『神楽』と神楽
分かりにくいタイトルですね… 不動産業をメインに夏美ちゃんの通う天原学園や病院など多角経営している会社『神楽』と守り人神楽との関係を書きました
「僕はもう少し夏美ちゃんと話があるから 後は頼んだよ 」
古賀さんにそう言うと 付いてくるよう言い部屋を出た
階段を1つ降りて扉を開けると ソファーとテーブルだけが隅に置かれた
殺風景な部屋に入った
「少し長くなるから 座って話そうか 」
言われるまま神楽さんの正面に座ると いつのまにか女の人が傍にいたのだが
その顔を見てびっくりした
「ヨキさん!?」
昨夜 天音さんの所で会った時の彼女は着物を着ていたが
今は黒いパンツスーツを着ている 服装が違うので見間違えかと思ったが
間違いなくヨキさんだ 驚く私をよそに 彼女は相変わらず顔色一つ変えず
「お飲み物は何をお持ちしますか 」 と冷静に聞いてきた
「僕はアイスコーヒーで 夏美ちゃんはどうする 」
「じゃあ 私も同じ物で 」
「かしこまりました 」
一礼をして部屋を出て行く彼女を まじまじと見送る
「彼女はヨキちゃんとは違う存在だよ 名前はないけどね 」
「どういうことなんですか 」
「彼女達は天音さんの力で具現化された 動く人形なんだよ
高天原や守り人・門の事は今の世では一般の人に知られてはいけないことなんだ
でも全てを僕達だけでやるには限界があるから 守り人を補助をする為に
天音さんが作ったんだよ で自分の身の回りを世話させる為に作った
人形に便宜上で『余気』っていう名を与えたというわけ 」
神楽さんは言葉を続けた
幕末頃までは 守り人は世間に認知され一目置かれる存在だったが
文明開化以降 ガス灯に始まり月光以外の光が夜の闇を照らすようになると
人は鬼や怪といった存在を 架空のものとして扱うようになっていった
その頃からなぜか 異界との門が開くことは徐々に少なくなっていき
守り人の存在も周囲から徐々に忘れられていったのだという
「そのまま何も無ければ 僕達は無用の存在になっていたんだろうけどね 」
新たに門は開かなくなっても 深淵の闇との門は完全に閉じることなく
守り人も存在し続けなければならなかったが 生業にはならなくなってしまった
そこで当時の神楽が目を付けたのが『不動産業』だった
門が開いた土地や 人外の者が関与して陰惨な事件が起きてしまった場所は
きちんと封や清めをしても誰も使いたがらず いわく付きの土地として
代々東薫院が所有・管理をしてきた
しかし 世は変わり人々は人外の者を架空と扱い 東薫院の持つ土地のいわくは
いっさい気にされなくなっていった
そうして土地の売買・管理をするうちに大きくなっていき 『神楽』という会社が
できたそうだ
『神楽』京都に古くからある財閥が元とは聞いてはいたが まさか守り人が作った
会社だったとは 確かに古くからある立派な家柄なんだろうけど… ってことは
「神楽さんって 『神楽』の社長なんですか 」
「違うよ 今は僕の父が代表取締役をしているけどね 」
うわ~ どこか浮世離れしてて 一般人とは違うと感じたけど
守り人だからじゃなくて ほんまもんのお坊ちゃまだったんだ
「それでね お願いがあるんだけれども 」
万が一外で僕と会っても 『神楽』と呼ばないで欲しいんだ
その響きを聞いて守り人の長と思い浮かべる人は 今の時代いないけど
会社の『神楽』と関係あると思われるのも面倒だし 愁って呼んでくれるかな
「愁さん ですか 」
「そう 僕が神楽を継ぐ前の名前 」
そうか この人は生まれたときから神楽だったわけじゃないんだ
「分かりました 」そう頷くと嬉しそうな顔をした
そこまで話すと 先ほどの女性が再びやってきて「どうぞ 」と
机の上にアイスコーヒーを置き 一礼をして立ち去ってしまった
「ちょっと 一息入れようか 」
よく冷えたコーヒーを飲み干し一息つくと 続きを始めていいかなと
こちらを見た 「はい 」と返すと
「じゃあ次は 〝呼びかけ〟について説明をしようか 」
それは昨夜の不思議な出来事の事だった 〝呼びかけ〟とは勾玉を持つ者同士の
波長を合わせることにより 意識に直接語りかけることを可能とする技で
神楽さんと古賀さんは全ての勾玉の波長と合わすことができるのだという
これは相手の意識があれば(寝ている場合は通じないんだったて)
時間も場所も関係なく使えるものであり 携帯よりも確実で便利な物だと言うが
突然話しかけられる身にもなって欲しい 昨夜は本当に驚いたが
これを使う事により街中でも 他者を気にすることなく意思の相通がはかれ
仕事をするのに 欠かせない技の一つであると教えてくれた
「僕達2人を介さない場合は ちょっとした手順を踏めば限定的ではあるけど
〝呼びかけ〟が使うことができるんだ 詳しくは後で先生から聞いてね 」
「先生ですか? 」
そこまで言うと ガチャっと部屋の扉が開き古賀さんが立っていたのだが
なぜかその手には 新聞紙を丸めた物が持たれていた




