ねこ
猫を飼っているのであるが
その猫が一ヵ月ほど前から姿を消していた
私はビラを作ったりして、学校帰りや休日を利用して
近所を探したが
お祖母ちゃんは、何処にいるのだろうと思っている私に対して
「猫は死ぬとき弱さを見せないように去るんだよ」
といって、手伝おうともしてはくれなかった
私はその日も一人、街をうろついていたが
商店街を抜けようとしたとき
人ごみの中
ミケの尻尾によく似たものが路地裏に向かうのを見た
私はすぐに、後を追った
「ミケっ」
私が、そう叫んだが、誰もいない路地裏には、空き缶や、酒のケース
家と道の境目に生える草しか見当たらない
「ミケ」
私はとぼとぼと、その道を、歩いていると
道路の一部がへこみ水たまりになっており
そこに茶色い毛が見えた
「っあミケ」
その首輪は、明らかにミケであり
その悪臭のする彼女を、私は、手で持つと、家に帰り大騒ぎになった
それは、彼女を木の下に植えて一ヵ月ほどしたころであろうか
私は、寝る前に、歯磨きをしていると
後ろで何かが動いた気がした
そのまま気にもせずに、コップを口につけてゆすごうとしたとき
違和感を感じ始めた
何か臭い
急いで吐き出した口の中は、歯磨き粉の味とは別に
腐った・・・
その時、私の頭には、ミケをもって、歩いたあの時のにおいが、フラッシュバックされた
私はすぐに口の中の物をすべて吐き出し
改めて蛇口から水を出したが
、何のにおいもしない
しいて言えば、水のにおいしかしなかった
まだ変な味がするような口の中
私は改めて、あのコップの水を嗅いだが
ほのかに悪臭がするような気がするが、分からなかった
問題は、そのあとも何度かそういうことがあり
配管の問題かなー
と父は言うが
私は、ミケがまだこの家にいるように思えてならないのである
そんな話を、時間がたってすると、別の大学生が、折れの場合は髪の毛だと、小さな袋に入った三本の髪を見せた
そんなことが、本当にあるのだろうか
感覚のマヒナのではないだろうか
しかし、相手が本当のことを言っているのであれば、目の前に髪の毛の入った袋は存在していた。