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潜水

ブリテイン合衆国ジャパン州での決死隊内戦はロシア共和国やその同盟国の軍事的支援により紛争に変わった


そんな中決死隊地下アジトでは新たな動きが

ついにブリテイン統治領であるジャパン州での紛争が始まった

これは決死隊が総攻撃を開始した直後、池野繁華街にある吉住組事務所のバーでのことだ

組員全員に決死隊勢力が予想を上回るものだとメールが入っていた

深夜の繁華街は人が少ない上、吉住組が幅を利かせていたため道ゆく人は皆避けてくれる。

組員はチャカを胸元に隠し、走って応援に向かおうとしていた。しかし突如として目の前を《何者か》に遮られた


吉住組組員「なんじゃコラァ!どけや!!あァ!?」

「急いどるんじゃ!道を開けんかワレ!!」

「やんのか?あアん?」


その《何者か》は恫喝には動じず、その一人がポケットからダガーナイフを取り出し、、刹那、組員の一人が倒れる


組員「え?、、い、イテェ、、オエッ、、グがァァ、、」


内臓を抉られ血を吐き出す

ピクンピクンと痙攣し動かなくなるまで組員は同胞が殺されたことを認識できない

その間に他の《何者か》二人がサプレッサ付拳銃で頭を撃ち抜く


パシュッッ パシュッッ パシュッッッ パシュッッ


軽い音がし目を開いたまま他の組員はピクリとも動かなくなった


バンッッ バババババ パパパパパパ ズダダダダダ


《何者か》はバーの扉を蹴破ると、中の組員を機関銃で一斉掃射した

しかし《何者か》が探すある人物は見当たらなかった


組員は混乱しながら痛みと恐怖、答えを探す

「うぅぅ、、な、何だ、、、、、、?」

「いてぇ、、ぐぐ、、」

「何もみえねぇ、、誰かァ!生きとるかぁ!」


生き残りの組員に《何者か》が近づく


「貴様らの親分はどこだ?三つ数える、答えなければ殺す」


そう言いながらリボルバーの銃口を組員の眉間に付ける


組員「お、俺は、しら、、」


《何者か》「ゼロ」


パァンッッッ


リボルバーの発砲音か、頭が吹き飛ぶ音かわからない破裂音がし、鮮血が飛び散る


《何者か》「次はお前だ。親分はどこにいる。」


再び別の組員に低く単調な声でそう問いかける


組員「知らないッ!本当に知らん!!誓う!俺らが出ようとする前に出て行ったきりだ!!」


《何者か》の一人は口角を三日月のように捻じ曲げ、怯える暴力団を嘲笑い言い放つ


「君達は重要なモルモットだ。おい、今すぐ連行しろ」


その人物は《何者か》のリーダーらしく他の《何者か》数名が敬礼をすると、死の恐怖に放心する組員が抵抗する間も無く猿轡と手錠、脚には縄がつけられ、寝袋に入れられる

その手際から死に際にあり尋問すらされない組員の目にはすぐに《何者か》がその道のプロだとわかる


組員「な、。。何も、うぐッ、の、、?か、、、」


《何者か》のリーダーと思しき若い青年は、顔すら見ずに部下にジェスチャーする


ブシャッッ


一瞬で頸動脈をナイフで切られ、壁に血が飛び散った

従業員の女性すらも射殺され、バーには点滅する蛍光灯に死体の山が照らされていた


重く、低く、単調かつ冷酷にリーダーである青年が言い放つ

「哀れだね。資本に溺れて散りゆく羽虫は」


そう《何者か》は紛れもなく、パルチザン連合幹部組織一角人民解放戦線であった


ジーク「決死隊だけの手柄では困るのだ、ヨハン君悪いが公平にいかせてもらうよ、、ククク」


ジークは点滅する蛍光灯と死体の山しかない『バーであった場所』のカウンターに座り、ジーク親衛隊特殊作戦群総指揮官ヘルマンに命令を出す


ジーク「三上は捕らえた、隊員は全て決死隊の後援につけ、ただし、絶対にブリテインの豚どもに我々が別組織だと勘づかせるな」


ヘルマンは壊れた蛍光灯でより不気味に見える指導者に対し、畏怖と忠誠の念を敬礼で示しながら問う


「承知致しました。では吉住邦夫は私めが直接、、、」


ジークが手で言葉を遮る


「いや、ヘルマンには本部で手伝ってほしい事がある。吉住の狸は部下に任せなさい」


ヘルマンは即座に拷問の汚れ仕事であると悟るも、忠誠を誓う皇帝には逆らわず敬礼し、バーから側近部下と静かに出て行った


ジークは一人バーに残り、死体を踏み歩きながら【ワルシャワ労働歌】を歌う


「怯まず進め、我らの友よ…」


顔は満面の笑みで満ち、バーにガソリンを撒く

蛍光灯の光は消えていた


 

