守り人として
またしてもなかなか話が進まず申し訳ないです 気長にお付き合い頂いてる皆様ありがとうございます 見ていただけることが書く励みになります
「じゃあ後は頼んだよ 」
言い残し神楽さんは部屋から立ち去ってしまった 変わりに…
「九条は 物覚えがいいほうか 」
私の眼前に丸めた新聞紙を突きつけている 古賀さんがいた
「一応 人並みだとは思います 」
天原学園はここらの学校では 良いほうの部類に入る高校だ
そこで人並みの成績を維持しているのだから たぶん大丈夫だろう
「そうか まぁ新堂は優秀だったからな その従兄弟なら大丈夫だろう 」
古賀さん人に聞いておいて 自分に言い聞かせるように言ってるよ
その様子を見てたらなんでだろう 背筋に寒いものが走った
「それじゃあ 空間転移の使い方から始めよう 」
そう言うと腰に付けていたシザーケースから メモ用紙のような物を取り出した
それは携帯位の大きさの紙で 上のほうには鳥居の形がかかれ
その両脇には不思議な文字が並び 鳥居の下には崩した書体で字が書かれている
それぞれ違う漢字が一文字づつ記されている物が4枚机の上に置かれた
「一枚づつ手にとって 何か感じることがあればそれを教えてくれ 」
古賀さんの目線が こちらをじっと見ている
感じるとは 何だろう 何も感じなかったらどうしよう
ドキドキしながら まずは『月』と書かれた札を手にすると…
どうしよう 全くなにも感じない ただ手に紙を持っている感覚しかない
でも そんなこと言ったら何言われるかわからないよ~
“それには 何も感じないんだな” 昨夜のように頭の中に直接声が聞こえた
えっ という表情をつくると
“俺と神楽さんは〝呼びかけ〟が誰とでも使えると聞いているだろ”
と言われてしまった
そういえば さっきその話を聞いたばかりだった ってことは
“そうだ 俺には隠し事はできない と言う事だ” 古賀さんはニヤリと笑っていた
ははは そうでしたね これはもう笑うしかなかった
“時間がもったいない 次行くぞ”
それから『光』『白』と書かれた物を手にしたが 何も起こらなかった
最後の1枚の『明』と書かれた札 これもダメだったらどうしよう…
おそるおそる手に取ると あれ 何だろうなんだか変な感じがする
札を持っている右手がかぁっと熱くなって 嫌な感じではないんだけれども
なんだかうまく表現できない もやもやとした感じに戸惑っていると
頭に声が響く “それが馴染『文字』だったか 札を机に置いていいぞ”
言われたとおりにすると 手に集まっていた熱もすーっと引いていった
今のはなんだったんだろう 右手をじっと見ていると
“不思議な感覚だったか” 呼びかけに対し 目をみて頷く
“あれは 式札に込められた呪と お前の中にある神威が同調して起こる現象だ
それぞれの神威に馴染む『字』は分かっていたが 九条のに関しての記述は
一切残されていなかったから おおよその検討で作ってみたんだが
『明』でいけるみたいだな さてこれで馴染む『字』が分かった訳だが”
そうか私の中に宿った神威が あの熱の正体だったんだ
“次に進むぞ 時間は限られているからな 今度は式札を持って
神威を具体的な物でイメージしてみろ 例えば俺は知を具現化するために
札に書く呪文字をイメージして と言っても言葉では理解しがたいだろうから
まず手本を見せよう” そう言うと
古賀さんは式札を手にし見つめた すると札の周りに見たこと無い文字が浮かび
それが空中に球体を描くように動く そして「空間転移 」と唱えると
文字が大きくなり空中に広がり 今まで居たいたはずの部屋と違う景色に変わった
机もソファーも無くなっていて 足が地に着かずふわふわと浮いている感覚になる
この感覚どこかで… そうだ昨晩『闇』に閉じ込められた時とよく似ている
“あぁ 闇人と囁く者は『空間封鎖』という手法を使う これは『空間転移』
とは異なる技だが 今話をしてもややこしくなるから 後日改めて教えよう”
さらっと流されてしまった
“空間転移を行う理由はいくつかあるが その最大のものは『闇』及び『守り人』
の存在は 一般に知られてはならないというところにある”
確かに現代でこんな事が起きていて 門が開ききれば人間社会が崩壊するかも
なんて普通の人が知ったらパニックになるだろうし その不安や恐怖がきっと
深淵の闇にさらなる力を与えてしまうのだろう
“その通り だから空間転移は守り人にとって基本であり 大切な技なんだ
まずはこれを使えるようになってくれ”
古賀さんは 右手の中指と人差し指を伸ばして合わせ 他の指は軽く握ると
指先を斜めに動かし「転移解除 」と唱えた
すると足元の浮遊感は消え 元いた部屋の景色に戻っていた
「転移を使う理由は他にもある 」
呼びかけではなく言葉が聞こえた事にびっくりしていると
「今は必要ないだろう さっきは九条がどう感じるのかが知りたくて使ったまでだ
呼びかけは相手の考えてる事が直に伝わるから 便利な反面プライバシーなんて
存在しないからな 〝必要な時意外使わない〟というのが暗黙の規則だ」
「そうだっだんですね 」
常に使われる訳じゃないと分かり少しホッとした 隠し事するような事はないが
意識に直接触れられるというのは 気恥ずかしいものがある
「話を戻していいか 」 声をかけられ我に返った
「空間転移を行うメリットは 時間から切り離されることにもある これは異空間
と現空間で流れる時間の感覚が違うために起こる事象で 転移している間の時間の
進みは六十分の一程度になる 」
そう説明されても 何を言っているんだかよく分からない
「古賀さん もっと分かりやすくお願いします 」
「つまり 異空間での60分は現実世界ではおおよそ1分ということになる 」
「それって 大丈夫なんですか 」
そんなに時間の流れが違って 弊害が無いのか心配になる
「歴代が使ってきて何の問題もなかったんだ 大丈夫だろう 」
そんなものなのかな…
でも試験前とか 異空間で勉強したら時間が足りないなんてことなくなるな
「先に言っておくが 守り人と関係ないことに神威はつかうなよ 」
呼びかけは使っていないはずなのに 何でわかったんだろう
「九条 分かりやすい奴ってよくいわれないか 」
「へっ え~と 」 確かにそう言われるは多いかもしれないけど
「顔に出すぎなんだよ まあ素直でよいともいえるが 」
古賀さん ニヤニヤとこちらを見てる う~恥ずかしい
「なんだか話が逸れてしまったけど 空間転移の練習を始めるぞ 」
『明』と書かれた札を指し示す いよいよ修行(?)が始まるんだ




