魔法の白庭
魔法の園。
刺繍の入った鉄柵の檻。
「やっと追いついたわよ」
雪を踏みつけどかどかと、授業終わりにその子はやってきた。
編んだ黒髪を揺らし、そばかすのついた顔で睨んでくる。
さきほどの試験結果のことだろう。
この子は私のことをライバル視している。
でも私は仲良くしたいだけなのだ。
「うん。でも私とお姉ちゃんは魔法の属性が違うから」
私には姉がいて、姉は私と体の造形がまったく同じだけど、使う魔法の系統が違う。
それを周りの人は理解していない。
「お姉ちゃんは無属性魔法なの。だから私を超えても意味がないの」
そう私を超えたところで絶対にお姉ちゃん勝てる人間など存在しない。
「は?喧嘩売ってんのあんた?」
「違うよ……」
「っていうか学校来てないじゃないの。何してんのよあんたの姉は」
「研究してるって」
「何の研究よ」
「えっと確か花の……」
目を覚ますと僕は蛙のお姉さんに捕食されていた。
顔だけは外に出ているが、あとひと飲みされたら全身が食べられてしまう。
すごく柔らかくて温かい。
なんでこんなことになっているんだろう。
確か昨日は森で花を見つけて、それから蛙のお姉さんと一緒に森を抜けて、夜も遅いので寝ることになって、蛙のお姉さんに抱きついて寝たんだった。
でもなんでこんなことになってしまったんだろう。
「おーい」
と何度か呼びかけたらお姉さんが動いた。
それからゆっくりと吐き出してくれた。
一気には吐き出せないみたいだ。
「なんで食べてたの?
「魔物が、、出るからだ」
お姉さんは外していた牛頭の仮面をかぶった。
「どこに向かってるんですか?」
「神社だ。この花を封印してもらう」
お姉さんの後ろをついて行く。