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大動

背後に迫る大組織、、

彼らの野望が明らかになる

ぶつかり合う情報

ぶつかり合うイデオロギー

ぶつかり合う派閥


 リョウムは背後を取られ一瞬動揺するも、相手がパルチザン連合取締役反帝資赤軍だとわかり若干安堵する

しかしその赤軍隊員の顔を見て再び血の気が引いた


リョウム「あなたはたしか、、奥平軍事委員長、、!」


扶桑赤軍軍事委員長奥平國男

リョウムが驚くのも無理はない。彼は人民解放戦線ジークと対をなす冷酷さで知られている。


頭脳明晰な戦略家であり、様々な国に戦線を広げ扶桑革命運動の創始者とも言われている。

敵を追い込み、必ず″その場で″始末する手法は彼しか取らない。大胆かつ冷静な判断力で世界戦線を築く天才革命家と謳われる。


奥平軍事委員長「今回の解放聖戦により池野では過半数の資本暴力機関が機能停止しました。まずは礼を」

奥平はそう言い、頭を下げる。顔は終始感情のない真顔であり、リョウムは『機械のような』と心の中で思っていた


奥平は続ける

「これは革命聖戦の障害を一つ取り除いた功績として我々のリーダー安藤からも後に称賛されるでしょう」


リョウムは話が終わったのか暫し待つ、、扶桑赤軍隊員は話し方が独特で区切りがわかりにくい。


リョウム「それは光栄であります。しかし後援として赤軍が出るということはブリテイン軍をここで殲滅するおつもりで?」

((決死隊がほぼ撤退し、また人民解放戦線が後援にいるとわかりながら後援につくということはそれしかあるまい))


奥平は目を細め、ニヤリと笑い

「鋭いね、その通り。東京戦争にロシア共和国が介入した今こそ世界人民革命評議会結成をなすべきだ、、という意見に部下も承知してくれたよ。」


そしてリョウムに池野駅西口扶桑芸術劇場広場を指差し、こう言う

「あそこには赤軍隊員約百六十名、あなたの脱出と送迎役です」

次にタバコを出しながら

「東口娯楽街方面に隊員三百名、南部ショッピングモール方面に二百名、南西高級服屋方面に五百名。。」


タバコに火をつけ、一旦ふかし、一呼吸おき


「これでブリテイン軍は袋のネズミ。あとは支援要請したロシア共和国連邦陸軍、朝鮮人民解放軍陸軍、中国人民革命軍陸軍が到着するまで戦線維持するだけです」


またもやニヤリと怪しい笑みを浮かべ、タバコの煙を吐き出す


そこでリョウムに再びお辞儀をし


「では、また最前線でお会いしましょう」


そう言い残すと階段へ続く扉を開け、降りていった


リョウムは悪寒と共に奇妙な違和感を理解した


彼には″気配″がない


(赤軍は海外での軍事演習もしている。足音や気配を消すことは朝飯前か、、)

そう考えるも束の間、再び池野駅構内から激しい銃声や爆発音が鳴り出し、また池野駅周辺からも黒煙が上がる

赤軍が包囲を固めた証拠であった

リョウムは急いで階段を駆け下り、扶桑芸術劇場広場に向かった





ー同刻、ブリテイン総督府ではー



極東ブリテイン陸軍幹部緊急会議が開かれていた


ブリテイン陸軍幹部『クソっゴロツキが人様の武器なぞ持ちおってッ!!』


『共産圏から総軍が来ている。このままではアジアが鉄のカーテンで閉鎖されるぞ』


そこに初老の男性が一人口角を少し曲げながら提案する


『インディ共和国、オスマン共和国に仲介してもらいロシア共和国にパイプを作れねぇか?』


全員が意見交換をやめ、その男性を一斉に見る


青い瞳をしたその白人男性は全員を刺すような眼光で睨みながら続ける


『焦ってもしかたねぇ、、戦争はガキの遊びじゃねぇからな。ブリテインからのパイプラインが切れれば共産圏の奴らもただではすまねぇ』


そこで軍帽をテーブルに置き、常備薬を水で流し込む


彼は極東ブリテイン陸軍を束ねる元帥。General=ケイディ

極東ブリテイン陸軍元帥、ブリテイン総督府二代目総督である。

ケイディは血気盛んな男で、部下には一部恐れているものさえいた。心臓系の病で、常備薬を持ち歩いている。


彼からすれば扶桑ブリテイン総督府派遣はいわゆる″島流し″であり不服であったが、比較的本土よりも贅沢な生活ができる上、自分がトップであるという事実に味をしめていた


ブリテイン陸軍幹部『では早急に伝達いたします。』

そう一人が言うと、全員立ち上がりケイディに敬礼し会議室を出て行く


そこでケイディは一人の軍幹部を引き止める

まだ若く20半端という様相のエリート青年に対し無言でメモを渡す

青年はそれを頷きながら受け取り、再び敬礼し、会議室を後にした


青年は軍帽を深く被りながら笑みをこぼす

『ボクにしかできない任務だ』

そう呟きながら総督府外苑を見下ろした。

そこにある大扶桑帝國時代のお堀の水はこちらをまるで覗き込んでるように見えた





リョウムは急いで劇場広場に行くと、ヘルメットにストール、手には小銃という明らかに赤軍隊員だとわかる身なりの群衆が迎えてくれた

彼らもリョウムの身なりと奥平軍事委員長からの通信で確認したようだ

彼らが敬礼すると、リョウムも反射で敬礼する

一人が前に出て


赤軍隊員「決死隊のリョウム殿ですね。準備は万全です。ささこちらへ」

明らかに警備車両だろうと思しき車に誘導される


リョウムは反帝資赤軍を信用してはいたものの戦闘区域内でまさか警備車両で帰途することになるとは考えておらず困惑した表情を浮かべる


隊員はそれを察知したのか手早く説明する

「装甲車両だと目立ちます。一般車両も無傷だとおかしい。パトカーならば奴らも手出ししないでしょう」


リョウムは(確かに)と思いながらも、検問などあらゆる障害はどうするのか未だ心配で聞き返す


リョウム「同志、ありがとう。しかし敵の包囲網をどう突破するのだ?我々ならば策はあるが」


そこに女性赤軍隊員の一人が勇ましい口調でリョウムに言う

「決死隊の皆様には策があって、私達に無いとお考えで?簡単なことです。包囲網を一網打尽にすれば良いだけです。包囲網には必ず薄い場所があります。私達はそれを知っております。」


