で鈍い女の子です

「まずは 九条の中にある神威をどんな形で具現化させるかだが 」

そう言うと 腕を組み考え始めた

「ちなみに 古賀さん以外はどんな具現化をするんですか 」

「あぁ 他の守り人達はそのままでいいんだ 神楽さんのミカズチ神威しんいなら雷を

新堂のミツハ神威しんいなら水を具現化させればいいんだ 」

そう言った後 何かを思いついたように再び口を開いた

「九条の神威は 月讀ツクヨミ様のものだから 単純に考えるなら『月』でいいのか 」

「それって? 」 古賀さんは納得してるが 私には何のことか理解できない

ちょっと怪訝な顔をしてこちらを見ると

「つまりは 札を持って意識をそこに集中させて 流れ込む神威を『月』の形に

イメージして具現化させる という事だ 」と教えてくれた


「とにかく実践あるのみだ やってみないことには何もいえないからな 」

古賀さんから手渡された札を右手に持ち 言われたようにしてみたが…

いざとなると月のイメージが分からなくなってしまった 日ごとに形を変え 

光の色さえ 赤や黄色や青白といったように違って見える時もある それに

私達が見る月は光を反射している面だが 実際には見えない暗い部分も存在する

それら全てを含めて『月』なんだと思うと ますます分からなくなる

手は熱くなり式札に神威が流れ込む感覚は分かる でもその力を具現化できない

手の中の熱はどんどん上昇し ピリピリとした痛みすら感じるようになった


突然 ポカッという音と共に頭に軽い衝撃が与えられ

札に向かっていた意識が途切れた すると手の熱もすーっと引いてく

何が起きたのかと見上げると 古賀さんが手にしていた新聞紙で頭を叩いていた

「何するんですか せっかく集中していたのに 」

「集中はしていたが 力が式札に集まり過ぎて過負荷状態になっていた

あのまま放置してたら 神威が暴走して九条自身を傷つけるところだったんだ 」

手に持っていた札を取り上げられてしまった 

そして無言のまま何か考えているようだが 沈黙が重くて自ら口を開く

「うまくイメージできないんです 」

古賀さんは黙ってこちらを見ている 私は言葉を続けた

「月の形や色って日々違うし 太陽光を反射して光って見える場所だけでなく

暗い部分も含めて『月』なんだと思ったら 何が『月』なのか分からなくって 」


言葉を捜しながら話す私から 手にした式札に視線を移し

「明日までに 九条のなかの『月』のイメージを固めてこい 俺の方でも 

もう少し考えてみたいことがある 」

式札をシザーケースに戻した

「でも まだ何もできていません 」

「焦ってやっても うまくいかない また明日10時にここに来い 」

そう言い残し 古賀さんは席を立つと部屋を出て行ってしまった


力を使うまでも無くイメージするという簡単な所でつまずくなんて 呆れられたかな

天井を見上げ放心状態になっていたので 人が来た事になんて全然気づいてなかった

「わっ 」

突然 耳元で大きな声を出されて驚き 思わず座っていたソファーから転げ落ちた

「わわ 九条 大丈夫か 」

慌てる誰かに腕をつかまれる いった何が起きたか分からず顔を上げるとそこには

「痛くなかったか 怪我してないか 」

心配そうな顔をして私を見てる人がいた


「あれ 野上君どうしたの 」

「古賀から言われて来たんだ 駅まで送って行けって 」

言いながら 掴んだ腕を引き寄せて立ち上がらせてくれた

全く土地勘がない場所ではないし 駅までの道も大体わかっている

「ありがとう でもわざわざ送ってもらわなくても大丈夫だよ 」

「ダメ 古賀に言われたんだから送っていかないと後が怖い それに九条とも

話してみたいと思ってたから ちょうどいいっしょっ さぁ行くよ 」

さっきから掴まれたままになっている腕を引っ張られ部屋を出た


「上に行って皆さんに挨拶してから帰りたいんだけれども 」

「今行っても誰もいないよ 俺らいつもは日が落ちてからが仕事の時間だから 」

「じゃあ さっきは 」

「あぁ 新しい人が来るからって集まったんだ 」

そうだったんだ 皆さん勤務時間外なのに来てくれていたんだ

「日が落ちてから仕事って 夜中ずっと起きてるってことだよね 眠くないの」

「今は平気だ 昨日は非番だったから 」


話しているうちに建物一階に着き外に出ると いつのまにか空は晴れ上がり

痛いほど暑い夏の日差しが降り注いでいた 

他愛もない話をしながら歩いていると ビルと駅の中間くらいにあるコンビニの前で

野上君の足が止まった

「なぁ アイス食べていかなか 」

そのままコンビニに入り 自分で払うと言っても

「俺は社会人なんだからこれくらい気にするな 」と買ってもらったアイスを持ち 

そばにあった小さな公園の木陰になっているベンチに腰をおろした


「やっぱり夏に食べるしろくまは美味いよな 」

普段買わないような大きなしろくまは 外の暑さで端からみるみる溶けていく

「早く食わないと溶けるぞ 」

言われて 慌てて食べ始めた うん冷たくて甘くて美味しい

「野上君 ありがとうね 」

「まあ 細かいこと気にするな 古賀は難しい事言うし ちゃんとできないと

50cm定規で頭叩くし まったくもう少し優しく教えろっていうんだ 」

「えっ 定規なんて持ってなかったよ 新聞紙丸めた物なら持ってたけど

そんなに強く叩かれはしなかったよ 」

「本当か~ 古賀の奴差別しやがって 帰ったら文句言ってやる 」

八つ当たりをするように しろくまをがしがしかき混ぜて口に運んでいく

他愛も無い話と 野上君を見ていたら落ち込んでいた気持ちが少し軽くなった

「本当にありがとう 野上君が送ってくれてよかった 」

「なぁ さっきから気になってはいたんだけど その野上君ってやめない 」

「なんで 」

「いままで苗字呼ばれた事ないし 周りの奴はだいたい名前呼び捨てするし

九条とは1つしか年だって変わらないんだから そう呼んでもらえるほうが

ありがたいんだ 野上君なんて言われると他の奴かと思っちゃうからさ 」

なぜか照れた表情を浮かべ 鼻の頭を人差し指でさすりながら話している

「う~ん1つでも年上なのは事実だから だったら聡君って呼んでいいかな 」

「まぁ それなら許容範囲かな 」

「じゃあ 私の事も九条じゃなくて名前で呼んでもらえるかな 考えてみたら

家でも友達からも夏美って呼ばれてるし ねっ聡君 」

そう言ってから再び目を向けると 少し顔が赤くなっていた

「あぁ わかった く…夏美がそれでいいなら 」

そう言いながら どんどん顔が赤くなっていく 

「大丈夫 」

「何がだ ほら早く食べないとしろくま すごい事になってるぞ 」

飲み物のようになってしまったそれを流し込むように食べて 公園を後にした






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