「アーケオVSエムバク」
ストリングとの戦いの次の日の朝。アーケオはマシュロと朝食をとっていた。目玉焼きとベーコン。彼女と過ごす静かな朝は彼にとってかけがえのないものだ。
「今日の試合は十二時からですね」
「そっか。じゃあそれまでストレッチと軽い運動だね」
アーケオの試合までどう過ごすかを考えていた。昨日は勝てたとはいえ、今日はわからない。
「ご健闘をお祈りしております」
「任せてよ」
アーケオは笑みを浮かべた後、目玉焼きを頬張った。
試合の時間になって、闘技場に入る前から既に観客の声が聞こえてくる。
「行ってらっしゃいませ」
「いってくるよ」
マシュロに見送られて、アーケオは闘技場に入った。
二回戦の相手は弓を持った長髪と顎髭が特徴的な小柄の男だった。野性味漂うその風貌にアーケオは緊張感を覚えた。
「アーケオ選手VSエムバク選手! 試合開始!」
ゴングとともにエムバクが弓を構え始めた。
「先手必勝!」
エムバクが弓を目にも止まらない速さで矢を飛ばして来た。それもただ早いだけではない。多いのだ。よく見ると彼の手が青く光っている。おそらくマナを送り込んでいるのだ。
「マナを込め続ける限り、無限に打てるってわけか」
「そう。これが俺の魔法だ」
アーケオは矢を躱して、エムバクと距離を詰めた。捌けるものは捌いて、無理なものは避けた。
矢の相手はヤマトの大江戸厳世との戦いで経験済みだった為、ある程度対応は出来たのだ。
距離を詰めるとエムバクが懐からナイフを取り出した。刃同士がぶつかり合い、火花が激しく散り始めた。
「なかなか、やるな」
「あなたも中々のナイフ裁きですね」
そう言いながら、アーケオはムンバクを押し切った。エムバクのナイフ術は見事なものだったが、マシュロには及ばないと思ったからだ。
エムバクが距離をとって、再び、弓を構えた。アーケオは迫るくる矢の嵐を躱した。アーケオは剣に力を込めた。
「勇者の斬撃!」
無数の飛んでくる矢に黄金に輝く斬撃で対応した。矢が次々と破壊されて、エムバクが間一髪で避けていた。エムバクが態勢を崩した隙にアーケオは距離を詰めた。
再び刃を重ねた際にエムバクが弓をない事に気がついた。すると後ろから何かの気配を感じた。弓が凄まじい速度で回転しながらアーケオに向かって来ているのだ。
「まさか斬撃の勢いに紛れて」
「ご名答」
アーケオは弓をかわすためにエムバクから距離をとった。紙一重で彼の攻撃を避けて、間合いを取った。弓を取ったエムバクがそのまま、弓を構えた。
「俺の勝ちだ」
「いいや」
アーケオは最後の賭けに出た。
「勇者の斬撃!」
アーケオはエムバクめがけて斬撃を打ち込んだ。しかし、斬撃は躱されて、立っていた近くの地面に斬撃を打ち込んだ。辺りが粉塵に包まれた。アーケオは目を閉じて、意識を集中させる。斬撃が決まらなかったのは辛いが、これはこれで別の手が彼にはある。
「粉塵で目をくらませたつもりか!」
エムバクが再び、矢を放ち始めた。矢の群れが右から迫ってくる。おそらく円を描くように打っているのだ。観客の動揺する声。粉塵が風で流れる音。何かの動く音。アーケオは捉えた。
「一閃!」
アーケオはエムバクの存在を捉えて、剣を抜いた。
「ぐはっ!」
粉塵の中、勇者の剣がエムバクの腹部を見事に斬りつけた。砂煙が晴れて、観客の前に立っているアーケオと地に伏せたエムバクの姿が露わになった。
「勝者! アーケオ選手!」
観客席から大勢の叫び声が湧き上がった。
「今回は少し肝を冷やしたな」
アーケオは額の汗をぬぐいながら、担架で運ばれるエムバクを見送った。
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