neko
その日私はどうしようもないほど意識がもうろうとしていた
布団の中で、ずっしりと重い頭をどうすることもなく横たえて、どうしようもない思いを
どうしようもなく横たえていた
そんな横たえていたどうしようもない感情は、風邪のせいでも、熱中症のわけでもない
ただ、どうしようもない、熱帯夜の夜に、一人身動きができないのだ
こんなことは、初めてである
うわさに聞く金縛りというものであろうが
しかしながら、こんな面倒なことだとは、思いもしなかった
目玉だけが、部屋の中をはい回るが
しかし、それ以外の体の部位は動けず
熱い部屋の中で
ただ、私の体温が布団の中で、熱風のように、暑さを上昇させ
だらだらと汗を、かき続けていた
「おい、居るか」
部屋の前で、隣の大学生だろ
部屋の住人を呼びにきた声がした
しかし、私に対しては、意味を持たないらしく
全く意味なく私の体は動かない
「おい、居ないのか」
相手は、何度か部屋の前で、そんなことを叫んでいたが
しかし、あきらめきれないらしく
深夜にもかかわらず、私の家の前で、扉をたたく音がする
「すいません、隣の部屋の知り合いなんですが
ちょっとお聞きしたいのですが、死んでませんよね、彼奴
連絡が取れなくて
交通事故にあったって言って、連絡が自分のところにも、回ってきたんですが
信じられなくて
隣で、今も、寝ていますよね」
酒でも飲んでいるのだろうか
そんな声が聞こえたが、私は、声を、出すことができない
ただ、その瞳は、曇りガラスの向こうを見ている
「寝てるのかな」
そんな声がした後、また隣のドアのほうへと歩いていくのが見える
私は、頼りなく視線を、上にあげようとしてやめた
なぜか、布団の足元に、人の影を見たような気がしたのだ
金縛りというのは、一種のストレスと聞いたことがある
しかし、明らかに・・
私は、瞳を閉じると、必死で、眠ろうとした
きっとすべては、夢なのだから




