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旅立ちの日に

 さて、決心はしたものの…どうしたものか。とりあえず部屋の片付けに、後はゴーレム達をどうするか。

 いつも通り箱庭に詰め込んでおくか。


 箱庭とは球体型の倉庫。倉庫と言っても小さな星のような物で、植物などが存在している。もう1つの星である。ただし、動物の類は存在しておらず虫も存在していない。見た目は地球儀のような見た目である。

 箱庭に近づけた物は勝手に小さくなり、箱庭に合った大きさになり収納される。

 ヴォルバルが昔、無限に収納ができるバックを作ろうとしたらなぜかもう1つの星が生まれた。ヴォルバルは捨てようとしたが収納バックのような使い方ができることを知り、気にせずに使っている。


 魔力も存在しているしゴーレム達にも心地がいいだろうしな。そう言えばこの前召喚したヤツら心地がいいって言って帰ってないけど流石にいないよな…。

 この前ちょっと火力と純粋な水が欲しくて召喚した召喚獣達が箱庭に興味を持って入っていったけど…流石に帰っただろ。

 箱庭を取り出して中を覗くと普通に召喚獣達が住んでいた。

「おい、お前らいい加減に帰れよ」

 頭を支えるようにして手を添えて苦言を漏らす。すると、火力担当の召喚獣が私に向かって反論してきた。

「いやいや、この中が心地よすぎるんだって。この芳醇な魔力に美味しい空気。出たいって気力が無くなるよ」

「あのなぁ…はぁ、とりあえず顕現するのには大丈夫なんだろな」

「あぁ!!むしろ有り余ってるレベルだよ。むしろ元の世界よりも楽な説あるレベルだよ。自然に居れるね」

「…わかった。いてもいいけどあまり暴れるなよ!!これから私の荷物を大量に入れるから」

「分かってるって、主人に対して無礼を働こうなんてここにいるやつは考えねえよ」

「ならいいがな」

 私は地下に行きゴーレム達を箱庭の中に入れていく。全てのゴーレムを入れた瞬間、箱庭に異変が生じる。魔力が溢れんばかりに動き回る。

「おい!!大丈夫かお前ら!!」

「あっあぁ、大丈夫だ…何だこの魔力の量」

 他の召喚獣も怪我はなさそうで平気そうだ。ただ困惑している。するとさっきまで大人しかったゴーレム達が動き始める。まるで自然に存在する動物のように不自然のない動きだ。

「ゴーレムたちが動いてる?」

 動揺してしまい声が漏れる。

「何かおかしいのか?」

「いや、おかしくはないが…いやおかしいか」

「どういうことだ?」

「ゴーレム達には核が存在しており、その核は生き物で言う心臓で魔力を全身に巡らせて動いているんだ。普段は魔力を生成しているが少なくてぎこちのない動きをするんだ。普段は冬眠のようにエネルギーを内に備えて動かないはず」

 それでもこうして動いているということは魔力が困らない量供給されているということだ。

「もしかして箱庭がゴーレム達に合わせて性質を変えたのか?」

「あぁ…確かにさっきよりも魔力の吸収がしやすいかもな」

「恐らくそうだな。まさか箱庭に成長する機能があるとはな」

「そもそも道具の中で植物が生まれる物なんて聞いたことないわ」

 確かにそれもそうか。でも、新しい発見ができたな。やっぱり外に出るのは正解だな。色んな発見ができる。これは楽しみという言葉以外見つからないなあ。

「それにしてもどういう風の吹き回しだ?」

「何がだ?」

「お前があのひよっこ共と旅に出るって言うことだよ」

「そのまんまの意味だよ」

 この道具は…まだ使えるし持っていくか。

「いや、そのまんまって…お前は意地でもこの森を出ようとしなかっただろ。そんな堅物があんなひよっこの言葉を聞いて心が動かされるなんて思えねぇな」

「私をなんだと思ってんだよ」

 さすがに聞き捨てならないから作業する手を止め箱庭を覗く。

「ちなみに言うけど召喚獣達の中でも有名だぞ。人の見た目をした神のような化け物って」

 笑顔で言ってくる。

「私でも傷つくんだから」

「ナッハッハッ!!お前でも傷つくことがあるんだな」

「って言うか、その化け物に対してよくもまあ馬鹿正直に化け物って言えるな」

「まぁ、普通のやつだったらビビって言えねえだろうな。現に他の奴らは木の影とかから恐る恐る俺が粗相をしないかビビりながら見てるぞ」

「気を使って離れてみてるんだと思って…」

「怒られないか気を使ってるだろうな」

 傷つくことを笑いながら言うなよ。

「さてとこれで最後か」

 

