新人
「情報、上がってきました」
オペレーターの真名ちゃんが報告する。
「犯人は不法滞在中の外国人グループ、金を積まれて強盗を起こすように指示されたとのことです。
背景にいる組織とは池袋で接触した模様です」
「犯罪を指示する組織か……」
思わずつぶやくと
「そのための我々だ。模倣犯が出ないよう内密に事を処理しなければならない」
ボスが言う。
「その割にはずいぶん小規模ですね」
姫が指摘する。
確かに、いくら秘密とは言え現場に2人は少なすぎる、と考えていると。
「現在追加メンバーに召集をかけている。今日中に2人入る予定だ」
「へぇ、どんな人が来るんです?ボス」
突然の新情報に興味をそそられる。
「君たちと同じ警察学校上がりだ。君たちの少し後輩だと聞いている」
話しているとピンポーンとチャイムが鳴った。
「到着したようです。中へ通しますね」
真名ちゃんが対応する。
「失礼します、新しく配属された一ノ瀬響、三秋薫到着いたしました」
「よく来てくれたな。そう固くならなくていい。楽にしてくれ」
ボスが出迎える。
「ようこそ、あれ、新しく配属されるのって響だったのかい?」
「そうですよ先輩!俺、先輩が異動したって聞いて志願したんです!」
響はどうやら僕に憧れてくれているらしく、男装まで真似するほど懐いてくれている。
「ははっ、嬉しいよ。一緒にがんばろう。薫ちゃんもよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
「初めまして一ノ瀬さん三秋さん、私は九蜂院咲姫です。私の事は咲姫とお呼びください」
「俺の事も響でいいです先輩」
「私も、薫とお呼びください」
と姫も加わり自己紹介が始まった。
「姫の事、響は知ってるよね?」
「はい、先輩と咲姫先輩は主席と第二席でしたから」
姫の自己紹介を受けて少し驚いたように薫が訪ねる。
「咲姫先輩ってあの九蜂院家のご令嬢ですか?」
「ええ」
「へへっ、先輩も咲姫先輩も凄い人なんだぜ」
なぜか響が得意げになる。
「なんであなたが得意げになってるの」
と、薫。
「魔法の事については僕より姫の方が詳しいから困ったら頼りにしてね」
ポンポンと姫の頭をなでる。
姫は古い魔法使いの名門九蜂院家の人間だ、僕も知らないような魔法を知っている。
「もう、新人さんの前でいきなり撫でないで」
と少し照れている姫
「ごめんごめん、つい癖で」
「コホン、そろそろ良いかな」
と、ボスが始める。
「今回2人が加入し5人態勢になる、オペレーターも現場員も追加はする予定だがしばらくは
この5人で作戦に当たってもらう」
「はい」
「了解」
「はい」
「了解です!」
「わかりました」
それぞれが返事をする。
「新しい情報来ました」
真名ちゃんが報告する。
「犯人は地下鉄駅構内で組織と接触しているそうです。今回の事件に関与していない同グループと接触できそうです」
「よし、グループの裏にいる組織と接触を図るぞ」
ボスが命令する。
「わかりました。そのように伝えます」
「総員、接触の日まで待機、準備を怠るなよ」