初め
初作品です。
その上初めてなろうで書きます。
設定や書き方などよく分かりませんがどうぞよろしくお願いします。
最初なので様子見がてら短くしております。
私は幼い頃から変なものが視えた。
「ねぇ、そこ、怖い人がいるよ。怖くないの?」
「なにさ、何もいないよ」
「咲ちゃん変なのー。」
それは周りの人らには見えないようで、よく気味悪がられていた。そのため視えることは普通じゃないということを幼いながらに早くも理解していた。
私は中学二年生になった。
視えるということは誰一人にも言わず今まで生活してきた。
そんな生活の中でわかったことがある。
視える ソレ の正体は幽霊であるということ。
姿形はそれぞれ違うということ。
喋られる物もいれば、喋られない物もいるということ。
念が強ければ強いほど醜くドス黒いということ。
今分かっていることはこれだけだ。
そして今、私は今まで生きてきた中で一番醜くドス黒い霊を目の前にしている。そしてソレは落ち込んでいるのか、泣いているのか、とにかく悲しんでいるようだった。
そんな酷い見た目なのに、何故だか惹き込まれてしまう。
「これ、使いますか」
ハッとした。無意識に私はハンカチを差し出していたのだ。
幽霊相手に私は何をしているのだろうか。
そもそも幽霊が人の物を触れるかどうかも分からないと言うのに。
すぐに謝って、無かったことにしようとした。だがそれよりも先にソレが反応した。
「あぁ、ありがとう。でもいらないわ」
「...喋れるんだ」
「貴女こそ、私が視えるのね」
「幼い頃からね」
「そう、大変ね」
ソレは普通に話せる喋られる幽霊だった。
声だけ聞いていたら、本当に生きている普通の人そのもので不気味だった。私と話しているのに、顔を一切あげずに手で顔を覆っているのも、不気味だった。
でも、何故か彼女と話がしたかった。
「なんで泣いてるの?」
「大事な人と会えないの」
「生前の恋人?」
「...恋人になれそうだったの。でも、死んじゃったから」
「それ、どういう状況?」
「...」
彼女は、これ以上語らなかった。
まだ顔をあげずに背中を丸め俯いている。よく見るとセーラー服を着ていた。同い年か?高校生なのだろうか。でも、この辺にセーラー服の学校なんてない。この辺の制服が変わる前に生きていた人なのだろうか。
「あなた、中学生?」
「高校生だった」
「この辺にはその制服の高校なんて無いよ」
「そう、そんなに時間が過ぎたのね。いつ会えるかしら」
「顔を見せていたら気づいてくれるんじゃない?」
「...ダメよ、そんなの。嫌われちゃうわ。今の私は醜いんだから」
「そっか。もう遅いから私帰るね。」
彼女が座っているすぐ横にハンカチを置いて公園を出た。
公園の入口から見ると、彼女は変わらずピクリとも動かずにいた。声はあんなにも人間らしいのに、見た目があんなんだなんて。皮肉なものだ。大事な人とはきっと会えないんだろう。
一体、彼女は何年、何十年あそこで大事な人とやらを待っているのだろうか。その上まだ想い続けているなんて。
相手の人は相当愛されているんだろう。
なんて羨ましい。
「ただいま」
「おかえり、今日は少し遅かったね。寄り道?」
「...少し学校で勉強してたの」
「あらそう、それならいいのよ。次こそ期待してるからね」
「うん、頑張るよ」
家になんてできるだけいたくない。明日、また公園に行こう。