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無能と蔑まれ追放された弱小錬金術師、実は神スキル概念錬金の保持者でした〜最果ての地で最強領地を作ります〜  作者: 葉山 乃愛


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第20話:絆の防衛戦と、絶対の概念

森の境界に走る緊迫した静寂。


聖域都市を囲む結界の前に、禍々しい黒塗りの馬車と十数人の暗殺者集団が姿を現していた。


「ヒヒッ……あったぞ、あの無能アルスが溜め込んだ宝の山だ!」


私兵団の残党を率いるのは、かつて王都ギルドでレオンたちに便宜を図り、アルスの実績を揉み消していた腐敗幹部・バロウズだった。


彼の手には、王都の地下倉庫から盗み出した禁忌の魔導具『概念喰らいの宝珠』が握られている。


「この宝珠を使えば、どんな錬金術の加護も吸い尽くして無力化できる! あの生意気な雑用係を引っ張り出し、死ぬまで俺たちのために道具を作らせてやるのだ!」



その時、森の奥から静かに歩み出てきたのは、一人の少年だった。


背中に大きな道具箱を背負い、胸を張って立ちふさがる弟子・ルカだ。


「ここから先へは……一歩も通させません!」


「ハッ! ガキが一頭前に何だ!? おい、ひねり潰せ!」


襲いかかってくる暗殺者に対し、ルカは腰から一本の青いブレスレットを取り出した。

第14話でエレナのために作り、第17話でさらに磨き上げた『軽量・衝撃拡散』の加護道具だ。


「アルス先生が教えてくれました……道具は人を傷つけるためじゃなく、大切な誰かを護るためにあるんだって!」


ルカがブレスレットを掲げると、清らかな青い光が波紋のように広がり、襲いかかった暗殺者たちの攻撃を完全に弾き返した。


「な……なんだと!? ガキの作った道具に、なぜこれほどの加護が!?」


「ガハハ! 見たか王都の腐れ役人め! これが俺たちの誇る、聖域都市の若き錬金術師の力だ!」


森の影からガルドとミナ、そして職人たちが一斉に飛び出し、加護の施された頑丈な武具で暗殺者たちを次々と取り押さえていく。



「ええい、鬱陶しい! 『概念喰らいの宝珠』よ、この街の魔力を吸い尽くせ!!」


バロウズが叫び、黒い宝珠が狂ったように怪しい光を放ち始めた。


街を守る結界が不気味に揺らぎ、職人たちの武具から光が奪われそうになった――その瞬間。


ドォン!!


空を切り裂くような白銀の閃光が駆け抜け、バロウズの足元を正確に穿った。


「私の大切な家族の営みを、そのような汚らわしい欲望で踏みにじること……決して許しません」


舞い降りたのは、純白の翼を広げたセラフィナだった。

その瞳は怒りに揺らめくオッドアイ。圧倒的な龍の威圧に、バロウズは腰を抜かした。


「ひ、ひぃぃっ!? 龍人族……!?」


「そして……俺の弟子や仲間に手を出すこともね」


セラフィナの隣に、アルスがゆっくりと並び立つ。


「バロウズさん。あなたが持っているその宝珠……実は、第4話で俺が解読した『神の錬金窯』の不完全な模倣品ですよ」


「な……なに……!?」


「師匠の手帳にも書いてありました。心のない者が概念を奪おうとしても、それはただの暴走を引き起こすだけだと」


アルスは作業用ナイフをそっと抜き、バロウズの宝珠へと向けた。


付与する概念は――『調和の還元』および『悪意の完全無効化』。


「『概念錬金』――発動」


金色の温かな光が黒い宝珠を包み込む。

狂暴に魔力を吸い上げようとしていた宝珠は、アルスの清らかな魔力に触れた瞬間、パリンと心地よい音を立てて綺麗なガラス玉へと姿を変えた。


「俺の力は、誰かを支配するためのものじゃない。みんなと温かく生きるための力だ」


「あ……あああ……!!」


概念を失い、すべての企みが潰えたバロウズは、その場に崩れ落ちて号泣した。


そこへ、馬を走らせてきたエレナ率いる正規騎士団が到着し、逃げ場を失った残党たちを一網打尽に捕縛していった。



「アルス殿、見事だった。これで王都の膿はすべて出し切られたよ」


エレナが剣を納め、晴れやかな笑顔を向ける。


「エレナさん、駆けつけてくれてありがとうございました」


「お礼を言うのはこちらだ。……ルカ、君の作った加護道具も見事だったぞ。我が騎士団の者たちも感服していた」


「エレナさん……! はいっ! 僕、もっと勉強して、もっとすごい錬金術師になります!」


誇らしげに胸を張るルカを、ガルドやミナが笑顔で小突き、温かな笑い声が森に響き渡った。



夕暮れ時、静けさを取り戻した『神の錬金窯』の前に、アルスとセラフィナが立っていた。


碧と金の光が、まるで二人を称えるように柔らかく街を照らしている。


「アルス様……本当に、すべての因縁が吹き飛びましたね」


「そうだね、セラフィナ。もう俺たちを脅かすものは何もない」


アルスがセラフィナの手を握ると、彼女は可憐な微笑みを浮かべ、アルスの胸にそっと寄り添った。


「これからは……この温かな聖域都市で、みんなと一緒に、どこまでも幸せな毎日を重ねていきましょうね」


「ああ、約束するよ。俺たちのこの大好きな場所で、ずっと一緒に生きよう」


追放された少年と孤独な龍の姫が開いた小さな居場所は、仲間たちの絆と愛に守られ、永遠に途切れることのない幸せな物語を刻み続けていくのだった。


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