勾玉を持つ物
人物紹介になりました イメージや性格付けは難しいです
今日は曇り空が広がり いつもよりは暑くはないが 相変わらず蒸している
部活があったのだけれども 「用事ができて休む」と連絡を入れて
会社ってどんな格好で行くのかな やっぱりスーツ?でもそんなの持ってないし
悩みながら用意をしていたら 突然また神楽さんの声が聞こえて
「昨夜言い忘れたけど 動きやすい格好できてね 」
と言われたので ロンTにショートパンツとまるで遊びに行く格好になっちゃったけど
動きやすいのには間違いないし まいっか
そして 言われた時間の10分前に御陵駅改札に着くと
「智兄 ごめん 待たせちゃったよね 」
早めに来たのに 待ち合わせ相手はすでにそこにいた
「あぁ まだ時間前だろ 早かったな夏美 」
駅から『御廟野古墳』がある方へ向かって歩く事約5分
住宅街にあるそんなに大きくないビルの前で足を止めた 一階は駐車場になっていて
車が4台止まっていた うち一台に見覚えがある きっと古賀さんのだ
建物の左脇にあるガラス扉を開け 入ってすぐ正面にあるエレベーターに乗り
最上階である6階のボタンを押す なんだか緊張してきた
エレベーターを降り 奥にある扉を開けると 教室位の広さの部屋があり
「新堂 ご苦労様 夏美ちゃんいらっしゃい 」
正面のデスクに座っていた神楽さんが にこやかに出迎えてくれた
その場で挨拶をしようと 口を開けた瞬間
「うぉ~ 本当に女の子が来たーっ 」
いきなり大きな声が聞こえて びっくりして言葉に詰まる
「うるさい サル 黙れ 」
「サル違う 俺の名前は聡明の聡と書いて聡 何度言えばわかるんだよ 古賀」
「何が聡明の聡だ 賢さの欠片もないお前はサルで十分だ 」
あれっ 古賀さんってこんなしゃべり方するんだ 見た目は温和そうな感じだったけど…
あっけにとられていると 明るめの茶色い長い髪の綺麗な人が呆れ顔で声を出す
「二人ともいいかがんにしなさい 新人さんおびえちゃってるじゃないの 」
「うるさい オカマ 口出すな 」
「古賀君 躾がなってないみたいだけど… 私がみっちり仕込んであげようか 」
「あぁ 遠野さんお願いします 俺はもう疲れました 」
「いやだ~ オカマより古賀の方がまだましだ 」
状況がまったく分からず 入り口で呆然と立ち尽くしていると
「あはは そんなに引かなくても大丈夫だよ ちゃんと紹介するからこっちにおいで 」
神楽さんが声をかけてくれ 促されるまま中に入っていった
部屋の端に置かれた長机の上座に神楽さんが座り
私はその右横に座るよう言われ 部屋にいた人たちも各々の場所へと座った
「じゃあ 順番に自己紹介していこうか 古賀からでいいかな 」
そう言われると 正面に座っていた古賀さんが口を開いた
古賀 俊典 昨日お世話になったうちの一人で 知の神威を操る守り人
すらりとした細身体型で 琥珀色の少し伸びた髪と男の人にしては大きな瞳からは
優しそうな感じがしたのだが 先ほどのやり取りを見ていたらちょっと違うのかも…
守り人になって6年という神楽さんについでの古参で 補佐役でもあるそうだ
新たに守り人になったものに力の使い方を教えたり 式札の製作も行っている
「九条にも力や式札の使い方を教えていくから ちゃんと覚えるんだぞ 」
そう言った顔は笑顔だったけど 何か薄ら寒いものを感じた 頑張らないと
井上 篤史 元陸上自衛隊に在籍していた 山の神威を操る守り人
身長は智兄と同じ175cm位だけど 元陸自だけあってがっちりした体つきだ
ちょっと硬そうな黒髪は短く切られ ワックスでクシャクシャとしてて似合っている
守り人になってから4年程経っているが 体力には自信があると言っていた
「自分は神楽さんや古賀さんに比べればまだまだだけど
九条君よりは先輩になるんだから 何かあったら遠慮なく頼ってくれ 」
ニカッと笑う顔は うん体育会系の人そのものだね でもなんだか安心するな
新堂 智樹 自分の従兄弟で 水の神威を操る守り人
大学までずっと剣道をやっていたから 普通体型でも筋肉質でしっかりした体つきだ
少しクセのある茶色がかった短めの髪は ワックスで整えられている
そういえばいつから髪伸ばし始めたのかな 高校まではスポーツ刈りだったような
守り人になって1年数ヶ月 と言う事は大学卒業後 京都で就職したっていう職業は
このことだったんだ 智兄の事はよく知っているつもりでいたが
京都に就職しても滅多に会えなかったし 最近の事は知らなかったなぁと改めて思った
「夏美 あまり無理な事はするなよ 」
そういえば智兄って 昔から心配性なところがあったよね
あまり心配かけないように しっかり頑張ろう
「じゃあ 次は私ね 」 隣に座っていた人が口を開いた
遠野 真琴 さっき〝オカマ〟と言われていた火の神威を操る守り人
私なんかより女らしい体つきをしていて 髪も顔も本当に綺麗なお姉さんなのに
元〝男〟と言われてもちょっと信じられないくらいだ
でも今はもう心も身体も女よと 本人はあっけらかんと笑っていた
井上さんとほぼ同時期に守り人になったから「4年も経ったんだ」と感慨にひたっていた
「女の子同士 仲良くしましょうね夏美ちゃん 」
ちょっと複雑な物を感じるけど 頼りがいのあるお姉さんがいて良かったと思おう
「やっと 俺の番か 」待ちくたびれたと言った顔で話し出したのは
野上 聡 私が部屋に入った時の大声の主で 風の神威を操る守り人
身長は私よりちょっと大きいから多分170cm位 すっきりした印象のイマドキ男子
少し長めの茶髪をきっちりとセットしている 進路が決まらないまま高校を卒業し
なんとなく予備校に行っていたところ 適合者だと突然言われ守り人になったのが
半年前だと教えてくれた
「何か分からない事あったら遠慮なく聞けよ 」
自信たっぷりな顔で言い切った すると
「サルに何が教えられるんだ まだ満足に力も式札も使いこなせないくせに 」
「うるさい古賀 最近俺だって実践でちゃんとやってるだろ いい加減認めろよ 」
「年上を呼び捨てにするような奴は 認められない まずは口の利き方から直せ 」
「そんなの関係ないだろ だったら古賀も俺をサルって言うな 」
いきなり始まった言葉の応酬に驚いていると
「古賀と野上は ホント仲良いよね~ 」
と神楽さんは 笑顔で見ていた これってもちろん分かってて言ってるんだよね…
はぁ ここで私うまくやっていけるのかな… 一抹の不安が胸を過ぎった




