とある青年ととある青年の姉達の夏①
「夏季の筆記試験?」
「そっ、合宿参加者の殆どは長期活動する為にそれぞれ担当の先生に頼んでいるの。ここでは私が貴方達全員の試験官として見る事になったから」
三日目の朝、筆記試験をする事になった。
夏季合宿期間の五日間の中で三回程の試験を生徒達は受ける事になっている。
勿論、合宿参加者はその参加者のメンバーと共に三つの試験を受ける事になっている。
平均でトータル500点以上を評価として出せば良いらしい。
「元の世界と同じ・・・これぞって感じです!!!」
「熱っ?!も、燃えてる?!」
どうやらシオリさんはこういうのが随分と得意なようだ。
シオリさんは皆にとある事を言いだした。
「記憶にあるんだけど・・・私、この世界に来た時、丁度試験勉強してたんだ」
「あ~、確か知り合いの家に住み込みで?」
ご両親が亡くなった時に色々と大変忙しかったらしく、この世界に来る前までは試験勉強をしていたらしい。
かなり遅めだったからその時の先生から貰ったチャンスを失いたくなかったそうだ。
「ここに来たタイミングってもしかして・・・」
「そう、丁度、大学受かった時の帰りに偶然この世界に来ちゃったって訳なの」
騎士団が偶然通りかかり、急いで保護をしたそうだ。
「その時の荷物ってまだあるのか?」
「うん、筆記用の道具一式とかノートとか色々ね~」
そして、試験が始まった。
「成程、だから・・・」
「あっ・・・いや間違えたな、コレか」
「この計算式が・・・」
「・・・・(凄い分かりやすい・・・!!!)」
先輩達の方も黙々と書き進め――――
「筆記試験、終了!」
「だぁ~!疲れた~!」
「どっこらせっ」
俺はおもむろに立ち上がり
「お茶飲もうか、もう休憩だよね?ミズチ義姉さん」
「えぇ、私達にも水かお茶を頂いても良いかしら?」
精霊達を呼んで冷たいお茶や冷たい水などを全員分用意する。
「・・・ミズチ姉さん」
「えぇ、そうね。コタツ」
義姉さん達二人は真剣に採点をしながら水分補給をする。
その間に皆は水分を取りながら雑談を始める。
「そう言えば・・・リンド義姉さん」
「な~に~?」
リンド姉さんの四年生が気になって来た。
「義姉さん達のクラスってどんな感じなの?やっぱ女性陣は殿下を狙ってる感じ?」
「そうね~王妃の座を狙ってる子は一割ね」
「ね~、その一割の子以外は皆それぞれ婚約者が居たり、他国に嫁ぐ子も居たり、田舎に嫁ぐ子も居たりするから王族との繋がりを持ちたいって人以外はそれぞれね」
「この世界だとそうなんですね~」
因みにシオリさんはそう言った縁は無かったらしく、元の世界では常にひとりぼっちだそうだ。
「はい、皆集まって頂戴」
「採点が終わったからそれぞれ配るよ~」
ミズチ姉さんとコタツ姉さんがそう言って採点したテスト用紙を返却して来た。
「おっし!満点~!」
「おっ、俺も~」
「うっそ?!スゴッ?!」
「やるじゃ~ん二人共」
座学でのテストはどうやらリンド姉さん達はみんな満点らしい
「どうだった?」
「ふぉぉぉおおおっ・・・!満点!!!」
「流石ね~」
「ミッシェルちゃんはどう??」
「こんな感じよ」
シオリさんはミッシェルさんと点数の見せ合いをしている。
「ソウルはどうだ?」
「いつもの」
俺の手元には満点のテスト用紙がズラリとある。
「スゴッ?!」
「ユウおば様の指導が良いから頭良いのよね」
「おう、母さんはこの国に来て初めて30歳の時にテストさせて貰ったら全教科満点だと」
才能のある遺伝子とかは関係無くたまたま運が良いだけと俺自身はそれで済ませている。
「そいやぁ~父さんは問題文とか苦手だって言ってたな」
「あ~、知ってる知ってる。母さんがおじさんに簡単な問題を出したら頭から湯気が出てたつってたぞ」
「へ~珍しいね」
「ね~、先代様は全てにおいて天才かと私も思ったわ」
朝食の後にやったので後の時間帯はそれぞれの課題を済ませると言う事になった。
「ソウル君の課題はどんなの?」
「これ、俺にしか出来ない奴」
俺の課題は――――未知の精霊との交渉になっている。
「確か、精霊魔導皇にしか出来ないんだったよな?」
「おう、俺や父さん以外だと結構難しいらしいぞ」
そして、俺がその課題を難無く終わらせた頃にはすっかりお昼となった。
今回の話はここまで。
当作品以外の四作品もお勧めです。
是非ご覧ください