 私は1つの装置の前に立つ。幾何学模様が施された謎の遺跡にあるような1枚の岩のような形だ。真ん中に2つの丸い穴がある。

「なんだそりゃ?」

「これはゴーレム専用の魔力供給機だ。無限に魔力を作ることができるんだ」

「無限に魔力って…本当に規格外だな」

「何言ってるんだ?空気中に魔力が存在するのは世界樹と言う無限に魔力を生み出す神樹があるからだろ。ならば世界樹を模倣すれば似たような機構を作ることは可能だろ」

「それを規格外って言ってるんだよ。そもそも世界樹って、神が直接作った物で植物とも動物とも、ましてや物とも言えない存在だろ」

「調べたら誰でもできるよ」

「無理だから」

 そんなに有り得ないと声を出さなくてもいいだろ。

「まぁ作れた物は作れたんだ。まだ未完成だがな」

「未完成なのか?」

「2つの穴があるだろ。あそこに2つの珠を設置しないといけないんだ。1つは完成しているのだが、もう1つはあと少しで完成するんだ」

「へぇ」

「で、今日のMTubeで完成させて旅に出ることを発表。いい筋書きだと思わない?」

「視聴者の何人が発狂するのか見ものだな」

 実際に今日出会って発狂した人いたしな。

「備え付けの物は…まあいいか。ここを使う人が出てきたら譲るか」

「ここを見つけれるか分からないがな」

「大丈夫だよ…多分…きっと…うん」

「最後まで自信もって言い切ればいいのに」

「いやぁ、難しいだろうなぁって」

「ま、来たら来たでそれでいいだろ。鉱石もいくつか残してたらどうだ?」

「あ、それいいかも」

 箱庭からしまった鉱石をいくつか選出して倉庫の方に入れておく。

「絶対にあれを加工出来るやつ居ないぞ」

 何かボソッと言ったが鉱石の落下音で聞こえなかった。

「何か言った?」

「別に何も」

 まあ、こう言うってことはそこまで重要なことではないってことだな。

 「さて撮影準備するか」

 まずは今日使う鉱石と道具。そして炉の火を強くしておく。撮影用防止を被ってそこにマフォンをセットする。

 そして特殊魔術加工用の道具も置いておく。


「そろそろいい頃合いかな」

 配信のボタンを押して帽子をかぶる。

「さて皆様お待たさせてしまい申し訳ございません。これからルガンダによる配信を始めていきたいと思います」

 いつも通りの開始の合図。これも今日で最後になると思ったら悲しいものだな。


 そこからは永遠と私のトークショー。もう1つマフォンなどを持ってたらコメントが見えるだろうに、持っていないからコメントを常に確認できないんだよな。その結果私の1人話。

 最初は、友人がポカをやらかして私がその尻拭いをしないといけなかった話。笑いながら話してしまった。当時はイラついていたが、今思い出しながら話すと本当に馬鹿なことをしていたものだ。

 その次に今日あった出来事だ。実名は伏せて出会った程度に納める。それにしても楽しかった。人と話すなんて何年ぶりだろうか。

 ちなみに、私はどんなに長生きでも1年はすぐには過ぎない。

 でも、今回は少し集中しないといけない作業が多かったから静かなシーンも多かった。


「そろそろ完成しますよ」

 最後の仕上げ用の魔石を準備する。魔石は宝石のように輝いており、見るものを魅了するレベルだ。

 この魔石を珠の指定の所に設置するとあらゆる模様が描かれた珠は光り輝き辺り一帯を照らした。太陽が昇ったかのような光量だが、優しく目に痛みは走らない。

「完成しました。この珠は無限に魔力を作り出す代物で早く装置にセットしないと大爆発を起こして、人が数百年住めない地になってしまいます」

 メリットとしては無限の魔力をなんの消費もなく作り出せれるところだが、デメリットとして放出する装置がないと限界を迎えて魔力が溢れて大爆発を起こす。私は別に死なないけど周りに影響を及ぼすから流石に爆発させない。

 球を持ち装置の前に立つ。片方の凹みには真っ黒な珠がセットされている。これが魔力を放出する珠。今は作動していないから真っ黒だが作動したら綺麗な物になるだろう。この前、試しに魔力を流すと七色に輝いた。なんと言うか色が変わる瞬間はすごく幻想的だった。

