小説を書くことは凄い。
「小説書ける人って本当に凄くない?」
外で雪だるまを作れるくらいの雪が降る中。
ウトウトしていた俺に妹が突然話しかけてきた。
「いきなりなんだよ。確かに自分で考えたことを文章化できる能力ってすんげー羨ましいけどよ。」
「でしょ?つまり私すごい。」
「自画自賛したいだけかよ!!」
唐突に言いだしたと思ったら、この寒い中、妹は俺にツッコませた。
俺は夜中なのにとんでもない声量を出していた。
だが、妹はスルーして話を続ける。
「いやいや違うよー。プロット書ける人がすごいって話。」
「同じじゃねーか!」
「いやいや。プロット考えられるってさ、物語の全容が把握できてるって話でしょ?凄いじゃん。」
「……つまり、プロット書けて、それを文章化できる私すごい!って言いたいんだな?」
「えへん!」
「つっこまねーぞー。」
「え。それは寂しい。」
全身を毛布でくるんだ妹が言う。
いきなり何なんだ。
「というか、小説の内容を考える能力とそれを文章化できる能力は違うだろ。」
「え?今、お兄一緒って言ってたじゃん。」
「そんなわけねえよ。言ってねえよ。」
俺は堂々とツッコミながら言っていたが、そんな過去は知らん。
「ま。ともかく。その両方ができる小説家ってすごいよね。」
「そりゃそうだけどさ。なあ。それお前が言ったら自慢にしかならなくね?」
「そんなことないよお兄。ひねくれすぎ!
私はプロットなんて全く考えたことないし、
文章書いたら支離滅裂。時系列めちゃくちゃ。
後から付け足しまくって訳わからなくなるよ。」
「それプロットも文章化もできてねーじゃねーか!!!」
できるって話だったはずだ。この妹、さっきと真逆な事言ってやがる。
誰に似たんだよ。
それにしてもツッコミまくったせいで、体温が上がった気がする。
ついでに体力も持ってかれた。眠くなったし寝るしかないな。
「俺はこれから寝るから。起こすんじゃねーぞ。」
「ん-。分かったー。」
適当な返事だったのが気になるが、眠気の方が強い。
俺は部屋に戻ることにした。そして気づく。
「あいつ俺の毛布持っていきやがった!!」