ロシア共和国航空宇宙軍の大編隊が新潟地区に現れて数時間が経っていた頃

決死隊地下アジトでは藤原絢音特別捜査官とヨハン、センリが治安警察解体計画を立てていた


藤原絢音はやや畏まった姿勢で

「治安警察の根幹はブリテイン貴族と賄賂で繋がっております」


表情を暗くしながら切り出す

更に強い口調で続ける

「ブリテイン貴族の大多数が未成年売春店や違法カジノ店などの娯楽施設を利用していることも我々の耳には入っております。しかし我々には自由ブリテイン党からの圧力がありますから、、動けないのです」


センリは藤原絢音にお茶を淹れ、笑いかけながら

「あなたの責任ではないわ。ブリテイン機関は縦社会だと聞いています。でも何故治安警察に入りながら私達に?」


純粋な疑問を投げかけた


ヨハンは腕を机に置き、俯きながら静かに二人の会話を聴いていた


藤原絢音はセンリの気遣いに軽く会釈しながら疑問に応える

「前回の本庁爆破による敵対勢力が扶桑決死隊だと特別捜査本部ではわかっておりました。私はそれであなた方を知りました。。。しかし本庁の正確な破壊には専門知識が必要です。間取りから警察官の動向まで全てです。」

そう言うと、お茶を飲み暫し間を置き

本題に入る


「つまり、密偵が優秀であること。そして仕掛けられた場所から、、、密偵が明智君であるとわかりました。治安警察官の殆どが実戦経験などなく軽犯罪や職質でポイントを稼ぐ中、明智君は重犯罪や組織犯罪を次々とあばきました。治安警察は先程説明した通り、賄賂などを政府に送ることで立場が決まります。。。しかし!明智君は立場に拘らず、庶民の方々の、、命を優先したのです!」


彼女はすでに本来の性格に戻り、明るい口調で続ける


「そんな治安警察官は組織で一人しかいませんでした。。だから!明智君が密偵だとしても、明智君の組織が悪だとは思いません、、!それが理由ですっ!」


センリの目には地下アジトに来てからはじめて見る、明るい笑顔の藤原絢音『元』特別捜査官があった


ヨハンは空気を読み取ったのか、センリに目配せをし

藤原絢音に一言

「あなたのことは理解しましたよ。ありがとうございます。私は一度計画書を整理しに行きます。。隊員ともコンタクトしなければなりませんし。では」


一礼をし第二会議室を後にした


センリは藤原絢音の心意に気づき、顔が緩み、話を続けたのだった


ヨハンが第一会議室及び司令室に戻ると、キアに確認を取る


「班員の様子を一班ごとに頼む。繋げて解放戦線の情報とロシア共和国や大陸情勢についてもだ。」


キアは深刻な顔で事細かく伝達する


「はい。現在狼班はブリテイン軍本隊と池野駅構内で戦線を展開しております。烏が救護や支援をしてますが、膠着しつつあり、、鼠は順調です。石原部隊については7373、、、全員安全確認取れています。解放戦線については明らかではありませんね。ロシア共和国に支援要請した旨は観音崎の『スラヴ娘の別れ』から」


キアは表情を明るくし、口を曲げて大陸情勢に話を移す


「朗報に、韓民国プーザンが落ちました。大陸からの全面的支援を承認いたしました」


ヨハンは腕を組み、落ち着いた声で言う


「やはり君は司令官が適任だね。どうりで、、」


今まであまり見せたことがない微笑みを浮かべながらキアに感謝の意を伝えた


キアは何で微笑んでいるのかわからず、困惑した顔を見せる

ヨハンは咳払いをし


ヨハン「吉住邦夫はおそらく人民解放戦線が片づけるだろう。あのジークが指を咥えて戦闘に参加しないのも不可解だからな。しかし朝鮮ではなく、親玉のロシア共和国が出たか、、ロシア共和国工作隊とは特に通信を続けよう」


そう応えると、キアを真剣に見つめ


「全軍を治安警察解体作戦に移行する。池野は掃討した。帰途につかせるという意味だ」


そう言い放つ


キアは驚いた顔をしつつも、今まで幾多の難関を超えた隊長を信じ、司令席を明け渡す


ヨハンは頷き、全軍に打電する


「「「  7378 」」」

(安全ニ 集合セヨ)