 まあ、そんなことは置いておき…今回作りだした珠を凹みにセットする。すると装置に血流のように、光が筋を辿って満ちていく。

 そして装置全体に光が満ちた瞬間もう1つの珠が七色に輝き始める。輝き始めたと同時に、部屋が高密度の魔力で満ち溢れる。

「これは…予想以上ですね」

 そう、この魔力量は想定外な量だ。この濃度だと、一般人は余裕で気絶かな。耐性がない人は死ぬね。

 その証拠に魔力によって家がミシミシと音を立て始めた。結構頑丈にしたはずなのだが耐えれそうにないな。

 私は即座に箱庭に取り込ませる。

『[無限の渦]と[箱庭]を合成しますか?』

 無機物な女性のような男性のような声が脳内に響く。これは#神声__しんせい__#という物で、なにか物を作る際に最終確認用のセーフティのような物だ。

「合成する」

『合成を申請…受注されました…合成を開始…合成が完了しました。真性遺物[始まりの星]が作成されました』

 真性遺物と来たか。


 真性遺物とは、はるか昔神が世界を作り出した時にとある七つ道具を使ったと言われている。その七つ道具の1つの類似品が真性遺物という名前である。例えば、七つ道具のうちの一つに水が無限に湧く水瓶が存在する。とある学者が、魔力が続く限り液体を作り出す鍋を作ったらそれも真性遺物となる。なので、レアかどうかはどの七つ道具の類似品かによる。ちなみに水瓶はそこまでレアでは無い。と言い伝えられている。神ねー。


「これにて完成…ですかね?最後は私も想定外だったので締まらない終わり方ですね」

 笑いながら言う。こんなの笑うしかないよ。


 私はその後、物をいつもより丁寧に片付け椅子に座る。

「さて皆様…本日の動画はいかがでしたかな?ルガンダ最後の配信、楽しかったですか?」

 もちろん反応は見えない。

「まあ、皆様は「なぜ?」と思うかもしれませんね。簡単に言いますと旅に出ます。長い長い旅に。そのため、MTubeは今日を持って引退します。皆様のコメントはいつも私の励みになりました。皆様が楽しく動画を見るのと同時に、私は皆様のコメントを楽しんでました。本当に今までありがとうございました」

 私は頭からマフォンを取り机に立たせる。私はカメラが向いている方に向かう。

 顔出し…ではない。顔には白い霧がモヤモヤっとかかっているはずで、視聴者様達から見たら作業服を着た男の体しか映っていない。


「さて、ここからは私の独り言です…まあ、いつものことですね。私は今日、とある若者達に出会いました。その若者達はそれぞれ道は違うのだと思います。ですが、目は凄く同じように輝いていました。その輝きは夢に向かう希望の輝きでした。それを見た瞬間私は…なんとも言えない孤独を感じました。私はいつの間に夢を置いていきここまで進んできたのか。そもそも夢なんてあったのか?そんな思いになりました。ですので、私は旅に出て夢を改めて見つけたいと思いました。私もかれこれ数百年以上(数万年以上)生きてきましたけど、まだ遅くないと感じましたね。もし、皆様にも過去に置いてきた夢、思いも付かなかった夢を叶えてみてはどうですか?若い頃のワクワクをまた味わいましょう。私は噛み締めてきます。それではこれにて最後としましょう。皆様、夢は無限に続くからこそ楽しいのですよ。それではまたどこかでお会いしましょう!!」


 私はそう言って撮影を切る。

 そしてマフォンに登録していたルガンダを消す。昔、使わなくなったアカウントが利用されたと聞いたことがあるので一応である。

 作成した動画はMTubeを開発した人に届けているので見ようと思えばいつでも見れる。


 それにしてもなんとも言えない消失感だな。ある意味断捨離の醍醐味とも言えるのかな。

 さて、明日を楽しむためにも早めに寝るか。


 

 それでは視聴者皆様おやすみなさい。



 ~説明~

 魔力について


 魔力とは魔素という物が集まって液体のような流動体となった姿のことである。

 魔素とは素粒子のように空気中や地面の中、森羅万象に宿ってる。だが、目には見えない。何故かと言うと別の時空に存在しているからである。その結果、魔力に敏感な人や特別なスキルを持っていないと見ることが出来ない。

 魔力は人を通さないと魔法にならない。理由は人を介して、人が存在する空間に力として顕現するからである。人の空間に顕現した魔力でなければ力を持った存在にはならない。だが、理由は判明していないが顕現していない魔力には物に干渉する力が存在する。

 魔力が濃くなりすぎると人に宿ってる魔力が圧迫されて、臓器に破損が発生したり、何かしらの力が働き体内をズタズタに破壊してしまう。力は魔力による自然的働きか、神(笑)による天罰かは分かっていない。

 体内に存在する魔力が多くあると圧縮されて固くなっているのである程度の魔力濃度でも耐えれる。なので、魔力に耐えれるのは個人差がある。

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