そう言い、少し笑いながら


「大船に乗るといふ言葉がありますね。まさに適切な表現です。お任せください」


他の隊員とは明らかに立場が違うその女性の笑顔は目が笑っておらず不気味に見えた

しかし顔立ちは美しく、また口調から聡明で育ちが良いことが窺える


リョウムは一瞬美貌に気を取られていると、彼女は踵を返し手をひらひらと別れの合図をしながら去っていった

彼女は歩きながら常に隊員に指揮をしており、その表情には一点の緩みもない。

リョウムは″彼女の言葉″を信用し、パトカーに乗る


リョウム「頼みますよ、お巡りさん」

運転席にふざけ半分でそう言うも返答はなく、車は進み出した。

リョウムは(バカ真面目な奴等め)と思いながらもルームミラーに映る運転手の険しく真面目な表情を見ると、緊張しているのは自分だと気づき、若干の恥ずかしさを感じる


リョウムは鼓舞するように言い放つ

「尾行は射殺する。運転に集中し迅速に帰途。よろしく頼む革命同志」


そう言うと運転手の赤軍隊員も

「常に全指揮系統と連絡を取り合っております。ご安心ください」

ハンドルを固く握りながらそう応えた


反帝資赤軍からしたらリョウム送迎は重要な任務だ。両者緊張している帰還であった。


リョウムは疲労にうつらうつらしながらも、尾行を確認する。

十分ほど走行した際ふと度々運転席から聴こえてくるトランシーバーの命令・伝達が先程の女性だと察知し、思わず質問する


リョウム「無理に答えなくて良いが、俺が最後にお会いした女性、、あなたの上官か?」


今まで険しい表情だった運転手である隊員は途端に顔が緩み


「まさか、あなたほどのお方が重本同志をお知りではないとは。。ははは、冗談ですよね?」


そう言われ、ハッとリョウムはパルチザン連合地下会議室でのヨハンと赤軍リーダー安藤との激しい討論と、とある噂を思い出す


いつもヨハンの案に欠陥があるとまず安藤にいつも決まった女性がメモ用紙を渡す

安藤はその女性のメモを観てヨハンと『互角に』討論しているように見せているだけだ


(噂がまさか事実とは、これは大きな収穫ではないか)


リョウムはパルチザン連合でヨハンの頭脳と対をなす3人目がその女性であると気づき、またもや運転手に話しかける


「お名前はたしか、、ええと」

わざと引っかかって思い出せないフリをする


途端に若干不機嫌になりながら運転手は応える


「重本洋子中央委員会書記長ですよ。あなた、まさか知らなかったと?」


リョウムは自分の身の保全を考え誤魔化す


「まさか、同志のお名前を忘れることなど」


そう言いながら頭の中で情報整理する

(なるほど、彼女が有名な女帝か。容姿端麗、頭脳明晰、大組織の幹部も頷ける。決死隊に欲しい人材だな)


遂に車は包囲網に差し掛かかるのだった。


途端、運転手がルームミラーごしにリョウムを睨みながら大声で伝える


「耳をできる限り塞ぎ、頭を下げておいてください!!!」


瞬間、、


ズダン ズドドドン ドンッ ズズン


重い爆発音が何回かし、あたりが静まる


紛れもない、迫撃砲の着弾音であった。

検問車両は木っ端微塵に破壊され、治安警察官やブリテイン軍は爆風や爆音により死傷を負う

リョウム送迎車両は完璧な立ち回りで包囲網の弱点をついたのだ


運転手は途端わずかな大破車両の隙間を高速ですり抜け、送迎車は街中へと姿を消した





ヨハンに一通の打電が届く

『メクラ マシ アラシドキ』


ヨハンは即座に反帝資赤軍の存在を理解し、全軍に打電する


『キツネ アマモリ サト ガエリ 』

(偽装車両ノ地点ニ脱出口アリ 帰還セヨ)


偽装パトカーからリョウムが飛ばした内線信号を同盟共産圏諸国工作隊が専用受信機で察知、位置を特定し、ヨハンに「烏部隊」として直通伝達したのだ


烏部隊は隣国の工作部隊と混合した統合軍でもある。非常に優秀な情報隊員が集まっている部隊でもあるのだ。




ヨハンは伝達後、リョウムと扶桑赤軍の接触から扶桑赤軍最高幹部重本洋子を連想していた


(彼女は安藤程度に留まってはいないだろう。来たるべき道は提示した。我々の革命に必要不可欠な人材だ。必ずここに、、!)


ヨハンは密かに治安警察解体作戦と共に、パルチザン連合統一軍創設を狙っていた。この″東京戦争″を機に、決死隊はさらなる飛躍をすると確信したのだった


読んでくださりありがとうございました!

一周年からのターニングポイントです

これからも自分のペースを維持し書き続けます!!


※注 この物語はフィクションです。実際の国、団体、人物、事件には関係ありません

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