場所は池野地区、路地裏の居酒屋前

石原部隊は吉住組蕪木若頭を制圧し、鼠班と合流していた


石原英機帝國陸軍中尉は鼠班のリーダーコードネーム永田に対し敬礼する

永田は決死隊に少ない女性小隊長で、学生運動時代には革命派闘争委員会幹部をしていた経歴もあり、誰にも臆さぬ気の強さの持ち主である


石原は次に溌剌とした声で指揮をとる


「鼠班諸君、私達は勅令により新たに尾行を回避しながら本部に戻る必要がある。命より本部を掴ませぬよう行動せよ」


鼠班リーダー永田は班員を代表し、敬礼してから質問する

永田は石原を容赦ない眼光で睨みつけながら低い声で


「顔を見られたら射殺でよろしいでしょうか、石原殿」


と問うが、石原は帽子の鍔を掴み、身なりを整えながら


「万一逃げ遅れた市民がいれば適切な対応をするように」


と釘を刺した


永田は物言いたそうな顔をしていたが

石原はすぐに命令をし遮る


「では迅速に、行動開始ッ」


鼠班が素早く走り去った後、石原部隊は別ルートで池野駅に向かう


石原部隊には作戦始動前の計画書に

駅構内で隊員が孤立してしまった場合の特別行動

という項目が追加されていた

石原英機はそれを見た瞬間、大東亜聖戦での数多の同胞が孤立無援で死にゆく記憶が思い出され、あの何とも云えない至極悲しい想いを誰にもさせぬと誓っていたのだ


″第二のガ島″にはさせまいと石原部隊は池野駅に向かったのだった





石原が睨んだ通り狼班は電文を受け取りつつも、孤立し、烏からの支援も絶え絶えになっていた


構内狼班隊員「勅令だ!!、、、しかし。。。」

「引けないぞ!悩んでる暇があるなら撃てェ!」

「二時の方向だッ!テェー!」


ズダダダダダダダダ シャパパパパパ シュタタタタタ


駅地下の壁に銃声が反響しけたたましい音が鳴る


負けじとブリテイン軍も撃ち返す


「fuckin ! fire!!!!」


パパパパパ ズタタタタタ 


お互い度重なる死傷者で精神的にも疲弊しきっていた

特にブリテイン軍は増援を呼ぼうにも実力が拮抗していたことにより遮断されてしまう

彼らはガムを噛む余裕すらなかったのだ


一方狼班は池野駅西口から戦線を広げていた恩恵で補給ルートを確保していた

しかし狼班隊長である大道寺がまだ到着しておらず膠着せざるえない状況である

そんな時やっと大道寺隊長からの通達があった


烏班隊員が伝える

「商店街を制圧との電文あり、勅令通り帰途に着く。我々は全力で援護する、少しずつ後退せよ」


狼班隊員「了解した。」

そう言うと一発の火炎弾を構内通路真ん中に撃つ


パシュー


次にブリテイン軍が位置する場所には空き缶を投げたような軽い音がし、刹那


フシューーーーー


爆煙が立ち込める


ブリテイン軍は構内戦部隊だけありガスマスクを用意していたが、狼班の策にまんまとはまったのだった

人間は黒煙を見ると必ず有毒性を疑う、それも戦闘中、敵から飛んできたガス弾だ

しかしそれはただの目眩しで毒性も起爆性もなかった


ブリテイン軍は煙からいち早く抜け出し、視界を確保しなければ危ないため、戦線を退いた

煙が薄れた頃には敵軍=狼班の姿は微塵もなかった




石原部隊送迎役になっていたリョウムは慣れない狙撃兵として池野西口ゲームセンタービル屋上で戦闘ヘリの銃撃から隠れながら後方援護をしていた


「まさか、ここまで″やれる″とはなァ、、忌々しいブリテインの豚が散り散りじゃねぇか!よし!今のうちに」


そう安堵も束の間、、、彼の背後には思わぬ来客があった

足音が全くしない動きにリョウムは冷や汗をかく


??「決死隊、解放戦線、両組織には連合を代表して礼を言いたい。さて、まずはあなたを含む戦闘隊員の迅速な帰還、それに伴う我々の護衛。池野の総括点も記録しましたし、、」


軽装備、特徴的な口調、言い回し、訛りのない扶桑語で話す勢力、、リョウムにはすぐに相手がわかった

パルチザン連合取締役とも言える最大構成員数を誇る幹部組織一角反帝反資本赤色軍であった


読んでくださった方本当に感謝します。ありがとうございます‼︎

執筆から1年!まさか1年書き続けられるとはと自分で驚いています(笑)祝一年!!!

まだまだ書きます!よろしくお願いします!



※この物語はフィクションです。実在の団体や国家、事件とは何の関係もございません。

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